《櫻井ジャーナル》

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巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2010.04.05
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 新年度が始まった。大企業の業績が回復し、年収が1500万円を超える高額所得者の数は増えているらしいが、その一方で庶民の貧困化は止まらない。第2次世界大戦の前も後も、政府は巨大企業や富裕層に富を集中させる政策を続けてきたわけで、当然の結果である。

 労働と賃金が「等価交換」されているならば、企業が利益を出すことはできない。大企業の経営者は、労働者や下請け企業に正当な対価を支払わずに生産し、儲けてきた。いわば、「遣らずぶったくり」である。非正規雇用の拡大などで、「ぶったくり」ぶりは度を超し、その結果として、庶民は「世代の再生産」すら危うい状況に陥り、日本の社会は崩壊寸前、経済は沈没しつつある。

 社会的に、そして経済的に優位な立場にある人々は、儲けを社会に還流させようとはしない。かといって、金庫に眠らせておくようなこともしない。つまり、金融市場と呼ばれるカジノへ資金を投入してきた。こうしたカジノ・ブームが始まってしばらくは資金が市場へ流入するので相場は高くなるが、それも限界がある。つまりピークアウトするときがきて、暴落するのが自然の流れ。暴落が怖いなら、暴騰させてはいけないのだ。

 博打打ちが相場で負けて身ぐるみはがれるのは自業自得なのだが、その博打打ちの負けを庶民に押しつけるのが現代資本主義の仕組みである。「大きすぎて潰せない」というなら、潰せる程度に小さく分割させるべきなのだが、それは拒否するというのだから恐れ入る。誰かも言っていたが、資本主義の支配者は、自分たちが競争することを嫌がる。競争を強制されるのはあくまでも庶民だけということだ。

 旧植民地から富を奪う手法も限界に達し、ロシア乗っ取りは失敗、中国を支配することも簡単ではない。かつてのように、富の偏在による社会の不安定化を、他国の富を略奪することで緩和させることは困難な時代に入っているのであり、労働者や下請け企業へ適正な対価を支払うよう、巨大企業に強制する義務が政府には生じている。

 巨大企業の業績好調と日本経済の衰退はコインの裏表の関係にある。巨大企業や富裕層を優遇する不公正なシステムの歪みが貧困層を拡大させ、「社会保障費」を膨らませることになる。つまり、社会保障の経費を賄うため、貧困層の負担が重い消費税を増やすという理屈は矛盾しているのだ。社会保障費を減らしたいならば、まず大企業に対して労働者や下請け企業へ適切な対価を支払わせるように求め、所得税の累進税率を高め、法人税を引き上げなければならない。税金や社会保障の負担という点で、日本企業は国際的に優遇されているのだ。

 大企業が儲ければ、下請け企業や労働者にもカネが回るという妄想を未だに信じている人がいるとは思えないが、大企業を儲けさせれば良いという主張は民主党政権になっても残っている。勿論、大企業をスポンサーとするマスコミも、大企業や富裕層にとって好ましくない話はしたがらないが、そうした舞台裏は庶民に見抜かれていると自覚するべきだろう。日本の社会を破壊し、経済を衰退させた責任がマスコミにもある。





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最終更新日  2010.04.06 02:03:17


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