アリゾナのさぼてん

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2012年01月15日
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カテゴリ: サイエンス
大阪でも死者数千人 宝永地震の謎に迫る

2012.1.15 19:30

 西日本における東日本大震災級の大津波地震はこれまで、東海・東南海・南海地震の3連動地震(マグニチュード(M)8・7)のことを指し、国はこの見解にもとづいた被害予測を公表してきた。しかし、国内最大級のM9となった東日本大震災の発生に伴い、先月27日には国が新モデルを示すなど、現在見直し作業が進められている。そのカギを握るといわれている宝永地震(1707年)の謎に迫った。

東日本が定説覆す

 江戸時代に起きた宝永地震はこれまで、記録が比較的多数残っていることなどから「(記録上)国内最大級の地震」(推定M8・6)とされてきた。

 国の中央防災会議は平成15年、安政(1854年の南海、東海・東南海)や昭和(1944、1946年)など宝永地震以降に発生した5つの海溝型地震を対象に、3連動地震モデルを提示。2万人以上の犠牲者が予測されるなどとして警戒を呼びかけてきた。

 しかし、東日本大震災の発生で、国内で起きないといわれてきたM9地震が現実のものとなったため、3連動地震モデルに対し、地震研究者などから疑問の声があがり始めた。

宝永はM9だった?

 昨年10月の日本地震学会(静岡市)では、「宝永地震は3連動地震ではない」との声が相次いだ。



 また、静岡大学防災総合センターの石川有三客員教授は、宝永地震の震度分布と、発生から1カ月間に、余震が起きた地域の面積を東日本大震災と比べた。

 その結果、震度6だったエリアは、宝永地震が590キロで東日本大震災の450キロを上回った。また、余震域の面積は、東日本大震災の1・4倍だった。

 こうしたことから、石川客員教授は「宝永地震の震度はM9・1~9・3の大きさだった可能性が高い。宝永地震は3連動などではなく、全く別の超巨大地震だったかもしれない」と結論づけた。

大阪も死者2700?

 宝永地震は、大阪にも大きな被害をもたらした。

 「死亡人 七千人余」、「家数 六百三軒」、「洪水ニて死亡人 壱萬人」(『名なし草 大坂大地震之事』)

 「濱々大船ニて押崩され、潰家凡六百三軒」、「溺死人凡七千余人 此分不詳」(『波速之震事』)

 「合潰家六百三軒有之、死人一萬二千人」 (『寶永度大坂大地震之記』)

 これらの記述は京都歴史災害研究第10号(2009)「宝永地震(1707)における大坂での地震被害とその地理的要因」で分析されている。そのなかで、執筆者の西山昭仁氏、小松原琢氏は、宝永地震の地震と津波による被害は、大破・倒壊家屋約11000、死者約2700人との推定数をあげている。

謎の超巨大地震

 東京大地震研究所の古村孝志教授は、九州の大分県・龍神池に残る津波による堆積物が400~600年前のものだとする高知大の岡村真教授らの研究成果などから、宝永地震の震源域が、従来想定されていた震源域の西端が高知沖ではなく日向灘沖だった可能性を指摘した。



 それによると、地震の規模はM8・8で、平成15年に国が示した3連動地震よりも「津波の高さは倍の最大20メートル級になる」可能性があるという。

 こうした研究成果から、国の中央防災会議は昨年8月に設置された「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が12月27日、暫定の中間とりまとめを発表。

 古村教授らのモデルをさらに、群発地震が起きている紀伊半島、四国の内陸側に広げるM9規模の新モデルを提示した。

 今春にも最終報告が行われ、来年度中にも、その新モデルによって新たな「西日本大震災」の被害想定が示される見込みだが、地震や防災研究者の間からは、「これまでのようにひとつのモデルでひとつの被害想定を出すと、また、東日本大震災のように『想定外』の状況をつくりだすことになる」と、国に対して慎重な対応を求める声があがっている。

「思い込み前提の対策避けよ」橋本学・京都大防災研究所教授



 そもそも東日本大震災のようなM9クラスの地震が日本では起きないという考えも『思い込み』だった。東日本大震災や南海トラフで起きる海底の断層を震源とする地震は現在でも、海底の動きを示すデータが少なく、分からないことが多い。

 今後、国から示される南海トラフの地震モデルもある一定条件のもとの推測に過ぎなく、地震の実態を表すものではない。ただ、日本列島の成り立ちからみると、日本列島が、移動しているプレート(岩板)の上にのっており、それに伴って、100年から数百年の間をおいて、大きな津波を起こす巨大地震が起きていることは確かな事実だし、これからも起きるだろう。

 それに対して、われわれはどのように備えればよいのか。太平洋沿岸部や瀬戸内海沿岸部など少なくともこれまで津波に襲われた記録のある場所では、地形や現在の都市および産業構造など地域の特性を踏まえて、それぞれの地域社会の維持のために何を失ってはならないのかを考えるべきだろう。

 その一助のために、国が示す地震モデルや被害予測を利用すればよいのであり、これまでのように、人間が巨大な自然現象を相手に勝手に推測した想定地震を前提に矮小(わいしょう)化した対策を考えることだけは避けるべきだろう。そのことを東日本大震災は示してくれたのだと思う。
(産経新聞より)








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Last updated  2012年01月30日 01時03分15秒
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