《櫻井ジャーナル》

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2010.01.22
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 当局のリークで記事を書くことはないと公言する「マスコミ社員」がいる。勿論、リークとは情報提供者側からの表現であり、それを「取材」だと信じているのかもしれないが。

 例えば、取調室のような密室での話が外部に漏れているとするならば、当事者、つまり取り調べる側と取り調べられる側のどちらかが外部で話したのか、あるいは誰かが盗聴器を仕掛けていたのか、いずれかである。小沢一郎民主党幹事長をめぐる「疑惑報道」で問題になっているのは、そうした種類の話だ。

 拘束されている小沢幹事長の元秘書たちが記者に直接話すとは考えにくい。取り調べでの会話を外部に伝えるとするならば、その相手は弁護士だけだろう。この弁護士から話が外部に漏れたのでないとするならば、密室にいたもう一方の当事者、つまり検察側が記者に伝えたとしか考えられない。取調室に盗聴器を仕掛ける能力も度胸もマスコミにはないだろう。

 検察官に限らず、情報の提供者は意識してか無意識でかは別として、自分たちに都合の良い話をするものだ。検察側が事件に対する国民の見方をコントロールする目的で情報を流すことは十分にありえる。冤罪事件では、そうした検察/警察の情報操作が無実の人間を死の淵まで追い詰めているわけだ。勿論、処刑された人の中に無実の人がいた可能性もある。

 長野県松本市で引き起こされたサリン事件でも無関係の人間を犯人視する報道を行っていた。この「報道」も捜査当局が描いたシナリオに基づくものであり、マスコミは情報操作に荷担したのである。官僚にしろ政治家にしろ大企業の経営者にしろ、そうした社会的強者が流す情報に基づいて報道してきたのが日本のマスコミであり、そうした実態を反省しているようには見えない。

 もっとも、情報操作は世界的に見ても珍しくはない。アメリカがイギリスなどを引き連れてイラクを先制攻撃した際、ジョージ・W・ブッシュ政権が偽情報、あるいは誇張された情報を意図的に流し、日本を含む各国メディアがイラクの脅威を宣伝していたことも一例。イギリスでも開戦に至るプロセスの検証作業が進み、イラクに大量破壊兵器が存在するという情報に信憑性がないことを、少なくとも一部の閣僚は事前に承知していたことが明確になっている。そうした中、当時の首相トニー・ブレアも当時の状況について証言する。

 イラクだけでなく、アフガニスタンやユーゴスラビアを先制攻撃する前にも情報操作はあった。日本のマスコミも、そうした情報操作の片棒を担いだのだが、未だに反省も訂正もしていない。イラク攻撃にマイナスになりそうな行動をした日本人を誹謗中傷したことを忘れてもらっては困る。日本の場合、当時の政府やマスコミは未だに「説明責任」を果たそうとしていない。

 アメリカには「報道の自由」があるかのように語る人が日本には多いようだが、1970年代の半ば、アメリカ議会の調査などで組織的な情報操作が展開されていたことが明らかになっている。当時、CIAから資金を提供されていた記者は少なくとも400名に達する。日本の場合、その当時で月に何十万円かを受け取っていた記者がいるとする「噂」も流れている。当局に使われている記者の大半は、自分たちの立場を理解していないだろうが。

 それだけでなく、1948年にはCIAのドンとも言うべきアレン・ダレスやその部下、そしてワシントン・ポストのオーナーだったフィリップ・グラハム(キャサリン・グラハムの夫)たちが中心になって情報支配ネットワークを作り上げていた。ジョン・F・ケネディ大統領暗殺の瞬間を撮影した「ザプルーダー・フィルム」を隠すように命じたLIFEのC・D・ジャクソンも彼らの仲間だ。



 大企業の利害にかかわる出来事の場合、マスコミは大切なスポンサーでもある大企業を配慮して報道することが多いのだが、そうした情報が事実に反すると指摘されても、官庁によって「オーソライズされていますから」と何の恥じらいもなく答える記者が少なくない。つまり、官僚のリークに情報を頼ることに疑問を持っていない。言うまでもなく、そうしたリークをシステム化した存在が「記者クラブ」である。(記者クラブの弊害は多くの人が指摘しているので、ここでは割愛する。)

 特にマスコミの劣化が進んだのは1980年代からで、「多角的な取材」などしているとは到底、思えない。「当局のリークで記事を書くことはない」と叫んでむなしさを感じないほど彼らは鈍感になったのだろうか?





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最終更新日  2010.01.22 15:37:46


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