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『ネブラスカ』全曲紹介(最終回) ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の全曲紹介を目指してきましたが、この5回めがようやく最終回となります。 残る2曲のうち最初の曲は、「マイ・ファーザーズ・ハウス(My Father’s House)」です。邦盤では「僕の父の家」という日本語訳のタイトルが与えられています。この曲は、アルバム完成前に追加で録音されたナンバーとのことですが、割合いにシンプルな弾き語り形式でストーリーが語られていきます。 その詞のストーリーはというと、昨晩見た夢の中の、幼いころの父の家の記憶から始まります。目が覚めた主人公は、その場所へと向かいます。おそらくは何らかのわだかまりか何かで絶縁していたであろう父を訪ねに行くわけです。けれども、そこにはもう父はいません。その家には見知らぬ女性が住んでいて、主人公が自分の経緯を話した末にドアチェーンの向こうから“お気の毒だけれど、そんな名前の人はもうここには住んでいないわ”と告げられてしまうのです。それでも主人公にとって“父の家”は輝いて見えているという、なんとも悲しげな結末のストーリーです。 さて、アルバム最後のナンバーは、「リーズン・トゥ・ビリーヴ(Reason to Believe)」です。邦盤では「生きる理由」という日本語のタイトルがついています。直訳なら“信じる理由”なのですが、意訳されてこのような表題になっているということなのでしょう。小刻みなギター、ハーモニカの間奏とともに心情を吐露するかのような調子で歌詞が紡がれていきます。 その詞の内容を少し見てみたいと思います。辛い労働に追われる人たちが“ハードな一日の終わりに、それでも人は何がしかの信じる理由を見出そうとする”という現実が果たして妥当なのかを問いかけるものです。具体的ないくつかの人生ストーリーが語られているのですが、例えば、突然姿を消した愛するジョニーを待ち続けるメアリー・ルーの話が出てきたりします。男性の名が「ジョニー99」の“ジョニー”と重なり合いますが、もしかすると同一人物なのかもという印象を聞き手は持つかもしれません。また、別の人生模様の描写には、罪を背負った赤ん坊を川で洗うという話が出てきます。そして、これと並行して人知れず死んでいく老人の埋葬が描写されます。筆者には、誕生と死の間(つまりは人が生きている間)にある、辛い人生の苦悩というのが婉曲的に語られているというように見えるのですが、印象的なのは埋葬時の“主よ、これが何を意味するのか、お教えください”という意味深な台詞。この台詞の直後に“ハードに働いた一日の終わりに、あなたは何がしかの信じる理由を見出す”の決め文句(邦訳歌詞カードには反映されていませんが、この箇所だけはアレンジが加えられていて、“人々は”ではなく“あなた”が主語になっています)が続くというものです。 最後に、この「生きる理由」の中で、筆者がいちばん印象に残っている詞に触れておきたいと思います。それは、結婚式に新婦が現れなかったストーリーの部分に含まれています。新婦が現れなかった末に、祝福に訪れていたはずの人たちは去ってしまい、“泣いている柳”の向こうに陽が沈んでいきます。最後に呆然と立ち尽くす新郎の脇で“川は苦も無く流れ続ける”という詞が出てきます。この“苦も無く(effortlessly)”というのが、努力(effort)を払って必死に生きて、それでもなお希望を持ち続けようとしている姿と痛々しいほどの、けれどもはっきりとした対比となっているところが印象的だったりします。 以上、全5回にわたって、『ネブラスカ』の全曲を見てきました。今回のリマスター版リリースを機に改めて聴き続けられる古典的アルバムであってほしいと思っています。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介:第1回(「ネブラスカ」)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」)(本記事) 【送料無料】[枚数限定][限定盤]NEBRASKA 82: EXPANDED EDITION (4CD+BLU-RAY)【輸入盤】▼/ブルース・スプリングスティーン[CD+Blu-ray]【返品種別A】 ネブラスカ [ ブルース・スプリングスティーン ] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月22日
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『ネブラスカ』全曲紹介(第4回) ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の全曲紹介の続きです。なかなか最後までたどり着きませんが、いましばらくお付き合いください。 アルバムの7曲目(LPのB面としては2曲目)は、「ユーズド・カー(Used Cars)」、要は“中古車”です。シンプルな弾き語り調の中、この曲では、語り手の子どもの頃の情景が、夢に出てきた話として語られています。しかし、その夢の中の情景は、決して穏やかな子供時代の思い出ではありません。“朝から朝まで汗水たらして同じ仕事”をする父親が新車は買えず、新しい中古車を買うシーンです。貧しさから抜け出せない状況を目の当たりにしもどかしく感じている主人公は、“宝くじに当たった日には、俺は中古車なんかには乗らない”と締めくくります。つまりは、夢で思い出した子どもの頃の体験、父親の自動車(中古車の購入)というエピソードを通じて、変えようのない社会的現実が語られるわけです。そして、この曲の主人公も、おそらくは新車を買えない境遇にいる…。そんな彼の境遇が“中古車”、“宝くじ”というキーワードで語られるわけです。これもまた、当時のアメリカの労働者階級の社会的苦悩を示唆するストーリーになっていると言えるでしょう。 続く「オープン・オール・ナイト(Open All Night)」は、『ネブラスカ』の収録曲のうち、唯一エレキギターを使用しているナンバーで、ロカビリー調の演奏です。他の曲に比べるとリズム感のあるナンバーですが、詞の内容はというと、これもまた明るいものではありません。彼女のもとへ一人で暗い夜中に車を走らせる男の心情を赤裸々に歌ったものです。最後には朝が明け、依然として車を走らせ続けている場面で曲は終わるのですが、興味深いのは最後の部分の詞です。混線するラジオを聞きながら、彼はDJに対して“最後の祈りを聞いてくれ”と訴えかけます。その祈りというのは、最後の方は掛け声と混じってわかりにくいのですが、曲をよく聴くと“このどうしようもない状態から抜け出させてくれ”というものになっています(歌詞カードでは明確にこの文言で詞は終わっています)。そう、先の「ステイト・トルーパー」という曲と同じセリフが締め括りになっているわけです。曲の配置(LPの曲順でも、「ステイト・トルーパー」はB面の最初の曲で、この曲はB面の3曲目)を考えても、おそらくスプリングスティーンは意図的に同じ言葉で語ることのできる結末を用意したのだろうと思います。 『ネブラスカ』の収録曲、見れば見るほどテーマの重たさを感じるわけですが、あと2曲については、次回の更新記事で取り上げたいと思います。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介:第1回(「ネブラスカ」)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)(本記事)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」) 【送料無料】[枚数限定][限定盤]ネブラスカ '82:エクスパンデッド・エディション/ブルース・スプリングスティーン[Blu-specCD2+Blu-ray]【返品種別A】 ネブラスカ [ ブルース・スプリングスティーン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年11月20日
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『ネブラスカ』全曲紹介(第3回) ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の収録曲を順に紹介していますが、今回はその第3回です。元のアルバムの収録曲的には、A面の最後とB面の最初という、少々アンバランスな巡り合わせになってしまうのですが、それら2曲を見ていきたいと思います。 アルバムの5曲目で、LPのA面最後の曲に当たるのが、「ハイウェイ・パトロールマン(Highway Patrolman)」です。これもまた1人称の語りで進んでいく詞なのですが、表題通り、高速道路のパトロールをしているジョー・ロバーツなる人物がその語り手です。曲のテーマは、彼自身の弟で、問題児のフランキーです。フランキーの人生模様が語られ、最後は、警官をしている兄が弟の起こした事件現場に立ち会い、その弟は逃走犯となって姿を消していくというストーリーになっています。このフランキーというのは兵役から戻ってきた、つまりは帰還兵で、ヴェトナム戦争帰還者をモチーフにした「ボーン・イン・ザ・USA」と同じく、アメリカの影の部分を想起させます(実際のところ、「ボーン~」もこのアルバムの時期に書かれた楽曲でした)。 