《櫻井ジャーナル》

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2010.04.07
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 アメリカのニューヨーク・タイムズ紙は4月6日付けの紙面で、バラク・オバマ政権がアメリカ市民の暗殺を承認する方向に向かって動き始めたと報じた。そのターゲットはイエメンで生活していると言われるイスラムの聖職者、アンワール・アルアウラキ。

 この聖職者に心酔していたというニダル・マリク・ハッサン少佐(軍の精神科医)がテキサス州の米軍基地で銃を乱射して13名を殺害しているほか、ハッサンの事件から約1カ月後にナイジェリア人のウマール・ファルーク・アブドゥルムタッラーブがノースウエスト航空の旅客機を爆破しようとしたとされているのだが、このナイジェリア人はイエメンでアルアラウキの教えを受けていたとアメリカの情報当局は語っている。勿論、こうした話は、あくまでもアメリカ側の主張にすぎないが。

 同紙を含む報道が正しいならば、アメリカ大統領が裁判を経ずに自国民を処刑しようとしていることを意味する。勿論、アメリカの権力機構の内部に「暗殺チーム」が存在していると信じている人は多く、「何を今さら」と言う人もいるだろう。かつて情報機関に所属していた情報源によると、司法省の内部にも、そうしたチームが存在するそうだ。

 また、CIAの歴史に興味のある人ならば、「ZRライフル」という名前を聞いたことがあるだろう。1960年代にCIAが始めた要人暗殺計画で、ウィリアム・ハーベイが指揮していた。

 ベトナム戦争の最中には、「フェニックス・プログラム」と名づけられた、農民皆殺し作戦も展開されていた。(詳しくは、拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照)ジョージ・W・ブッシュ政権でフェニックス・プログラムに参加していた人物が表舞台に復活していたが、そうした流れがオバマ政権でも続いているのだろう。

 しかし、大統領がアメリカ市民の暗殺を承認するとなると、問題は深刻だ。「一部の暴走」という弁解ができなくなる。監視の目が厳しくなった現在、「非合法な暗殺」を実行するリスクが高まったので、「合法的な暗殺」を行うしかなくなったのかもしれない。

 アメリカの対テロ当局はアルアウラキの容疑を挙げているようだが、その主張が正しいかどうかを検討する裁判をパスするというわけで、民主主義のプロセスを無視することを意味している。政権が交代したからといって、アメリカの情報収集能力が飛躍的に強化され、政府機関は誠実になったということはないだろう。

 ところで、アフガニスタンやイラクでは、アメリカ軍の将兵や傭兵たちが無差別攻撃で市民を虐殺している。その一端はWikiLeaksに暴露されたが、そうした「テロ行為」を命令しているアメリカの要人たちをどこかの国、あるいは組織が「テロリスト」と認定し、彼らの「暗殺リスト」に加えたとき、アメリカ政府は喜んで受け入れるのだろうか?





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最終更新日  2010.04.08 03:06:59


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