音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2025年08月10日
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テーマ: 洋楽(3566)
詩人/シンガーソングライターによる幻の1枚


 ロッド・テイラー(Rod Taylor)は、1947年ノース・キャロライナ州生まれのミュージシャン。1970年代に入ると西海岸に移り、ミュージシャンとして活動するだけでなく、詩集を出版したりもしている。そんな彼が唯一残した作品が、1973年発表のセルフ・タイトル盤『ロッド・テイラー(Rod Taylor)』である。

 1971年に設立されたアサイラム・レコードにとって、トム・ウエイツの次に契約した13組目のアーティストが、このロッド・テイラーだったという。日本では“第2のレオン・ラッセル”の触れ込みで発売されたらしいが、日本国内どころかアメリカでもさっぱり売れなかったようである。

 確かに、売れなくても仕方なかった地味さがある。失礼ながら、名前からして地味だし、アルバムもやや陰気なセルフ・ポートレート写真で、淡々と歌を伝えるシンガーソングライター然とした雰囲気が醸し出されている(とはいえ、後述のメンバーを含む演奏自体は、必ずしも地味というわけではない)。全曲が次作で、プロデュースはチャック・プロトキン(ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンの作品のプロデュースでも知られる)が丁寧に仕事をしている。演奏面では、ライ・クーダー(ギター、マンドリン)、ジェシー・エド・デイヴィス(ギター)、ジョニ・ミッチェル(バッキング・ヴォーカル)など、なかなか豪華なミュージシャンたちがサポートしている。

 いくつかの曲をあげながら、アルバムを見渡しておきたい。オープニングの1.「アイ・オウト・トゥ・ノウ」は、ひたむきに詞を紡ぐシンガーソングライター的な楽曲。2.「クロスローズ・オブ・ザ・ワールド」は、南部風の泥臭さを伴うナンバーで、こういった曲は案外、筆者の好みだったりする。5.「メイキング・ア・ウェイ」は、どこかレオン・ラッセル風のテイストで、こういう楽曲でうまく火がついていたならば、ひょっとして売れたのかもと思わないでもない。ピアノをバックにした7.「危険な生活のブルース」も、同じくレオン・ラッセル風と言えるかもしれない。12.「ザ・ラスト・ソング」は、デビュー盤の締めくくりにこのタイトル(“最後の歌”)はどうかという気がしないでもないが、楽曲としてはなかなかの好曲。

 1970年代初頭、何人ものシンガーソングライターが現れては消えていった。テイラー自身も述べているように、その中では最も成功した口だったのだろう。その後、少しの活動歴があったようだが、テイラーの名は音楽史の表舞台には残らなかった。とはいえ、アルバムという形で残された本盤は密かな1枚として聴き継がれていくことだろう。


[収録曲]

1. I Ought to Know
2. Crossroads of the World

4. Double Life
5. Making A Way
6. Sweet Inspiration
7. Livin' Dangerous Blues
8. Something Old
9. Man Who Made It Fall
10. Lost Iron Man
11. For Me
12. The Last Song

1973年リリース。




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Last updated  2025年08月10日 04時36分11秒
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