お気に入りの曲なので話が長くなってしまうのですが、この「ハイウェイ・パトロールマン」の詞で決め文句になっているのは“家族に背を向けるなんて、よくない奴だ(Man turns his back on his family, well he just ain’t no good)”という部分だと思っています。弟の過去の話を語るヴァースの最期にもこのセリフがあれば、事件の経緯が明かされた後の曲の最後の締めくくりにもこのセリフが出てきます。付属の歌詞カード(邦訳)ではあまり印象的ではないのですが、元の詞を見ると、個人的にはこのセンテンスがキーになっているように思います。ちなみに、この曲を元ネタに俳優のショーン・ペンが映画「インディアン・ライナー」の脚本を書き、監督デビューしているというエピソードもあったりします。 さて、ここからはアルバムの後半、LPではB面に収録されていた曲です。後半最初の曲は、「ステイト・トルーパー(State Trooper)」です。演奏は何ともおどろおどろしい感じなのですが、それもそのはず。詞の内容はというと、自動車の免許も登録もない男が、警官に怯えてどうか止められないようにと心で叫んでいる、その悲痛な声を歌にしたものです。下層労働者が苦しみの中、“最後の祈り”として、“このどうしようもない状態から抜け出させてくれ”という悲痛な声を発するところで曲は終わっているのが印象的です。 さて、今回はここまでということにします。続きは次の第4回で見ていくことにしたいと思います。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介: 第1回(「ネブラスカ」)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)(本記事)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」) ネブラスカ '82 エクスパンデッド・エディション [ ブルース・スプリングスティーン ] 【送料無料】[枚数限定][限定盤]ネブラスカ '82:エクスパンデッド・エディション/ブルース・スプリングスティーン[Blu-specCD2+Blu-ray]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月19日
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『ネブラスカ』全曲紹介(第2回) ブルース・スプリングスティーン(Bruce Springsteen)のアルバム『ネブラスカ(Nebraska)』の全曲紹介の2回目です。 アルバムの2曲目は「アトランティック・シティ(Atlantic City)」というナンバーです。このアトランティック・シティという町は、アメリカ東海岸随一のカジノがある観光都市で、スプリングスティーンの故郷であるニュージャージー州にあります。弾き語るというよりは確かなテンポで歌っていて、コーラスが印象的です。ハーモニカの間奏も聴き手の脳裏に残りやすいものになっています。詞の内容は、カジノにはまってしまい、返しようのない借金を抱え込んだ男が危ない世界に足を踏み入れていこうとする姿。その状況が、主人公を1人称にした形で語られていきます。当然、犯罪に手を染めるこの男(詞の中にはその恋人がいることも明示されています)が悲惨な末路を迎えるであろうことは想像に難くありません。そして、こういう境遇の男だからこそ、”ベイビー、あらゆるものは死ぬという運命なのさ”と言いつつも、”きっと、死んだものはすべて、いつか蘇るのさ”と儚い希望を口にするわけです。 続く3曲目は、「マンション・オン・ザ・ヒル(Mansion on the Hill)」です。そのまま日本語に訳せば、“丘の上の邸宅”となるでしょうか。殺人や犯罪というテーマの最初の2曲に比べれば、一見して牧歌的なナンバーです。というのも、幼い頃ないしは少年時代の情景といったようなものが詞になっているからで、トウモロコシ畑で遊ぶ姉弟の姿などはそんな印象を与えます。けれども、実のところ、その情景というのは、工場務めをする労働者階級の人とその家族が見上げる丘の上の大きな家が主題になっているのです。つまり、この階層の人たちは、永遠にそこに住むことはなく、いつもその邸宅を見上げるだけ。だからこそ、曲の最後は、現在に時間が飛び、工場から帰宅する車の渋滞の列で、自分自身が“丘の上の家の上に”輝く美しい満月を見上げるという情景描写で締めくくっています。 さて、4曲目は「ジョニー99(Johnny 99)」。表題の“ジョニー99”(99は“ナインティーナイン”と読みます)は、この曲の詞の主人公のあだ名です。職探しがうまくいかず、あげくに泥酔して店員を撃ち殺したラルフなる主人公は、懲役98年プラス1年(つまり99年)の判決を受けて服役することになり、こう呼ばれたわけです。