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2004年11月13日
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「ひとつの作品をめぐる作家と検閲官の攻防を描く
会話劇」という内容から想像したのは、会話を重ねる毎に
理解が深まるどころか、お互いに離反し、一方が、どんどん
と深みにはまっていくというブラックユーモア的なものを
想像する。
小説で言えば、筒井康隆の「乗越駅の刑罰」や「カメロイド
文部省」である。

この映画は、そういう会話の面白さ・怖さというよりは、
作品をめぐる作家の執念のようなものに力点が置かれている。

あまりにも予定調和に終っていて、何かひとつ欠けている
感じがする。
それは、おそらく検閲官が作家と作品に心情的に近くなること
を描きすぎたせいではないかと思う。だから、最後に作家が
心情を吐露したところで、検閲官が最後の反撃を行う場面が、
それほどの衝撃ではないのである。

作家が召集されたこと、検閲官が作家に寄せる心情を、あまり
露出しないで、映像でさりげなく見せる方が良かったのでは
なかろうか。

この映画の作家にはモデルがいて、喜劇王エノケン・榎本健一
を支えた、青森市出身の劇作家・菊谷栄である。


だから、この映画は悲劇であり、戦争で死なざるをえなかった
作家の無念がこめられているはずであるが、それが充分には
伝わってこない。

さて、今年は榎本健一生誕100年という年である。
このことも映画公開にあたってもっと宣伝して欲しかった。





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最終更新日  2004年11月14日 00時50分17秒
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