2020/01/25
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米中貿易「第1段階合意」を中国はマジメに履行しない =後節=
= NewsWeek_Column_2020年mm月dd日、 中国深層ニュース 石平(せき・へい、1962年 中国四川省生まれ) 北京大学哲学部卒、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。


米大統領選に潜む大きな「抜け穴」
合意に従って、中国は2020年と21年の2年間で、農産物・エネルギーなどを含めた米国製品を追加で2000億ドル分を買うこととなっている。しかし一部の経済紙や専門家が分析したように、その完全履行は中国にとって極めて難しい。経済の減速に従って中国の国内需要がむしろ減っていく中で、今までの輸入ペースを維持した上でさらに米国製品を追加で大量購入するのは、国内需要の面からしても購買能力の面からしてもかなりの無理を強いられる。

その一方、明確な数値目標が決められているこの約束の履行を、中国がごまかすのも結構難しい。履行しなければ、トランプ政権はいつでも中国に対する制裁関税の追加や引き上げを実行する。

それでは中国はどうするのか。実は中国にとって幸いなことに、「2年間で2000億ドル分の米国製品を買う」という約束には、米大統領選と絡む1つの大きな抜け穴がある。この抜け穴とはすなわち、「2年間で2000億ドル分を買う」との約束はあるものの、最初の1年間、つまり2020年の今年にどれほど買うべきかは必ずしも明確に決められていない、ということである。

そうすると中国側はずる賢い方策を取ることができる。今年1年間、つまり米大統領選の結果とは関係なくトランプ大統領が確実に政権の座にいるこの1年間は、中国は約束した米国製品の購入を部分的に履行していく。例えばこの1年間で数百億ドル分の米国製品の追加購入を何とかして実現すれば、それでトランプ大統領のご機嫌を損なうことなく、合意を履行していることにもなる。

しかしその代わりに、年内に2000億ドル分の米国製品の半分以上を買うようなことは絶対しない。約束の「2000億ドル分米国製品購入」の大半をさまざまな理由をつけて来年の2021年に回す。そして今年11月まで大統領選の行方を見極める。



「バイデン当選」は中国のチャンス
もしトランプが落選すれば、来年1月には新政権が誕生する。新政権は当然民主党政権になるが、もし運良く親中のジョー・バイデン前副大統領が新しい大統領になれば、それこそ中国にとっての起死回生のチャンスとなる。

来年1月に新政権が成立すれば、中国はトランプ政権と交わした「第1段階合意」の履行を渋ったり停止したりできる。前述のように、第1段階合意の諸項目はすべて中国が履行していくものだから、中国が状況に応じて履行を止めることも簡単にできる。その際、第1段階合意の破棄を明確に宣言する必要はまったくない。中国側が履行を止めていれば「合意」はその時点で死ぬのである。

その場合、中国に対してアメリカが取り得る唯一の制裁手段はすなわち制裁関税の引き上げあるいは追加拡大である。しかし、中国に圧力をかけるために、中国製品に対して大規模な制裁関税をかけるというやり方はそもそもトランプの発明であって、トランプだからこそ取れる強硬手段・非常手段である。新しい大統領が今のトランプと同じような強硬手段を取るかどうかはかなり疑問であろう。

おそらく、新大統領が「第2のトランプ」でなければ、中国との貿易戦争の拡大にはなかなか踏み切れない。それこそ中国側の期待する展開である。

その際、今の第1段階合意の履行を一旦止めてから、アメリカの新政権との間で「自由貿易」の理念に基づく新たな貿易協議の再開を呼びかけ、米中間の貿易枠組みの再構築を目指すのが中国の新戦略となるであろう。それによって中国は、今のような悪夢の現状から脱出できる。



もちろんそれはトランプが再選を果たせないという前提であって、中国側の一方的な甘い期待ではある。しかし今の習政権には、そう期待する以外に難局打開の方法がない。トランプ政権との間で最初から履行困難な「第1段階合意」に署名した以上、この厄介な政権の早い終結に賭けるしかない。理論的には、この賭けの勝算は50%程度あるはずである。

しかし、もしトランプが再選を果たして来年からも引き続き大統領であるなら、中国は一体どうするのか。おそらく習政権とっては、それはそうなった時に考える問題で、今の緊急課題ではないのだろう。習政権にとっては、米国製品をほどほどに買うことで少なくとも今年いっぱい貿易戦争のさらなる拡大を避けることができれば、それはまず大いなる成果なのである。

第1段階の米中合意を「ほどほど」にして履行していくというのはおそらく、米国製品の購入だけでなく、他の合意内容の履行でも中国側の戦術となろう。知的財産権の保護にしても外国企業にたいする技術移転の強要にしても、中国は年内には今までの悪行をある程度控え目にしてアメリカに「改善」の実績をつくって見せるだろう。

そして来年になって別の政権がアメリカで誕生するのであれば、最初から検証可能な数値目標のないこれらの合意事項の履行を放棄するのはいとも簡単である。

「第2段回の合意」はもはやない
第1段階の合意について結論を言えば、今年いっぱいは中国も米国製品の大量購入を含めた合意事項をある程度履行していくだろう。だが、来年になってどうなるのかは米大統領選の結果次第である。

トランプが再選すれば、中国は苦しみながらも合意を履行していくしかないが、来年1月にアメリカの政権が変わった場合、中国が合意不履行に踏み切る可能性は大である。後者の場合、米中間の貿易戦争となるのかどうかはアメリカの新政権・新大統領の考え方と政治スタイルによるので、今のところ予想は不可能だ。

最後に1つ付け加えれば、いわゆる「米中貿易第2段階の合意」は大統領選前はもはやないと考えた方がいい。選挙前の「第2段階の合意」が不可能だからこそ、双方は「第1段階合意」で手打ちしたわけである。今後の問題はむしろ、この「第1段階合意」がきちんと履行されていくのか、にある。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2020/01/25 05:50:06 AM
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