文豪のつぶやき

2005.07.24
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カテゴリ: 新撰組
伊東甲子太郎の遺骸を引き取るべく、高台寺党の面々が七条油小路に来た。
用意した駕籠に遺骸を入れようと、伊東のそばに寄ったとき四十余人の新撰組が取り囲んだ。
高台寺党は、篠原泰之進、藤堂平助、服部武雄、鈴木三樹三郎、富山弥兵衛、毛内有之助、加納鷲雄の七人。
これ以前、高台寺党は塔中の月真院で町役人の知らせを受けた。
生憎、この七人しかいなかった。他の者は所用で不在である。
かれらには伊東の遺骸のそばに大量の新撰組隊士を伏せてあることは知っている。
それをわずか七人で斬り込むのか。相手は名うての新撰組である。
伊東の実弟の鈴木三樹三郎は、
「新撰組とて、もとは同志、礼を尽くして話せば遺骸を引き渡してくれるのではないか」

長老ともいうべき篠原泰之進が口を開いた。
「この期に及んで生死をいっている場合ではない。剣あるのみ」
これで大勢が決まった。
篠原はさらに云った。
「甲冑などはつけるな。討死した時に臆病のそしりを受ける。われわれは武士として死のう」
「からっといきましょう」
といったのは藤堂平助。元新撰組八番隊隊長である。かれは生来陽気でその性格を土方にまで愛された。
そういういきさつで伊東の遺骸を囲んだ高台寺党はたった七人、しかも平服である。





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最終更新日  2005.07.24 16:20:02
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