アート・ファーマー(Art Farmer)は1928年生まれの米国のジャズ・トランペット奏者で、後にはフリューゲルホルン(この楽器を演奏している盤はこちら)、さらにはフランペット(トランペットとフリューゲルホルン双方の特徴を兼ね合わせた楽器)も演奏している。厳つい顔つきとは裏腹に、生真面目な性格で音楽と真摯に向き合う人物だったらしい。1950年代初頭にライオネル・ハンプトン楽団に在籍し、1953年にプレスティッジとの契約を得た。その後、50年代半ばからリーダーとして様々なアルバムを残すことになるが、ちょうどその時期、1954~56年に断続的ながら存在したのが、ジジ・グライスと組んでの“ファーマー/グライス・グループ”であり、その成果の一つが本盤『ホエン・ファーマー・メット・グライス(When Farmer Met Gryce)』であった。