この曲では、ラルフは、最初は3人称(“彼”)で語られている。それが次第に1人称(“私”)に変わっていき、最後は、判決をやり直せるものなら死刑にし、“俺を処刑場へ送ってくれないか”と悲痛な叫びをあげます。ファルセットの部分を含め緊迫感のあるヴォーカルが、この心情の吐露を赤裸々に伝えるという、そんな1曲に仕上がっています。 今回はここまでということで、次回(第3回)に続きます。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介: 第1回(「ネブラスカ」)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)(本記事)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」) 【送料無料】[枚数限定][限定盤]ネブラスカ '82:エクスパンデッド・エディション/ブルース・スプリングスティーン[Blu-specCD2+Blu-ray]【返品種別A】 ネブラスカ [ ブルース・スプリングスティーン ] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年11月17日
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『ネブラスカ』全曲紹介(第1回) 今年(2025年10月)、ブルース・スプリングスティーンの1982年作『ネブラスカ』(過去記事)の“エクスパンデッド・エディション”なるものが発売されました。4枚組(+ブルーレイ1枚)という内容については、またいずれ取り上げようと思うのですが、その内の1枚が“2025リマスター”(つまりは元アルバムと同じ内容のリマスター)だったということもあり、せっかくなので、何回かに分けて、この名盤の収録曲全部を順に取り上げてみたいと思った次第です。 自宅で4チャンネルのいわば“自炊録音”のようなローファイ音源のリマスターで音がどれほど改善されるのか、と思いながらリリースされたリマスター音源のCDを聴いたのですが、限界(特にヴォーカル)はあるものの、とりわけギターやハーモニカの楽器部分の音質はかなりクリアになっているという印象を受けました(と言っても、元のクリアでないこもった感じの方がいいという人もいるかもしれませんが)。ともあれ、そのリマスター版を聴きつつ、全10曲を見ていくことにしたいと思います。 アルバムの最初のナンバーはアルバム表題曲の「ネブラスカ」。物悲し気なハーモニカで始まるギターによる弾き語り調のこの曲は、米国で実際に起きた凄惨な事件を題材にしています。1957~58年、ネブラスカ州とワイオミング州で11人を殺害した19歳の少年(チャールズ・スタークウェザー)は、裁判で死刑を宣告され、1959年に死刑となりました。犯罪の過程では、付き合っている14歳の少女とも一緒だったというショッキングな事件です。 この少年を1人称にして語っていくというのが、この「ネブラスカ」の詞です。“俺は行く手にあるあらゆるものを殺していった”、“少なくともしばらくの間、俺と彼女は楽しく過ごした”といった具合に事件の経緯を語り、“俺は生きていてはいけないと宣告された”と歌う。曲の締めくくりが印象的で、“彼らはなぜ俺がそんな行為をしたのかを知りたがった”、けれども、“この世には、意味もなく卑劣な行為ってものもあるんだよ”と曲は終わります。なんとも思わせぶりというか、聴き手に考えさせる投げかけ方です。元々、ストーリーテラーとしての能力に秀でていたスプリングスティーンですが、とりわけこの盤はその側面がこれ以降の曲でも先鋭的に現れていきます。 このような感じで全10曲(残り9曲)を見ていくということで、次項に続きます。元アルバム過去記事: ブルース・スプリングスティーン 『ネブラスカ』(1982年リリース)『ネブラスカ』全曲紹介: 第1回(「ネブラスカ」)(本記事)第2回(「アトランティック・シティ」、「マンション・オン・ザ・ヒル」、「ジョニー99」)第3回(「ハイウェイ・パトロールマン」、「ステイト・トルーパー」)第4回(「ユーズド・カー」、「オープン・オール・ナイト」)第5回(「僕の父の家」、「生きる理由」) ネブラスカ '82 エクスパンデッド・エディション [ ブルース・スプリングスティーン ] ネブラスカ/ブルース・スプリングスティーン[CD]【返品種別A】 ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月15日
