《櫻井ジャーナル》

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2010.09.20
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 「雇用」を強調しながら目は財界に向き、外交面では「対米従属」というよりも「ネオコン追随」の菅直人政権。1990年代からネオコンは東アジアを潜在的な脅威と主張、成長を止めようとしている。「第2次朝鮮戦争」を計画していたこともある。菅首相が言うところの「抑止力」とは、ネオコンの戦略に基づく発言だと解釈するべきだろう。

 日本経済は1970年代に行き詰まっていた。アメリカにしろ日本にしろ、富の集中が進み、社会を循環する資金が枯渇しての行き詰まりであり、「石油危機」はその結果にすぎない。本コラムでも指摘したように、石油価格の高騰はアメリカの巨大石油企業からの要請だった。

 不景気といっても、富が消えたわけではない。一部に滞留しているだけである。それが「カネ余り」であり、企業は「財テク(投機)」へ走って「バブル」につながった。国債を発行した大きな理由のひとつは、そうした投機資金を吸収することにある。投機先を提供したとも言える。この政策が日本を地獄へと導くことになった。

 大企業に資金が集中すれば、経済は崩壊する。だぶついた資金を社会へ還流させる政策を政府は推進しなければならなかった。下請け企業や労働者に適切な対価を支払うということである。社会を資金が循環すれば、「内需」は拡大して景気は良くなる。非正規雇用の拡大など論外だ。(日本のマスコミは非正規雇用で儲けてきたのだが)

 ところが、菅政権は富の集中を促進しようとしている。法人減税(富裕層優遇)と消費税率のアップ(庶民冷遇)だ。日本の法人負担が世界的に見て軽いと言うことは、さまざまな人から指摘されている。マスコミはこうした事実を伝えたがらないが、これは否定できない。菅首相はどう考えているかわからないが、彼の政権は日本経済にとどめを刺しかねない。

 日本にとどまらず、菅政権は東アジア経済を揺さぶろうとしている。経済的なつながりが強まりつつある東アジアの不安定要因と言えば朝鮮と日本だろう。朝鮮は国内が不安定であり、日本には朝鮮や中国に喧嘩を売りたがる人が少なくない。韓国で強硬路線の李明博が大統領に就任したことも大きい。

 3月に沈没した韓国の哨戒艦は朝鮮の魚雷攻撃で沈没したと韓国政府は叫び、対話の道を閉ざそうとしたのだが、1989年から93年にかけて韓国駐在のアメリカ大使を務めていたドナルド・グレッグは暴走にブレーキをかけている。

 この事件に関し、早い段階から韓国政府の見解に疑問を投げかける人は多く、その中には調査団に参加していた人物も含まれていた。魚雷ではなく、機雷が原因だった可能性が高いというロシアの見解をグレッグは紹介、間接的に韓国政府を批判している。グレッグは旧保守の見解を代弁していると考えるべきだろう。

 グレッグの記事が出た直後、石垣海上保安部の巡視船が尖閣諸島の久場島沖で中国のトロール漁船の船長を「公務執行妨害」の容疑で逮捕した。漁船が故意に巡視船と衝突したという。



 公開しないのは問題外だが、公開しても時間を経てからでは、ガザ支援船を襲撃したイスラエル軍のケースのように映像を編集したと言われかねない。拘留を2度延長したということは、船長を起訴する材料が揃っていない可能性が高いわけで、映像が決定的な証拠になっていないのかもしれない。

 少し前、捕鯨船がシー・シェパードと衝突するということもあった。あの場合、日本で公開された映像は最初の部分が削られていた。都合が悪かったからだ。オリジナルの映像を見ると、先ず捕鯨船側が止まっていたシー・シェパードに向かって直進、直前で左へ舵を切ったのだが、その時シー・シェパードの船も危険を感じて前へ逃げようとして衝突したのだ。

 さて、内閣改造で菅首相は反中国派(要するにネオコンだが)と見られている前原誠司を外務大臣に据えた。菅政権は中国に対して友好的でないと判断されても仕方がないだろう。経済的なつながりが強まる中、賢明な政策だとは思えない。日本の経済力を中国が必要としていると考え、足下を見ているのかもしれないが、ネオコンの尻ばかり追いかけていると、大きなしっぺ返しを喰らう可能性がある。





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最終更新日  2010.09.21 00:17:09


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