音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2014年01月22日
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テーマ: 洋楽(3405)




 ドクター・ジョン(Dr. John)が好きだという音楽通のリスナーは多い。ニュー・オーリンズという、音楽的に深みのある土地柄の出身で、ルーツに根差した音楽性が聴き手の興味を惹いて止まないのだろう。

 ドクター・ジョンに関して、ニュー・オーリンズの音楽的ルーツと言うのは、一般的にはR&Bと括られる辺りにあり、“南部音楽”とか“スワンプ・ロック”などといった言葉で紹介されるのもその範疇にあるのだろうと思う。けれども、ルイジアナの音楽的背景はそう一筋縄ではいかず、ジャズ音楽の聖地としての側面も有する。実際20世紀初頭にジャズ音楽が発展していった過程について、ニュー・オーリンズがその発祥地と言われたりもするわけで、その音楽的バックグラウンドの大きさは半端ではない。

 そんなことを念頭に置きながら、本盤『イン・ア・センチメンタル・ムード(In A Sentimental Mood)』を聴けば、多くのリスナーは合点がいくのではないだろうか。ドクター・ジョンは60年代末に音楽シーンに登場してからしばらくは、ヴードゥー教文化やサイケな部分などの特異性に注目が集まっていたかもしれないけれど、じつはとっても“ニュー・オーリンズなミュージシャン”だった。そもそもR&Bのバックグラウンドがあることは、当時の作品からも容易にわかる。けれども、それと同時に、ジャズ・スタンダードをジャズ・スタンダードらしく表現するのに何ら特別な苦労をしなくてよいらしい、というのが本盤を聴けばよくわかる。何よりこの歌は、ごく自然な“ジャズ・ヴォーカル”なのである。

 聴き手(リスナー)や売り手(レコード会社や、近頃では検索用にいろいろタグを付けざるを得ない販売業者)は目の前にある音楽をジャンルに当てはめたくなりそうなものだけれど、これも全部含めてドクター・ジョンその人かと思うと、本当に奥が深いミュージシャンだ。

 全編にわたって質が高いのだけれど、すっかりジャズ・シンガーという楽曲以外にピアノがメインの演奏にも注目したい。D・エリントンのナンバーで表題曲となっている5.「イン・ア・センチメンタル・ムード」はピアノ中心のインスト。コール・ポーターの有名曲8.「ラヴ・フォー・セール」も同じくドクター・ジョンのピアノが実にキマっている。ちなみに、オープニング・ナンバーの1.「メイキン・フーピー!」(リッキー・リー・ジョーンズとのデュエット)は、グラミーの最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンスを受賞したが、これが彼にとって初のグラミー受賞だった。




[収録曲]

1. Makin' Whoopee! (duet with Rickie Lee Jones)
2. Candy

4. My Buddy
5. In A Sentimental Mood
6. Black Night
7. Don't Let The Sun Catch You Cryin’
8. Love For Sale
9. More Than You Know

1989年リリース。







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Last updated  2014年01月22日 20時53分55秒 コメントを書く
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