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INDEXページ(ジャンル別、アーティストのアルファベット順)を更新しました。ここ最近の記事へのリンクを追加しています。INDEXページへは、下のリンク、もしくは本ブログのトップページ(フリーページ欄)からお入りください。 アーティスト別INDEX~ジャズ編(A-G)へ → つづき(H-M)・つづき(N-Z) アーティスト別INDEX~ロック・ポップス編(A)へ → つづき(B)・つづき(C-D)・つづき(E-I)・つづき(J-K)・つづき(L-N)・つづき(O-Q)・つづき(R-S)・つづき(T-Z) アーティスト別INDEX~ラテン系ロック・ポップス編(A-I)へ → つづき(J-N)・つづき(O-Z) アーティスト別INDEX~邦ロック・ポップス編へ 下記ランキングに参加しています。応援くださる方は、各バナー(1つでも ありがたいです)をクリックお願いします! ↓ ↓
2025年11月14日
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ヒット曲を含むAORシンガーとしてのピークを示す盤 ルパート・ホルムズ(またはルパート・ホームズ, Rupert Holmes)は、1947年、イギリス出身で、幼くしてニューヨークへ移り住んで育った。洒落た都会的ないわゆるAORのシンガーソングライターである。彼のソロシンガーとしての人気が最も高まることになったのが、1979年に発表された5枚目のアルバム『パートナーズ・イン・クライム(Partners in Crime)』であった。 収録曲はすべて自作で、アップテンポの現代的雰囲気のナンバーから、スケール感のあるバラードまで、アルバム全体を見渡すとバランスよく配されているという印象である。ソングライティング力の高さに加え、プロデュースにも本人が加わっていて、単なるシンガーというだけでなく、音楽を創り出す者としての力量が発揮されている(そして、その力量は、バーブラ・ストライザンドはじめ大物アーティストたちが彼の楽曲を取り上げたこと、さらには、彼が後世に他のアーティストのプロデュースや、ミュージカル制作で成功したことにも表れている)。 本盤で特に注目したい楽曲を、筆者の好みで挙げてみたい。1.「エスケイプ」は、全米(およびカナダでも)シングルチャートで1位となった楽曲。詞の中でキーワードの一つになっている“ピニャコラーダ”に因んで“ザ・ピニャコラーダ・ソング”の副題がついていて、軽妙で都会的なサウンドと曲調が特徴のナンバーである。3.「ニアサイテッド」は、近視(ルパート・ホームズは眼鏡を使用している)というテーマながら、驚くほどの美バラードで、とりわけ曲後半のギターを生かした盛り上がりがなかなか気に入っている。 6.「ヒム」は、アルバムリリースの翌年に当たる1980年になってからシングルとしてヒットし、全米6位となったナンバー。美曲を仰々しくやるのではなく、さらりと聴かせるというのは、やはりこの人の才能の為せる業なのだろう。8.「ユー・ネヴァー・ゲット・トゥ・ラヴ」は、ホルムズ自身がいちばんに気に入っている曲とのことで、実際に知り合うことのなかった運命の人だったかもしれない人について歌ったナンバー。アップテンポ系のナンバーの中では、アルバム末尾の10.「イン・ユー・アイ・トラスト」がとくに好曲と言えるように思う。[収録曲]1. Escape (The Piña Colada Song)2. Partners in Crime3. Nearsighted4. Lunch Hour5. Drop It6. Him7. Answering Machine8. The People that You Never Get to Love9. Get Outta Yourself10. In You I Trust1979年リリース。 【国内盤CD】【新品】ルパート・ホームズ / パートナーズ・イン・クライム パートナーズ・イン・クライム/ルパート・ホームズ[SHM-CD]【返品種別A】 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月12日
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ここ4~5日ほど、楽天ブログにアクセスが難しいという状況が続きました。本ブログでも、アクセス数も驚くほど少数の日々が続きました。どうやら復旧したようです。引き続き本ブログを楽しんでいただければ幸いです。
2025年11月10日
