《櫻井ジャーナル》

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2010.04.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 ロイター電によると、昨年9月、チェチェンで独立派と戦う親ロシア派のラムザン・カディロフ大統領は、アメリカやイギリスの情報機関員がコーカサスをロシアから分離させるため、破壊活動に参加していると発言している。独立派を利用して米英両国がロシアを分裂させようとしているというわけだ。

 そうした工作の象徴的な存在として挙げられているのが独立派のナンバー3だったリズバン・チティゴフ。1990年代の前半に数年の間、アメリカで生活した経験がある。1994年にチェチェンへ帰国してから武装闘争の情報部門を統括していたこともあり、ロシア側は彼がCIAの協力者、あるいは工作員だと疑っていた。

 チティゴフは、1999年8月に始まった第二次チェチェン戦争(北コーカサス戦争)で注目された人物でもある。2001年にロシアの治安当局はチティゴフが毒ガスのリチンを入手したとする情報を得て捜索、FSB(連邦保安局)は独立派の地下基地で毒ガスを押収することに成功した。2005年3月にチティゴフは戦死しているが、この戦闘でロシア側の部隊を指揮していたカディロフは、その際、アメリカの運転免許証やアメリカの書類も発見したという。

 アメリカ側がロシアに対する軍事的な動きを活発化させるのはジョージ・W・ブッシュ政権の時代、つまりネオコン(新保守)たちの戦略である。本コラムでは何度も指摘しているように、ネオコンとはイスラエルを第一に考える人々であり、イスラエルの軍事強硬派と密接な関係を維持してきた。

 前回も指摘したように、ロシアでウラジミール・プーチンが実権を握ってからイスラエル系の富豪たちはイギリスやイスラエルへ亡命し、イギリスではロスチャイルド卿をはじめとする権力者と手を組んだ。ネオコンとも密接な関係を築いている。チェチェンの独立にネオコンが熱心なことも知られている。

 プーチン時代の前、つまりボリス・エリツィンの時代には一部の人間がロシア国民の資産を二束三文で手に入れ、大富豪になった。その大富豪と手を組んで一儲けを企んだ日本人もいたようだが、こうした人々の思惑は「とらぬ狸の皮算用」で終わってしまった。ロシア乗っ取りは挫折してしまったということでもある。

 大富豪たちのロシア支配が続けば、ロシア国民が貧困に喘ぐだけでなく、イスラエルと密接な関係にある勢力が石油などロシアの資源を押さえ、膨大な数の核兵器を手にすることになった。中東全域が火の海になれば、彼らの世界に対する影響力は強まる。ネオコンが産油国のベネズエラでクーデターを企てた理由のひとつは、この辺にある気がする。

 この話も以前に書いたが、グルジアの現政権にもイスラエルが深く食い込んでいる。ロシアへの軍事行動の黒幕はイスラエルだとクレムリンでは考えているようだが、おそらくこの分析は正しい。イスラエルはネオコンと共鳴し合い、アグレッシブになっている。言うまでもなく、こうした動きを危険視する勢力も西側には存在しているはずで、イスラエル政府の思惑通りにことは進んでいない。(イスラエルとロシアとの関係に興味がある方は、拙著『アメリカ帝国はイランで墓穴を掘る』を)

 世界には独立を目指して活動している人や組織は少なくない。多くの場合、少数派として虐げられた歴史があるのだが、西側で独立運動を展開すれば「テロリスト」と呼ばれてしまう。ところが、コソボにしろチェチェンにしろ、東側で独立運動を展開すれば英雄として扱われる。言うまでもなく、西側、特にアメリカやイギリスがそうした独立派を利用できるからである。






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最終更新日  2010.04.02 03:26:26


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