フリーページ
「答弁を訂正する」との趣旨で、事件に関する説明を行った。証人喚問でもなく参考人招致でもなく、衆参両院の議院運営委員会という異例の場 ながら、まるで首相時代に逆戻りしたかのような「逃げ」と「開き直り」の答弁ぶり。このまま疑惑の桜を散らせて、幕引きさせていいのか。
(中山岳、榊原崇仁)
◆「深い反省」浅い一礼
午後零時55分。衆院第一委員室の傍聴席は、50人ほどの報道陣でひしめいていた。「密になってきましたね」。そんな声が聞こえる。間もなくすると青いスーツ姿の安倍氏がSP(警護官)に囲まれながら委員室へ。一礼して委員長の右手側に座った。
午後1時、議院運営委員会が始まる。発言を求めて挙手した安倍氏は白いマスクを着けたままマイクの前に立ち、釈明の言葉を語り始めた。ただ視線を向けたのは手元の文書。「深くおわびする」と述べたが、体を深く折ることはなく、2秒ほど小さく頭を下げる程度だった。
続いて始まった質疑の時間。「ウソについて謝罪は」などとただされると、安倍氏は机に両手をつきながら「私の知らない中で・・・」「深い反省の上に信頼回復に努める」と繰り返した。
質問側の3人目となったのが辻元清美氏(立民)。「民間ならコンプライアンス失格。社長は辞職と思いますよ」と議員辞職を迫られたが、安倍氏は再び「信頼回復に努める」と語ってかわし、自らの椅子に戻ると足を組んで一息ついた。
言葉ばかりの反省に「何をしにここに来られた」「相変わらず変わっていない」といらだちをぶつけた辻元氏。対照的だったのが遠藤敬氏(維新)。「安倍先生」「大きな功績があった」「私は信じたい」と持ち上げ、「政治資金規正法の大改革に向け、安倍先生のリーダーシップを期待する」と謎のエール。
委員会は一時間ほどで終わった。「時間が短すぎ」。そう訴えたのは宮本徹氏(共産)。横に並んで取材対応した辻元氏は「虚偽答弁できない証人喚問を改めて求めていく」と語った。
参院で議院運営委員会が始まったのが午後3時15分。安倍氏が「結果として(過去の)答弁の中には事実と反するものがあった」と語りだすと、野党議員たちは「具体性に欠ける」と反発して委員長の周りに集まり、一時中断した。
再開後、 最初に質問した高橋克法氏(自民)は24日の安倍氏の会見に触れ「丁寧な説明だった」と語った。野党席から「えーっ」という声が相次ぐ。 それでも「説明責任を果たそうとしている」と露骨なヨイショを繰り返す高橋氏に、野党席から失笑が漏れた。
一転して安倍氏に切り込んだのが福山哲郎氏(立民)。「秘書に責任をなすり付けてはいけない」と迫り、 安倍氏が「(ホテルに)立て替え払いしたのは地元の第一秘書ではなく、東京の責任者の秘書だ」とかみ合わない回答 をすると、 野党席から「何か言いたいんだよ」とヤジが飛んだ。
大トリの質問者は昨年の国会質問で桜疑惑に火を付けた田村智子氏(共産)。「夕食会は、参加者の個々人が契約主体ではなく、あなたの事務所側が契約主体ということでいいですね」と迫ったのに、ずれた答えをする安倍氏。田村氏は「答えていない!」と鋭く切り返し、さらに迫る。だが、あっという間に時間切れ。午後4時半、安倍氏は腕時計をちらりと見て、足早に去っていった。
◆怒る市民「理屈通らない」
国会周辺にいた市民たちからは、 この期に及んでまだ不可解な言い訳を繰り返す安倍氏 に対し、怒りの声が相次いで聞こえた。
東京都大田区の無職加瀬朋子さん(73)は「結局はこれまでと同じですよね。安倍さんが首相の時に何人も閣僚が辞めたのに、 安倍さんは『任命責任がある』と言うばかりで、なんの責任も取ってこなかった。今回もそう。 もういいかげんにしてほしい」と訴える。練馬区の会社員守屋真実さん(62)は「『秘書のせい』って言われても信用できないし、百歩譲ってそうだったとしても、部下の不始末だから私は知らないという理屈は、普通は通らないでしよ。世間の感覚からかけ離れすぎている」と嘆いた。
<デスクメモ>
うそ答弁を118回も重ねたことを反省し、答弁訂正のために現れたというにしては、ずいぶん頭の高い態度だった。7年8ヵ月も居座り勝手知ったる予算委員会の答弁席が、首相時代の習い性を思い出させたのだとすれば深刻な後遺症だ。もう、その首相然とした釈明は通用しない。(歩)
「貴族」生む養子策 憲法違反(7日の日… 2026年08月07日
[大弦小弦]金子文子と天皇(6日の日記) 2026年08月06日
「女系天皇誕生封じる」 海外、日本社会… 2026年08月05日
PR
キーワードサーチ
コメント新着