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イングヴェイ節が冴える21世紀盤 スウェーデン、ストックホルム出身のロック・ギタリストであるイングヴェイ・マルムスティーン(Yngwie J. Malmsteen)。彼は、アルカトラスでの活躍(参考過去記事)を経て、1984年にファースト作(過去記事)を発表して以降、バンド名義でしばしば作品をリリースしてきた。とはいえ、バンド名義の下であっても、実質はイングヴェイの作品(あるいはイングヴェイのバンド)であり、メンバーは頻繁に変わっていった。21世紀に入って最初のスタジオ盤となった本作『アタック!!(Attack!!)』においても、前作の『ウォー・トゥ・エンド・オール・ウォーズ』(2000年発表)からメンバーを総入れ替えし、ヴォーカルはドゥギー・ホワイトとなっている。 ひとことで言えば、イングヴェイ節が冴えわたるといったところだろうか。ヴォーカルのホワイトとの相性も悪くないように思える。1.「レイザー・イーター」の流れるようなギターのメロディに始まり、表題曲の5.「アタック!!」でもイングヴェイ節が存分に発揮されている。インスト曲の6.「バロック&ロール」は本盤の聴きどころの一つで、「ファー・ビヨンド・ザ・サン」などインストの名演を残してきたこのギタリストの本領発揮のナンバーだと言える。 イングヴェイのギター・プレイという観点では、8.「マッド・ドッグ」、インストルメンタルの10.「マジェスティック・ブルー」といった曲も要注目である。また、上記のホワイト(ヴォーカル)との相性およびバンドとしての演奏という点では、13.「タッチ・ザ・スカイ」の出来が特によいと感じる。アルバム締めくくり(ただし日本盤ではこの後にボートラが続く)となるインスト・ナンバーの15.「エア」は、バッハの「G線上のアリア」が原曲となっている。 [収録曲]1. Razor Eator2. Rise Up3. Valley of Kings4. Ship of Fools5. Attack!!6. Baroque & Roll7. Stronghold8. Mad Dog9. In the Name of God10. Freedom Isn't Free11. Majestic Blue12. Valhalla13. Touch the Sky14. Iron Clad15. Air16. Nobody's Fool 〈日本盤ボーナストラック〉2002年リリース。 【中古】CD Yngwie J. Malmsteens Rising Force Attack!! PCCY01582 CANYON Japan /00110 【中古】CD▼アタック!! レンタル落ち 以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、 クリックで応援よろしくお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月09日
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内容充実の初の公式ライヴ盤(後編)(前編からの続き)ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)の初ライヴ作『稲妻の夜~ニルス・ライヴ!』について、アルバム後半(2枚組の2枚目)の内容を見ていくことにしたい。 LP盤の2枚目前半(C面)は、クレイジー・ホース(ちなみに、ニルスはニール・ヤングのアルバムへの参加経験もある)に関連した2曲から始まる。II-1.「ベガーズ・デイ~ダニー・ウィッテンへの賛歌」は、かつてのクレイジー・ホースの中心的人物であったダニー・ウィッテン(ウィットン)に捧げられたナンバー。続くII-2.「ムーンティアーズ」は、ライヴの見せ場の一つで、実弟のトム・ロフグレンとの絡みも含め、ニルスのギターが聴きどころとなっている。II-3.「コード・オブ・ザ・ロード」は、この当時の最新作『稲妻(アイ・ケイム・トゥ・ダンス)』からのナンバーで、9分超の長い尺だが、曲の後半にかけてのギター・プレイが冴える。 LPで2枚目後半(D面)だったのが、最後の4曲。骨太のII-4.「ロックン・ロール・クルック」はファースト・ソロ作からの楽曲、歌も聴かせるタイプのII-5.「南へ(ゴーイン・サウス)」は、再び『稲妻』からの楽曲で、ギターもメロディアスな部分を含んでいるのがいい。II-6.「イッツ・オーヴァー(インシデンタリー…イッツ・オーヴァー)」は、ソロ2作目の『クライ・タフ』に収められていたものだが、ライヴ向けに盛り上げるアレンジが加わっている。アルバムを締めくくるII-7.「ロックン・ロール・ダンス(アイ・ケイム・トゥ・ダンス)」は、『稲妻』の表題曲。テンポ感のいい曲調とギターを存分に聴かせようという演奏(それゆえ、こちらも9分近い長尺)が魅力となっている。 なお、余談ながら、米国での再発CD盤では、II-2.