《櫻井ジャーナル》

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2010.12.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 国の保有する情報は基本的に主権者、つまり国民のものであり、一部のエリートが独占することは許されない。ところが、権力者は情報を支配することで国民を操ってきた。日本は典型的だ。その仕組みを揺るがせているのが「告発支援サイト」のWikiLeaksである。このサイトを今回はこれまでと違う視点から眺めてみたい。

 アメリカの軍や国務省の秘密文書にしても、WikiLeaks自身が告発しているわけではない。別に内部告発者が存在し、その告発者が持ち出した文書を公表しているだけであり、誰が情報を持ち込むかはWikiLeaksの関知できない範囲の話。サイト側ができることは、公開するかしないかを判断するだけである。したがって、「ジュリアン・アッサンジは何者か」を議論する意味は薄く、問題は「告発者」だとも言える。

 純粋に権力犯罪、あるいは権力の暗部を告発したいという人もいるだろうが、ゲーム感覚で情報を流そうとする人がいても不思議ではない。それだけでなく、情報が漏れることを前提として、権力サイドが「偽情報」を潜り込ませておく可能性、あるいは権力抗争で攻撃の武器に使うというケースもありえる。

 アメリカ政府の秘密文書が大量に漏れたという事件は、1980年代にもあった。海軍情報部で働いていたジョナサン・ポラードという人物が、アメリカの秘密情報をイスラエルへ流したのである。ポラードは1985年11月に逮捕されて終身刑が言い渡されている。

 ポラードは「反テロリズム警報センター(ATAC)」にあった彼のコンピュータからコンピュータ・システムに侵入、合計すると約50万ページの文書を渡していたという。その中には、ソ連の戦略兵器システムに関する年次報告、アメリカの外交官が通信に使う暗号、アメリカのスパイ衛星が集めたデータ、米ソの極秘の航空機や部品のリストなどが含まれていた。この経験をアメリカ政府は生かしていなかったということだろう。

 ポラード事件が発覚した原因はアメリカとイスラエル、両国内部の権力抗争にあった。この件に限らず、権力抗争は権力システムの暗部を明るみに出すことが少なくない。この時の抗争は「イラン・コントラ事件」も露見させている。

 WikiLeaksに秘密文書を公開されたアメリカの国務省は現在、パレスチナ問題で苦境に立たされている。当事者であるイスラエルは先住のアラブ系住民を差別し、ヨルダン川西岸やガザ地区では軍隊を投入した弾圧、破壊、殺戮を繰り返し、巨大壁の建設や「入植」という形で「アパルトヘイト政策」を推進、EUからも批判されている。米国務省としても和平の「形」を作らざるをえないのだが、イスラエルの抵抗にあって身動きできない状態だ。この点に限るならば、WikiLeaksの外交文書公開はイスラエルにとって悪くはなかったと言えるかもしれない。

 現在、イスラエル政府やアメリカの親イスラエル派は、ポラードの釈放をアメリカ政府へ強く求めている。





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最終更新日  2010.12.09 16:46:15


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