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(大村歩)
「事実に反する報道。当該媒体に対しては直ちに厳重に抗議した」
4日の閣議後記者会見で世耕経産相は、こうまくしたてた。世耕氏がやり玉に挙げたのは、共同通信が2日に加盟社に配信した「MOX燃料の再処理断念」という記事だ。
原発を持つ電力会社10社は従来、通常の核燃料とMOX燃料の再処理費用をそれぞれ区別して、引当金を積み立ててきた。だが、2016年度以降、両者を区別せずに政府の認可法人「使用済燃料再処理機構」に拠出金として支払うようになった。区別されていない以上、その拠出金は事実上、一般の使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出すための施設・六ヶ所再処理工場(青森県、未完成)に使われる。だが、同工場ではMOX燃料の再処理はできない。従って「MOX再処理」は資金面での根拠を失い、断念したことになる-という内容だ。本紙も3日付朝刊で報じた。
これに対し、世耕氏は5日、ツイッターで「『事実上現在の再処理工場に使われる』と言うが、今はMOX再処理工場が無いのだから当然。しかし機構は将来のMOX再処理も含め総額費用算定し、長期計画を立てている」と反論。 つまり今後、MOX再処理に向けた具体策が動きだせぱ、そちらに資金が回るため、「MOX再処理の『資金面での根拠を失っ』たことにはならない」というわけだ。 確かに会計上、通常核燃料とMOX燃料を同じ「使用済み核燃料」と仕訳しただけと言えなくもない。
これについて、核燃料サイクルをめぐる会計問題に詳しい日本大の村井秀樹教授(会計学)は「世耕氏の主張は、政府の論理としてはぶれていない。使用済燃料再処理機構、それを根拠づけた再処理等拠出金法は、 とっくに破綻している核燃料サイクルの存続ありきで会計基準を定めた のだから」と指摘する。
どんな会計基準か。村井氏によれば、日本政府は1970年代以降、「使用済み核燃料を再処理して取り出したプルトニウムの価値は再処理費用を上回る」ことを前提にしてきた。電力会社もこの前提に基づき、使用済み核燃料を「資産」として計上してきた。しかし、 80年代から政府内でも、「再処理費用の方がプルトニウムの価値を大幅に上回る」との指摘が噴出。 その結果、再処理費用のための引当金制度が導入された。こうした経緯があったにもかかわらず、プルトニウムが「資産」という扱いは、現在もそのままだという。
「実態は 使用済み核燃料を価値ある資産とは言い難い が、会計上、資産と言い続けないと再処理の意義が崩壊する。だから使用済みMOX燃料にも資産価値があるとして、再処理し続けることにしないといけないのだろう」(村井氏)
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