「西蔵仏教宗義研究」
第6巻 トゥカン『一切宗義』チョナン派の章
谷口 富士夫著 1993/3 東洋文庫 69p
Vol.2 No.310 ★★★☆☆
例えば、チベット密教界最秘かつ最難の修行法とされる 「吉祥秘密集会成就法清浄瑜伽次第」 は、私の立場からはほとんど入手不可能となっている。身近な図書館にはなく、購入するにしても、古書としてかなりの高値を呼んでいる。好事家たちの収集の対象になっているかもしれない。だが、そこまで追いかけなくても、私ごときの行きがかり上のチベット本の読者なら、 「チベットの『死の修行』」 で十分だ。いや、これだって、とてもとても読み切れない。むしろ、この本を読む前に、よまなくてはならない準備段階の本がもっともっとありそうだ。
グレン・H・ムリンの 「14人のダライ・ラマ(上)」 、 「(下)」 「ダライ・ラマ---その知られざる真実」 でも読んで間に合わせようと思っている。
ガワン・パルデン他の「大秘密四タントラ概論」も現在のところ入手不能。タイトルからしても、ぜひ読んでみたいとは思うので、今後アンテナを張りつづけていれば、なんらかの方法がでてくるかもしれない。
これら3冊の入手不能本を嘆くことも可能だが、むしろ私は、他のたくさんの貴重な本を読むことができた、ということを喜ぶべきだろうと思う。その本のなかでも、この「STUDIA TIBETICA」=「西蔵仏教宗義研究」全8巻などは、もともと非売品でもあり、一般の読者である私などは、もともと読める立場にはない。その本を手にとることができたばかりか、今後も継続的に利用可能である、ということがわかっただけでも、感謝すべきであろう。
「チョナン」と呼ばれる学派は、サキャ派と同様に、その学派に連なる人物にゆかりの土地の名から採られている。チョナン派の宗祖とみなされるのはユモ・ミキョードルジェであるが、彼から数えて7代目のトゥクジェツォンドゥーがチョモナンの地に僧院を建てたことから、この学派は「チョナン派」と呼ばれるようになった。
p1
このシリーズで明かされている情報は、他の本を何冊か読んでいれば、次第次第に雑学としては身についてくるものだが、このシリーズは資料として一級の折り紙がついている。どことなく、これらの資料を手にとると背筋が伸びる。このような高級な資料を使いこなせる力量はまったくないが、しかし、いつかはこれらの書をひもとくことができたことに恩返しをしなくてはならない、という思いは忘れずにいたい。
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