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被差別部落の出身であることを隠せ、といわれつづけていた瀬川丑松が、父親の戒めを破り、教室で土下座して生徒に告白し、テキサス州に脱出しようとする。その無残な結末が批判されてきた。しかし、それは、「全国水平社」運動がはじまる、17年も前のことなのだ。
丑松を追い詰めていく、世間の酷薄さ、恐ろしさ、追い詰められていく丑松の恐怖、懊悩がよく書き分けられ、『破戒』を読む緊張感は次第に強まっていく。この百年を堪えてきた小説の重さは評価できる、とわたしは話した。
問題なのは、百年たっても、いまだに部落出身者、と分かると、採用を取りやめたり、結婚に反対する「非部落民」のほうである。差別意識は差別する人間のこころの問題である。 積極的に出自を明らかにし、「おれはブラクだ、あはっは」と嗤うひとたちがふえている。
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