「ムーンティアーズ」がカットされ、それ以外に複数の曲が短くされてしまっているとのことである(おそらくはそのせいで日本盤ライナーの曲目の番号も乱れている)。ちなみに、これと同じことは後の2枚組ライヴ盤『ニルス・ライヴ!~コード・オブ・ザ・ロード』でも起きいて、本来の2枚組をきちんと再現してもらいたいものだと思う。ともあれ、この盤については、日本で2014年に再発された紙ジャケ盤が2枚組をきちんと再現してくれているので、そちらを聴くことをお勧めする。[収録曲](Disc I)1. Take You to the Movies Tonight2. Back It Up 3. Keith Don't Go (Ode to the Glimmer Twin) 4. Like Rain ←ここまでLP盤のA面5. Cry Tough6. It's Not a Crime7. Goin' Back8. You're the Weight ←ここまでLP盤のB面(Disc II)1. Beggar's Day (Eulogy to Danny Whitten) 2. Moon Tears 3. Code of the Road ←ここまでLP盤のC面4. Rock & Roll Crook5. Goin' South6. Incidentally... It's Over7. I Came to Dance ←ここまでLP盤のD面1977年リリース。 ニルス・ロフグレン / 稲妻の夜〜ニルス・ライヴ! [CD] ニルス・ロフグレン / 稲妻の夜〜ニルス・ライヴ! [CD] ブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、ぜひクリックをお願いします。 ↓ ↓ ↓
2025年11月04日
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内容充実の初の公式ライヴ盤(前編) ニルス・ロフグレン(Nils Lofgren)は、1951年生まれのロック・ギタリスト。1970年代前半にグリンというバンドで活動したのち、1970年代半ばからはソロ名義で作品をリリースしていった(後にブルース・スプリングスティーンのE・ストリート・バンドに加入)。そんな彼にとって、最初のライヴアルバムとなったのが、2枚組として1977年に発表された本盤『稲妻の夜~ニルス・ライヴ!(Night After Night)』であった。ソロ・デビュー作のプロモーションのために1975年にスタジオ・ライヴ盤が制作(ただし正式リリースは30年以上経ってからだった)されていたものの、本当の意味でのライヴ盤という意味では、これが最初だった。 でもって、その内容はというと、秀逸なステージ演奏のオンパレードである。グリン時代の曲から、本ライヴ盤リリースと同年に出された最新作(『稲妻(アイ・ケイム・トゥ・ダンス)』)の曲まで幅広い選曲がなされ、完成度の高いパフォーマンスが展開されている。 最初の曲はI-1.「スターウォーズで決めよう(テイク・ユー・トゥ・ザ・ムーヴィーズ)」であるが、これはライヴのオープニングの1分半ほどの“枕”となる、エレキギターで軽く伴奏を付けた弾き語り風の演奏である。その後、勢いよくI-2.「バック・イット・アップ」が始まるところから、ライヴ本編が始まる。キース・リチャーズに捧げたI-3.「キース・ドント・ゴー」(オープニングのギターも、曲中のギター・ソロも、ギタリストとしてのニルスのよさが発揮されている)を挟み、グリン時代のバラード曲I-4.「ライク・レイン」へと続いていく。 LP時代の1枚目裏面(B面)は、前年(1976年)の『クライ・タフ』所収の2曲から始まる。I-5.「クライ・タフ」のシリアス感のあるギター・プレイは筆者のお気に入りで、I-6.「イッツ・ノット・クライム」は一転して明るい曲調。ファースト・ソロ作に収められたキャロル・キングによるナンバーのI-7.「ゴーイン・バック」は、ピアノ弾き語りの別の曲(「ビリーヴ」)から始まり、そのままニルスのピアノによるこの曲へと移っていく。続いては、同じくグリン時代の曲I-8.「きみがすべてさ(ユア・ザ・ウェイト)」。重くどちらかというとシリアスな曲調のものと明るめのポップのものを交互に配したり、ギター一辺倒にならず合間でギターを置いてピアノ演奏を挟むなど、ライヴとしても飽きさせないところも工夫が感じられる部分と言えるのかもしれない。 長くなってきたので、続きは後編に(収録曲の情報等は次回更新の後編をご覧ください)。 ニルス・ロフグレン / 稲妻の夜〜ニルス・ライヴ! [CD] 下記のブログランキングに参加しています。 応援くださる方は、バナーをクリックお願いします! ↓ ↓
2025年11月03日
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