フリーページ

2023年08月10日
XML
テーマ: ニュース(96859)
カテゴリ: ニュース
神奈川県では数年前から川崎市に続いて相模原市でも「差別禁止条例」の制定を検討してきましたが、始めのうちは積極的な姿勢を示していた市長が途中から慎重な発言を繰り返すようになって、その後はどうなるのか危ぶまれる事態となりました。相模原市人権施策審議会が答申を出したのは一年前のことで、川崎市の条例と遜色の無い優れた内容の条例案であることを、本年7月23日の神奈川新聞は次のように書いています;



(構成・松島 佳子)


 「相模原市人権尊重のまちづくり条例(仮称)」の制定に向け、市人権施策審議会が市に答申した内容は画期的で非常に優れています。何か優れているのか。順番にお話したいと思います。

1点目は、2016年7月に相模原市で起きた津久井やまゆり園事件を「ヘイトクライム(差別的な動機に基づく犯罪)」と位置付け、前文に明記するよう市に求めたことです。 戦後最悪のヘイトクライムである津久井やまゆり園事件を法的に「ヘイトクライム」と認定することは大きな意義があり、日本の法制度上も初めてのことです。

 事件当時、日本政府や首相からこのような発信はありませんでした。差別、優生思想に基づくヘイトクライムでありながら、刑事裁判ではそのような認定はされず、行政も公的に批判をしませんでした。答申がはっきりとヘイトクライムと明記し、「差別はなくさないといけない」という姿勢を示したことは非常に画期的です。

◆大きな波及効果

2点目は、著しく悪質な差別的言動(ヘイトスピーチ)や犯罪扇動に対して「より強い厳しい措置を講ずる」として罰則規定を設けたことです。 悪質な差別的言動を禁止し、勧告・命令を経ても止めない場合は公表対象とし、著しく悪質なものは秩序罰(過料)または行政刑罰(罰金など)を科すとしています。

 悪質な差別的言動を禁止し罰則を科すことは本来、人種差別撤廃条約や自由権規約で求められている日本の国際人権法上の義務ですが、現在日本で規定しているのは川崎市の「差別のない人権尊重のまちづくり条例」のみとなっています。

 川崎市では同条例制定後、罰則付き禁止条項に違反する言動はほぼなくなるという明確な成果が出ています。川崎市の条例以降で公的機関が罰則付き差別禁止条項を提案したのは初めてで、川崎市のように在日コリアンの集住地区がない相模原市でこのような条例が実現すれば、波及効果は大きく、全国につながる大きな一歩になります。

 強調してお伝えしたいのは、 差別を禁止するということは人を処罰することが目的なのではなく、「差別をしてはいけない、許されない」ということを社会の共通認識にすることです。 差別を禁止する法律をつくることは社会を変える大きな力になり、被害者にとっては救済のきっかけになります。

■国際基準に合致

答申が優れている3点目は救済対象を人種、民族、国籍だけでなく、障害、性自認、性的思考、出身を理由に差別を受けた被害者を含めたことです。 津久井やまゆり園事件が起きた相模原市で障害を理由とする差別的言動を禁止し、著しく悪質なものについては罰則を科すということは非常に大きいと思います。

 外国ルーツの人たちに対するヘイトスピーチやヘイトデモのようなものは現実社会では他の属性に対しては表れていませんが、インターネット上ではあふれています。

 「殺処分でいいやん」「生産性のないやつは生きる価値なし」……。群馬県では特定の障害者に対してこのような書き込みがネット掲示板でなされ、裁判になっています。

 悪質な差別的言動を禁止し罰則を科す法律や条例がないため、差別を止めるためには個人が裁判を起こすしか方法がないのです。法律や条例ができれば、国や地方自治体が差別を止めるために主体的に動くことができます。`

 差別被害の拡大を防ぐという点で、答申が「差別事案が発生した場合、市長は速やかに非難声明を出す」としたことも大きな意義があります。首長など公的機関が明確に非難声明を出すことは、被害拡大を防ぐ抑止力になるからです。

 津久井やまゆり園事件が報道されると、ネット上には「犯人は在日」といった差別デマがあふれました。しかし、首相や首長など公的機関は非難声明を出さず、デマは拡散され、在日コリアンの市民は「新たなヘイトクライムの被害者になるのでは」という恐怖にさらされました。

 米ホワイトハウスが事件直後に事件を非難する声明を出したのに象徴されるように、欧米の多くの国では大統領や地方の首長が声明を出すことは当たり前となっています。

 こうした仕組みを機能させるため、答申は第三者機関「相模原市人権委員会」の設置を提案しています。この点も重要です。

 人権委員会はすでに世界の過半数の国に差別禁止法と共にセットで整備されています。 答申が示す「人権委員会」も行政から一定の独立性を有した専門的な機関 と言えます。

 日本には人権機関がなく、国連人権関連機関から繰り返し設置を勧告され、今年1月の国連の普遍的定期的審査でも29力国から設置を勧告されています。相模原市の条例で設置が実現すれば、国を動かす大きな力になると思います。

 答申に盛り込まれた内容はさまざまな国際人権機関からすでに要請されているものに応えるものです。国際的な基準を満たし、非常に正当な内容となっているのです。

 答申を条例として実現することは相模原市にとっても勇気や決断がいることだと思います。しかし、それだけの価値があり、被害当事者を含めて、市民は強く支持していると思います。


2023年7月23日 神奈川新聞朝刊 13ページ 「時代の正体-社会変える大きな力に」から引用

 LGBTQの人々を露骨に差別して「隣の家にそういう人が住んでると想像しただけでもゾッとする」などと発言して首相周辺の官僚が更迭されたのは、今年の春のことだったと思いますが、つい最近も片山さつき議員がLGBTQについて「生理的な嫌悪を感じる。これはもう、論理ではないので、話し合って解決というレベルではないんです」という主旨の発言をして、自分の発言の「差別性」をまったく認識できていないことを露呈してました。いくらこっちが「気持ち悪い」と感じても、それはこっちを気持ち悪く思わせる相手に責任があるというものではない、という事が分かっていない人物が国会議員をしていることが「問題」だと思います。片山議員が「気持ち悪い人だ」と感じるその人でも、片山氏と同じようにこの社会に暮らし己の人生を謳歌する「権利」があるのは当然であり、「アタシを気持ち悪がらせるような人に『人権』など認められません」と言わんばかりの発言が、こともあろうに国会議員の口からでるとは、「言語道断」を絵に描いたような話だと思います。このような人権意識の遅れた日本社会に、相模原市人権施策審議会が答申した条例案は、一抹の光明をもたらす効果は絶大です。是非とも年内に条例化を実現してほしいと思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2023年08月10日 01時00分07秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

佐原

佐原

コメント新着

捨てハン @ 潰れそうな新聞なら東京、朝日、毎日が挙がるかなぁ >全国紙は世論のありかを明らかにし、国…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: