音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2025年05月28日
XML
テーマ: ラテン音楽(421)
円熟と貫禄、安定の歌声


 エウヘニア・レオン(Eugenia León)は、メキシコの女性シンガー。1956年、メキシコシティ近郊の生まれなので、現在では70歳で、芸歴は40年をはるかに超える。そんな彼女が60歳を過ぎ、2019年にリリースした2枚組アルバムがこの『ア・ロス・クアトロ・ビエントス(A los 4 vientos)』である。

 CD2枚組と言っても、少々変則的な盤である。各々のCDは、いずれも曲数にして6曲、時間にして20分余りの収録時間で、ヴォリューム的にはミニ・アルバムを2枚組にしたような感じである。そんなわけで、実質的にはアルバム1枚分なのに2枚に分けたのは、連続して聴くのではなく、別個のものとして聴いてほしいという制作側の意図なのだろうと思われる(かつてのLP盤だったら、A面とB面でこういう心配はなかったのかもしれないのだけれど)。

 その内訳はというと、1枚目(Vol. 1)は“ランチェロ”、2枚目(Vol. 2)は“ノルテーニョ”の副題がついている。いずれもメキシコの地元音楽のジャンルで、各6曲ずつの塊が1枚ずつのCDとなっている。ランチェロ(ランチェラ)は、主に20世紀前半から半ばに発達し、大衆的人気を得たジャンル。ノルテーニョ(ノルテーニャ)の方は、その名(スペイン語で“北の”)の通り、メキシコ北部(とくに北西部のヌエボ・レオン州やタマウリパス州)で発展した大衆音楽である。

 お薦め曲をいくつか挙げておきたい。1枚目(ランチェロ)では、アルバム表題曲で、アルゼンチン人とメキシコ人が組んだロス・マコリーノスをフィーチャーした1.「ア・ロス・クアトロ・ビエントス」の正調ぶりがよい。その後も正統派のランチェラ音楽の楽曲が続くが、筆者がとくに好みなのは、2.「メ・ボイ・ア・キタール・デ・エンメディオ」や、ロサリーア・レオンと共演した5.「ビバン・ラス・ムヘーレス」といったところ。

 2枚目(ノルテーニョ)では、このジャンルに特徴的なアコーデオンやバホ・セスト(12弦ギターの一種)などの楽器が活躍し、よりにぎやかな雰囲気となる。お薦めとしては、ノルテーニョ・バンドのグルーポ・ペサードのメンバーであるペペ・エリソンドをフィーチャーした1.「ミ・フネラル」、エウヘニアの歌唱が冴える3.「テ・ウビエラス・イード・アンテス」、ノルテーニョのベテラン歌手であるラーロ・モーラ(Lalo Mora)とのデュエットの5.「エル・オンブレ・ケ・マス・テ・アモ」が挙げられる。

 この手の音楽は日本では好き嫌いがわかれるかもしれない。とはいえ、エウヘニア・レオンの歌のうまさと安定感がしっかりと示されていることと、1曲1曲が丁寧に仕上げられていることが特徴の1枚と言えそうだと思う。


[収録曲]

Disc 1 (Ranchero)

2. Me voy a quitar de enmedio
3. Frente a frente
4. No volveré (feat. Flor de Toloache)
5. ¡Vivan las mujeres! (feat. Rosalía León)
6. Compadécete (feat. Marimba de Zeferino Hermanos Nandayapa)

Disc 2 (Norteño)
1. Mi funeral (feat. Pepe Elizondo)
2. Le perdí el gusto al respiro (feat. Javier Ríos)
3. Te hubieras ido antes
4. Tierra mala
5. El hombre que más te amo (feat. Lalo Mora)


2019年リリース。




   以下のブログランキングに参加しています。お時間の許す方は、
   クリックで応援よろしくお願いします。
       ↓      ↓      ↓

にほんブログ村 音楽ブログ ワールドミュージックへ ブログランキング・にほんブログ村へ









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2025年05月28日 05時44分56秒
コメントを書く
[ラテン(ロック&ポップス)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: