音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2024年09月02日
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“世界一無名の天才ギタリスト”の超推奨盤


 世の中には才能を持ちつつも不世出に終わるという人もいる。ギタリストの世界において、そうした不遇の人物の一人がダニー・ガットン(Danny Gatton)であるというのは、多くの人に賛同してもらえるのではないかと思う。

 ダニー・ガットンは1945年、ワシントンD.C.出身。幼い頃にギターを始め、様々なアーティスト共に活動を繰り広げた。しかし、彼がメジャー・レーベルから初めて作品を発表したのは、1991年、つまりは45歳になってからのことであった。しかも、1994年には拳銃自殺してしまい、帰らぬ人となった。ほとんど日の目を浴びなかったことから、“世界でいちばん無名な天才ギタリスト”とか、“世界で最も偉大な無名ギタリスト”などと形容される。

 本盤『88・エルミラ・ストリート(88 Elmira St.)』は、1991年にエレクトラからリリースされた最初のメジャー・アルバムである。全編インストゥルメンタルで、これぞテレキャスターという演奏が余すことなく発揮された1枚である。

 アルバム全体を通じて多彩なプレー・スタイルが披露されているが、筆者の好みで何曲か挙げてみたい。まずは、これぞアメリカン・ギターといったフレーズ満載の1.「ファンキー・ママ」。テレキャスの音とカッコよさが文句なしの1曲である。似た方向性で個人的に気に入っているのは、7.「ザ・シンプソンズ」や8.「ムーサシップ」。いずれもロック系ギター・インストのカッコよさに満ちている。

他方、ブルージーな味わい深さや滋味溢れるギター・プレイという点では、3.「ブルース・ニューバーグ」や11.「スライディン・ホーム」がいい。また、リラックスした雰囲気でありながら器用さというか引き出しの多彩さが窺えるのが、4.「クワイエット・ヴィレッジ」や6.「イン・マイ・ルーム」である。

 ふだんはなかなかギター・インスト盤に手が出ないという人もいるだろうけれど、1980~90年代のロック系のギター・インスト盤としては、 こちらの盤 と双璧を成すお薦め盤と言える。上述したようにガットンはとっくの昔に亡くなってしまっているが、アルバム作品は聴かれ続けていってほしいと願う次第である。


[収録曲]


2. Elmira St. Boogie
3. Blues Newburg
4. Quiet Village
5. Red Label
6. In My Room
7. The Simpsons
8. Muthaship
9. Pretty Blue
10. Fandangus
11. Slidin' Home

1991年リリース。




【中古】 88・エルミラ・ストリート/ダニー・ガットン




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Last updated  2024年09月02日 23時49分57秒
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