《櫻井ジャーナル》

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2010.05.29
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 米軍再編に絡む海兵隊の「普天間基地(飛行場)」の問題で鳩山由紀夫首相は当初、国外への移設を主張していた。ところが結局は実現せず、名護市の「辺野古崎地区」へ移すということでアメリカ政府と合意、その流れで消費者担当相を務めていた社民党の福島瑞穂党首を罷免した。アメリカ政府や同政府の「走狗」と言えそうな言動を繰り返していた岡田克也外相や北沢俊美防衛相に完敗した形だ。

 鳩山首相は当初の主張を翻すにあたって「抑止力」という言葉を使ったが、アメリカの海兵隊が抑止力になっていないことは多くの人が指摘している。そもそも「抑止力」という用語を使いたがるのは、アメリカが「防衛的」だという前提で議論を進めたいからにほかならないのだが、歴史を振り返れば、この前提が事実に反していることがわかる。戦後だけに限っても、ソ連への先制核攻撃を計画する一方、民主的なプロセスで誕生した政権を軍事クーデターで潰し、イタリアでは「爆弾テロ」の黒幕だった可能性が高い。ビル・クリントン政権ではユーゴスラビアを先制攻撃、ジョージ・W・ブッシュ政権はアフガニスタンやイラクへ攻め込み、占領軍として住民を今でも殺害し続けている。

 ブッシュ政権は核戦争も視野に入れていた。2002年に核攻撃の潜在的なターゲットとしてイラク、イラン、シリア、リビアというイスラム諸国のほか、朝鮮、中国、ロシアを挙げていた。明らかに新保守(ネオコン/親イスラエル派)の戦略である。

 この新保守は偽情報を有効に使い、多くの人々を操ってきた。ブッシュ・ジュニア政権では偽情報を流すため、OSP(特別計画局)を設置している。あくまでも事実に基づく分析を行うCIAやDIAに不満を持つ新保守としては、こうした機関が必要だったわけだ。この新機関は、自分たちの描くシナリオに合わない情報を事実として受け取らない。要するに、旧日本軍の作戦参謀と似ている。

 さて、基地問題に関する鳩山首相の判断に影響を与えた出来事のひとつが、韓国軍の哨戒艦「天安」が沈没した事件なのだが、この事件は1982年10月にスウェーデンの領海で起こった潜水艦騒動を連想させる。国籍不明の潜水艦が侵入して大捕物が展開され、根拠が曖昧なままソ連の潜水艦だということにされた事件だ。

 ちなみに、1983年4月には千島列島の近くでアメリカ軍が大規模な艦隊演習を実施、その際に艦載機が日本の「北方領土」上空を飛行してソ連を挑発した。さらに、8月31日から9月1日にかけて、北西太平洋では大韓航空機がソ連の領空を侵犯し、重要な軍事基地の上空を飛行して撃墜されるという事件が起こっている。この年の10月には、危うく核戦争が始まるところだった。

 スウェーデンで潜水艦の追跡劇が始まるのは、アメリカから嫌われていたオルフ・パルメが首相に返り咲く1週間前のこと。この大捕物でスウェーデン国民の反ソ連感情が高まり、1980年まで5~10%だったソ連を脅威と考える人が事件後の1983年には40%に急上昇している。

 ところが、この事件を調査していたノルウェーの情報将校は、問題の潜水艦を西側のものだ断言している。事件の直前、9月にNATO軍は北ヨーロッパ地域で上陸演習「ノーザン・ウェディング」を、またバルト海では「USバルトップス」を、さらに対潜水艦戦の訓練「ノットバーブ」を実施しているのだが、特に注目されているのが「ノットバーブ」だ。

 韓国軍の哨戒艦が沈没した事件でも軍事演習が近くの海域で行われていた。敵軍の侵入に対処するための米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」だ。今回の哨戒艦沈没でロシアが米韓両政府の主張に懐疑的なのも当然だろう。ソ連時代に自分たちも似たような状況に陥ったことがあるのだ。



 ところで、1982年の事件に限らず、アメリカによる大規模な「テロ活動」や侵略計画を、日本では新聞も雑誌もテレビも出版社も学者もまともに取り上げてこなかった。例えば、「テロ」や「旅客機撃墜」を演出してキューバ人の犯行に見せかけて軍事侵攻の口実にしようとした「ノースウッズ作戦」、ベトナム戦争で展開した反米的な地域の村民を皆殺しにしようとした「フェニックス・プログラム」、あるいはイタリアで左翼を装って展開した「爆弾テロ」とその黒幕だった「グラディオ」などだ。朝鮮が嫌いだからといって、「希望的観測」をするべきではない。





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最終更新日  2010.05.30 01:18:37


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