音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2015年04月12日
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テーマ: 洋楽(3405)




 ありきたりな表現しかできないけれど、“美しい”という形容がこれほどしっくり来るアルバムもそう多くはない。1960年代末、ロックは新しい方向性を模索し始め、そして70年代に入りその新たな道筋(それは決して唯一ではなく、それは複数の道筋だった)が定まっていった。そんな時代の“美しき”一枚が、この『クロスビー、スティルス&ナッシュ(Crosby, Stills & Nash)』という風に思う。

 デヴィッド・クロスビー、スティーヴン・スティルス、グレアム・ナッシュの3人は、このアルバムの時点で既にその存在がよく知られたミュージシャンであった。D・クロスビーはザ・バーズ(The Byrds)のメンバーとして、S・スティルスはバッファロー・スプリングフィールドの一員として、さらにG・ナッシュはホリーズでの活躍によって、それぞれ名声を得たアーティストだったわけである。古臭い表現(でもかつてはこれがカッコいい響きを持っていた)で言えば、これら3人の集合体は、最初からまさしく“スーパーグループ”だった。

 “三人寄れば文殊の知恵”と言うけれども、名の知れたミュージシャン数名を集めて来たところで、そうそう簡単にはいい作品が作れるというものではない。時代とタイミングと言ってしまえば、大したことがないように響くかもしれない。けれども、各々がかつて在籍したグループでの活動に限界を感じ、従来のグループというよりは“ユニット”としての活動を意図し、そのタイミングがぴったりあったものと思われる。何よりもそ主眼は、従来のバンド形態の先を行く“ポスト・バンド活動”にあったように感じられる。そして、この“新鮮さ”を感じさせる各曲が魅力だと思う。

 このことは、言い換えれば、それまでバンドの音で奏でられてきた広義の“ロック音楽”がどこへ向かうのかという模索でもあった。つまるところ、ある種の限界や行き詰まりのような感覚を持っていたからこそ、次の段階、新たなステージを見据えた三者が意気投合し、それが美しいハーモニーを奏でることにつながった。

 捨て曲はなしと言えそうなアルバムだけれど、敢えて個人的好みでいくつかピックアップするならば、次のような感じになるだろうか。1.「組曲:青い目のジュデイ」は7分越えの長編ながら、この爽やかさが何とも心地いい。さらに、2.「マラケシュ急行」に続くこの出だしはアルバムの最大の聴きどころになっているように思う。あと、個人的な好みでは、8.「どうにもならない望み」の美しさが欠かせない。美しいハーモニーがすべてというアルバムでないというのは承知の上で敢えて言うけれども、個性の違う3人が個性の違う声でハーモニーをやってこれほど美しく仕上がるというのは、どんな組み合わせでも可能な技ではない。

 少々話が個別の曲に行ってしまったけれど、トータルとしては、3人が集まったことにより、個々にバンドではできなかったことがうまくできてしまったという感じがする。半分は偶然性かもしれないが、個々がユニット組んだ必然性はやっぱりあったのではないかと思う。




[収録曲]

1. Suite: Judy Blue Eyes

3. Guinnevere
4. You Don't Have To Cry
5. Pre-Road Downs
6. Wooden Ships
7. Lady Of The Island
8. Helplessly Hoping
9. Long Time Gone
10. 49 Bye-Byes

1969年リリース。





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Last updated  2015年04月12日 20時59分21秒 コメントを書く
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