《櫻井ジャーナル》

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2010.06.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 NATO(北大西洋条約機構)に加盟している国の船が公海上で襲撃されたが、NATO軍は船を助けず、襲撃した国に報復もしない。軍事同盟とは、所詮こんなものなのだろう。

 この軍事同盟で中心的な存在のアメリカ政府などは、ヒラリー・クリントン国務長官が各国政府の要人に電話してイスラエル批判を抑えるように要請、ジョー・バイデン副大統領は襲撃を擁護する発言をしている。公海上を航行している船が何を積んでいるのか知る権利がイスラエルにはあるというわけだ。

 そもそも、問題の根本には先住のパレスチナ人を暴力で追い出し、「イスラエル」なる国を建国したことにある。この地に「ユダヤ人の国」を作るというアイデアは、イギリスが考え出したもので、1838年にイギリスはエルサレムに領事館を建設、1840年になるとイギリスのタイムズ紙は、イギリス政府が「ユダヤ人」の復興を考えていると報じている。ユダヤ教徒はイギリスに利用されただけということ。そうした背景があるため、ユダヤ教徒の一部はシオニスト/シオニズムを徹底的に攻撃してきた。

 ところで、エルサレムにある丘「シオン」に戻ろうという運動(シオニズム)を政治活動として始めたのはハンガリーに生まれたセオドール・ヘルツルで、この人物がシオニズムに関する本を出版したのは1896年のこと。一般に「近代シオニズム」はこのヘルツルに始まるとされているが、それより前からイギリスはイスラエルの建国を考えていたわけである。帝政ロシアでユダヤ教徒の虐殺、「ポグロム」が起こるのは19世紀後半からのことなので、この出来事よりも前からイギリスはイスラエル建国のプランがあったということにもなる。

 それはともかく、イスラエル建国以来、多くのパレスチナ人が故郷を追われ、虐殺されてきた。そのひとつの結果がガザの収容所化であり、今回の支援船「マビ・マルマラ」襲撃と活動家殺害である。

 船を襲ったのはイスラエル海軍の特殊部隊「シャエテット13」だと考えられている。海から陸地への侵入、暗殺、対テロ、破壊活動、海上における情報収集や人質救出などが任務であり、日頃からそうした訓練を受けてきたはずだ。つまり、「敵」は殺す。

 活動家を殺すのは計画に含まれていたと考える人もいる。殺人によって恐怖を植えつけて支援船をガザに向かわせる計画を止めようとしたというわけだ。この推測が正しいとするならば、その目論見は大きく外れた。大多数の国の人々を敵に回しただけで、ガザ支援の動きは弱まりそうにない。

 世界的な非難の声に慌てたのか、 イスラエル政府は自分たちに都合良く編集したビデオを公開 している。船にはイスラエルの情報機関員が何人か乗り込んでいるので、彼らは襲撃の手引きだけでなく撮影も担当していたかもしれない。が、どのような映像を流そうとも、問題は襲撃にあるわけで、周辺にある棒やチェーンなどで自衛行動をとったとしてもイスラエルの責任は軽減されない。





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最終更新日  2010.06.04 02:26:14


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