文豪のつぶやき

2014.07.04
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カテゴリ: 人間
グズタケはある友人の家に夕飯をたかりに行った。
友人は、東京の老舗のキムチの専門店で買ってきた大葉のキムチを出した。
結構高価なもので、味も辛さの中にコクがあり旨みがある。
キムチファンにとっては垂涎の食べ物である。
ところがグズタケは、グルメではない。甘めの卵焼きこそこの世でもっともおいしいものだと思っている。
辛いものも苦手だ。ようは子供の味覚なのである。
この大葉のキムチを一口食べるなり、
「これじゃあ拷問ですよ」
ちょっと私は辛いものは苦手です、など言い方があるだろうに。

グズタケのすぐ下の妹は近所にとついている。
グズタケたちの母が亡くなって以来、グズタケの面倒を見ている。
ただ母親と違うところは、グズタケを甘やかさない。
グズタケが何か言うと、頭ごなしに、
「兄ちゃんなに馬鹿なことをいってるんだ!」
と頭ごなしに怒鳴る。
妹にしてみれば夫がいて、小学生の子供がいて、その世話で忙しいのに、五十前の兄の面倒を見なくてはならない。
グズタケの膨大な借金も、妹が司法書士のところに連れて行きなんとか清算させた。
もっともグズタケは妹に従いつつも、
「余計なことをして」
と感謝する気持ちはない。

その妹に家に呼ばれ、食事を出されて時、妹はいくつもの小皿に少しずつおかずを出した。
グズタケはおとなしく食べ、帰りにクズマツの家に寄った。
クズマツは、グズタケが妹の家で食事をしてきたことを聞き、
「よかったですね。妹さんの手料理」
というと、

決して人を褒めないグズタケであった。





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最終更新日  2014.07.04 09:16:11
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