《櫻井ジャーナル》

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2013.09.11
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 シリアに対する欧米の軍隊による直接的な攻撃はひとまず遠のいた。イスラエルやサウジアラビアが強く求めているが、アメリカと最も近い関係にあるイギリスがすでに離脱、ローマ教皇も軍事介入に反対、各国の世論も戦争を拒否している。アメリカ国内では軍隊の内部でも「アル・カイダのために戦いたくない」という声が挙がり、 下院では反対意見が圧倒、上院でも攻撃に賛成する見通しは立たない状況

 イスラエル/シオニストやサウジアラビアはアメリカに対して大きな影響力を持っていると考えられてきた。その2カ国が手を組んでいるにもかかわらず、彼らのプラン通りに事態が進んでいない。支配システムに大きな変化が起こっている可能性がある。シオニスト神話の崩壊は今後、大きな意味を持ってきそうだ。

 サウジアラビアの影響力が石油資源からきていることは言うまでもない。イスラエル/シオニストの場合は1970年代の前と後では事情が違う。イスラエルが建国を宣言した当時、選挙のキャスティングボートを握ることでアメリカの外交政策を動かしていた。そうしたことを可能にした一因は、ユダヤ系住民の4分の3以上がニューヨーク、カリフォルニア、ペンシルベニア、イリノイ、オハイオ、フロリダの6州に住んでいるということにあった。

 1970年代にはキリスト教原理主義者(聖書根本主義者とも言われる)と連携、それまでより、遙かに大きな影響力を持つようになった。このキリスト教の一派はキリストが再臨し、自分たちが救われることを願っているのだが、彼らの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行うことが前提。

 この最終戦争は核戦争だと彼らは考え、その戦いよって人類の歴史は幕を閉じることになっている。著名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていて、「四千万を超えるといわれる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体系を打ち立てている」(グレース・ハルセル著、越智道雄訳『核戦争を待望する人びと』朝日選書、1989年)

 こうした背景に基づき、イスラエル/シオニストはアメリカに大きな影響力を持ち、そのロビー団体であるAIPACに議員の大多数は従ってきた。その仕掛けが今回、機能していない。

 ダマスカス近郊のゴータで化学兵器が使われたとされているのは7月21日だが、その直後に ロシアのビタリー・チュルキン国連大使は国連の臨時会合で文書と衛星写真の情報に基づき、反シリア政府軍が支配しているドーマから2発のミサイルが発射され、ゴータで着弾していることを示した 。この情報がシリア攻撃に向かっていた流れを一変させた可能性が高い。

アラウィー派が住んでいるラタキアが反政府軍に襲撃され 、約200名が殺され、150名以上が拉致されたと伝えられている。拉致された住民の中には女性や子どもも含まれていたのだが、ゴータで殺されたとされる子どもの一部はラタキアから連れ去られているとする証言がある。この話も含め、ゴータに関する「西側」の情報には疑問があり、捏造されている疑いもあると「西側」からも指摘されている。

 反政府軍はシリア政府寄りと見られているアラウィー派やシーア派だけでなくキリスト教徒も破壊と殺戮の対象にしている。昨年、ホウラで虐殺が発覚した際、「西側」メディアは政府軍の仕業だと宣伝していたが、現地を調べた 東方カトリックの修道院長 は、反政府軍のサラフィ主義者や外国人傭兵が実行したと報告、この事実は フランクフルター・アルゲマイネ紙 も確認していた。

 修道院長は「もし、全ての人が真実を語るならば、シリアに平和をもたらすことができる。1年にわたる戦闘の後、西側メディアの押しつける偽情報が描く情景は、地上の真実と全く違っている。」と語っていた。シリアを破壊し、血の海にした責任の一端はメディアにあるということだ。

 シリア政府軍が化学兵器を使ったとする主張を否定する情報は次々に出てくる。最近の例では、9月に入ってから 反シリア政府軍に解放されたイタリア人ジャーナリストとベルギー人教師は、反政府軍がゴータで化学兵器を使ったと、彼らを拘束していた戦闘員が話していたと証言 している。

 こうした状況だが、イスラエル/シオニストやサウジアラビアはまだ諦めたわけでないだろう。 シリア政府が支配している地区から化学兵器をイスラエルに向かって発射するという計画 を反政府軍が立てているという情報も流れているが、こうしたショッキングな出来事を演出して一気に戦争へ突入するというシナリオが消えたわけではない。シリアの体制転覆を狙っている勢力は追い詰められているが、それだけに状況を一変させるような衝撃的な作戦を練っている可能性がある。





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最終更新日  2013.09.11 23:51:50


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