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「使用済みMOX燃料は通常の使用済み核燃料よりむずっと危険度の高い厄介な存在。しかも再処理しても、燃料として使える部分は少ない。無理して再処理する意味はないと思う」。そう語るのは、放射性廃棄物処分に詳しい神奈川工科大の藤村陽教授(物理化学)だ。
MOX燃料は通常の核燃料より、放射線を出し続ける期間が長い超ウラン元素が多く含まれており、発熱量は約4倍にもなる。 MOX燃料が取り出し後50年たった通常核燃料と同程度に冷えるには、300年かかる。使用済みMOX燃料の中性子線は通常の使用済み核燃料の10倍で、 安全に保管するなら中性子線を遮断する水中で冷やしておくしかないが、50~100年単位で水冷可能なプールなど実現は考えにくい。
藤村教授は「発熱量も放射線量も厳しい条件となるため、MOX燃料は、通常核燃料よりも再処理時に出る放射性廃棄物を処分するには圧倒的に不利になる。また、使用済みMOX燃料は最初からプルトニウムが含まれているため、使用中に核分裂性でないプルトニウムが大量に含まれる(高次化)ようになり、再処理してこの汚れたプルトニウムを再びMOX燃料化して利用するのは現実的ではない」と指摘する。
にもかかわらず、使用済みMOX燃料を再処理してまたMOX燃料として原発で燃やすプルサーマルーサイクルについて、政府は無限リサイクルが可能であるような表現を続け、実際にそれで原発のコスト計算をしてきた。
原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「政府や電力会社は、再処理工場からMOX燃料加工工場、原発へとずっとグルグルと回り続けるかのような図を描いてきたが、実際には一回ぐるっと回ることさえ不可能だ」と指摘する。
政府は、MOX燃料再処理を手がける場合、新たに「第二再処理工場」を建設し、そこで再処理するとしてきた。
世耕氏がこれほど力んで「MOX再処理」を叫ぶ以上、政府はこの新工場を建設する方針を固めたかのように見えるのだが、伴氏は「技術面、コスト面、政策面から見ても、第二再処理工場はとうてい不可能だ」という。
そもそも通常の核燃料を再処理する六ヶ所再処理工場でさえ、1993年に着工して以降、稼働前からトラブルが続出。建設・運営する日本原燃は昨年、24回目の完成延期を発表した。当初7600億円だった建設費は約3兆円にまで膨らみ、総事業費は、13兆円に上る見通しだ。
この上、通常の使用済み核燃料よりはるかに厄介な使用済みMOX燃料を再処理する第二再処理工場を完成できる、とはとても信じられない。実際、使用済みMOX燃料を商業レベルで大規模に再処理した国はない。
一方で、国内外で長崎に投下された原爆6千発分・47トンのプルトニウムを持つ日本は、プルトニウムを削減するよう世界から圧力をかけられており、エネルギー基本計画でも初めて「プルトニウム削減」を言明せざるを得なくなった。
核燃料サイクルのもう一つの柱だった高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)を廃炉とし、大規模にプルトニウムを燃やす場がなくなった日本としては、プルサーマルで既存のプルトニウムをMOX燃料として消費していくしか道がないが、MOX燃料を再処理してプルトニウムを取り出してしまったら、せっかく減らしたプルトニウムをまた増やすことになる。
あらゆる意味で無駄としかいいようがないMOX燃料の再処理。伴氏は言う。
「世耕氏の怒りは、核燃料サイクル全体の行き詰まりを糊塗(こと)せざるを得ない原発推進側の焦りが背景にあるのではないか。もう矛盾は明らかなのだから、政策を転換すべきだ」
<デスクメモ>
「MOX再処理断念」報道に対する経産相の反論も、背景を調べてみれば、何ともうさんくさい。もんじゅが廃炉となり六ヶ所再処理工場さえまともに動かせない日本の技術力で、MOX再処理工場など言語道断だ。原発事故後の現実世界で、いつまで愚かな夢物語を見ているのか。(典)
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