ウォーターゲート事件を追及した記者のひとりとして有名なカール・バーンスタインは1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、その直後にローリング・ストーン誌で「CIAとメディア」という記事を書いている。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977)その記事によると、当時、400名以上のジャーナリストがCIAのために働き、1950年から66年にかけて、ニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供しているとCIAの高官は語ったという。
バーンスタインが働いていたワシントン・ポスト紙は情報統制と深く結びついている。アメリカの支配層は第2次世界大戦が終わって間もない1948年頃、「モッキンバード」と呼ばれる情報操作プログラムをスタートさせている。その中心人物は4名。大戦中からアメリカの情報活動を指揮していたアレン・ダレス、その側近で戦後は破壊工作を目的とする極秘機関OPCを指揮したフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官となるリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハムである。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)