音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2010年09月10日
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 ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアウトテイク集として1998年に発売されたのが4枚組の『トラックス(Tracks)』である。アウトテイク、すなわち結果的に正規のアルバムに収録されなかった未発表音源を集めたものなので、アルバムとしてのコンセプト云々などはあったものではない。しかも4枚組という、聴くのにも大変だが、金額的に買うのも大変なボリュームなので、普通は熱心なファンしか買わない代物だろう。とはいえ、そういう類のリリースであったにもかかわらず、ビルボードで27位になるほど米国で売れてるという事実はびっくりである。それだけ米国でのスプリングスティーン人気は絶大で、“一家に一枚”的に買われているということなのだろうか。

 というわけで、4枚分レヴューというのはちょっとどうなのかと思うほど“寄せ集め”的な内容だが、全体としてはとにかく質が高い。その中でとりわけ質が高く、筆者も気に入っている2枚目(Disc 2)のみを今回は取り上げたい。

 1980年にスプリングスティーンがリリースした『 ザ・リバー』 は2枚組の大作かつ名盤であった。スプリングスティーンを初めて聴く人に訊かれたら個人的には絶対にこれを勧めるという充実作である。ちょうどこの2枚組の作成時とその後数年間(1982年に自宅録音のアコースティック盤『ネブラスカ』を出しているが、バンドのアルバムという意味での次作は1984年の 『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』 まで間が開く)のスプリングスティーンの創作意欲は目ざましかったようだ。

 確か渋谷陽一氏が『ザ・リバー』のことを“1枚ずつにしても優れたアルバムになりそうな2枚組を天才はいとも簡単に作り上げてしまうんだろうなあ”といったような主旨のことを述べていたように記憶している。きっとスプリングスティーンだっていろいろ悩み、試行錯誤し、思案しながら苦労してアルバムを作っていたのだろう。けれど、他人からすればいとも簡単に創作活動を続けているように見えるほどの充実ぶりというのもまた確かであった。

 こうして次々と準備された曲と演奏には、リリースされたアルバムから抜け落ちてアウトテイクとなったものが数多く存在した。問題の『トラックス』の4枚のうち、2枚目(Disc 2)が『ザ・リバー』作成時の録音曲が収録されている部分である(一部、『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』のアウトテイクも含まれる)。『ザ・リバー』のアウトテイクの質がとくに高いことはファンの間では有名で、ブートレグとして多く出回っていた。筆者もそれらのブートレグ(LP)を何枚か入手して聴いていたのだが、それだけで軽く1枚の正式なアルバムになるのではと思うほど質の高い内容だった。曲の質はもちろんのこと、『ザ・リバー』に収録された他の楽曲と同様、E・ストリート・バンドの息の合った演奏の質も変わらずレベルが高い。結局のところ、上述の渋谷氏の言を真似れば、“2枚組じゃなくて3枚組だって簡単に作れてしまいそうな天才ぶりだった”ということになろうか。

 このまま続けると長くなりそうなので、個別の曲については次回記事(後編)へ持ち越しとさせていただきたい。 ( 後編


*収録曲の一覧は 後編 に掲載します。





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