《櫻井ジャーナル》

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2016.03.24
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 ブリュッセルで地下鉄と空港が爆破された約1時間後、ベルギーの有力テレビ局は監視カメラがその瞬間をとらえた映像と称するものを流したのだが、 駅の映像 ミンスク 、空港の映像は同年1月の モスクワ 。つまり偽物だった。「相変わらず」ということである。

Brussels

 ちなみに、空港の警備を請け負っていた ICTS は1982年にシン・ベト(イスラエルの治安機関)の元メンバーらによって創設された会社。オランダ、ドイツ、スペイン、イタリア、ポルトガル、日本、ロシアなどの空港でも仕事をしている。警備の問題も問われることになるだろう。

 今回の爆破はダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)が実行したとされているが、この集団はアル・カイダ系のAQI(DIAによるとアル・ヌスラと実態は同じ)から派生、西側諸国、ペルシャ湾岸産油国、イスラエルなどが支援、手先として利用してきた。最近ではサウジアラビアやトルコとの関係が特に緊密だが、勿論、アメリカがこうした武装勢力を力で押さえつけようとしているわけではない。

 AQIは2004年、サダム・フセイン体制をアメリカ主導の連合軍が軍事的に破壊したことを受け、イラクで組織された。2006年にはAQIが中心になってISIが編成され、活動範囲をシリアへ広げてからダーイッシュと呼ばれるようになった。ウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官によると、 ダーイッシュはアメリカの友好国と同盟国がイラン系のヒズボラと戦わせるために作り上げた 戦闘集団。サウジアラビア、イスラエル、トルコなどを指しているのだろうが、アメリカ自身も加わっている。

ヨルダン北部に設置された秘密基地で反シリア政府軍の戦闘員を育成するための訓練 を始め、ダーイッシュが登場してくる。この新しいタグを付けた集団は2014年1月にイラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはファルージャやモスルを制圧した。偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで武装集団の動きをアメリカの軍や情報機関は知っていたはずだが、何もしていない。トヨタ製の真新しい小型トラック「ハイラックス」を連ねたパレードをさせている。

 アメリカ軍の情報機関 DIAが2012年8月に作成された報告書 によると、シリア政府軍と戦っている戦闘集団の主力はAQI、サラフ主義者(ワッハーブ派)、ムスリム同胞団であり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。1970年代の終盤からアメリカ支配層の手先として戦ってきた「イスラム過激派」の主力はサラフ主義者であり、歴史的にムスリム同胞団はサラフ主義者の影響を強く受けている。

 こうした武装集団を使い、アメリカ/NATO、サウジアラビア/ペルシャ湾岸産油国、イスラエルはシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒そうとしている。その実態を誤魔化すために作られたタグが「穏健派」。そうした集団が事実上、存在しないことをDIAも指摘しているわけだが、西側の政府やメディアはそのタグを使い続けている。

 その後、シリア東部からイラク北西部にかけての地域をダーイッシュが支配するようになるが、それは2012年の報告書で予測されていた。それを承知の上でバラク・オバマ米大統領は反シリア政府軍を支援したわけだ。そこで、報告書が作成された当時にDIA局長を務めていたマイケル・フリン中将は、 ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が行った決断による と主張しているわけだ。フリン中将は退役後の現在もダーイッシュの危険性を強調、アサド排除を優先する勢力を批判している。

 まだダーイッシュなるタグが存在していなかった2011年3月、国内で戦闘は始まった直後にムアンマル・アル・カダフィは「 地中海が『混乱の海』になるだろう 」と警告しているが、この警告は昨年2月に注目される。ダーイッシュは難民50万人をヨーロッパへ送り込むと脅したことを受けてのことだ。

 カダフィは終始、政府軍と戦っている勢力を「アル・カイダ」だと主張していた。実際、その通りだったことは本ブログで何度も書いている。より正確に言うと「アル・カイダ系武装集団」で、リビアの場合は LIFG と呼ばれていた。

 ブリュッセルでの爆破をダーイッシュが行ったとするならば、西側諸国、トルコ、ペルシャ湾岸諸国、そしてイスラエルが黒幕でなかったとしても、大きな責任がある。中東/北アフリカでアメリカ支配層から自立した国を戦乱で破壊すれば難民問題が発生することは明白で、ヨーロッパが代償を払わねばならなくなることもロシアから警告されていた。そうした警告を無視、アメリカ支配層の命令に従ったのがEUの「エリート」たちだ。






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最終更新日  2016.03.25 15:36:39


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