《櫻井ジャーナル》

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2016.03.25
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 サウジアラビアと同様、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権がアル・カイダ系武装勢力やそこから派生したダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)を支援していることは広く知られている。シリアやロシアの政府だけでなく、アメリカのジョー・バイデン米副大統領も公の席で認めている事実だ。

 2014年10月2日、バイデン副大統領はハーバード大学で講演、その際にシリアにおける「戦いは長くかつ困難なものとなる。 この問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEだ 」と述べ、あまりにも多くの戦闘員に国境通過を許してしまい、いたずらにダーイッシュを増強させてしまったことをトルコのエルドアン大統領は後悔していたとも語っている。

 勿論、エルドアン大統領はダーイッシュへの支援を後悔していない。最近はEUを揺さぶるために使っている。

 3月22日のブリュッセルにおける爆破に参加したとされるイブラヒム・バクラウィとハリド・バクラウィの兄弟はベルギー生まれ。兄のイブラヒムは2010年に強盗で逮捕された際にAK-47で警官を銃撃、懲役9年を言い渡され、ハリドは2011年にAK-47の不法所持で逮捕され、カージャックの罪で懲役5年を言い渡されていた。刑期を終える前に外へ出られたわけだ。昨年6月にイブラヒムはシリアとトルコとの国境近くで拘束されて「国外追放」になり、ベルギー経由か直接かは不明だが、オランダへ入国したという。「国外追放」の際、トルコの当局者が同行せず、送り先の国の当局者へ引き渡すという手続きをとらなかったとするならば、それはトルコ政府が「テロリスト」をEUへ送り込んだと言うべきである。

 バクラウィ兄弟のような、あるいはそれ以上に戦闘経験を積んだ数百人程度のメンバーがEUへ送り込まれたと言われているが、その作戦は「ダーイッシュの首都」とも呼ばれていたシリアのラッカで練られ、戦闘員や「自爆攻撃」の要員をリクルートしていたとする情報がある。

 2014年にラッカをシリア政府軍が攻撃した際にカタール、サウジアラビア、トルコの将校が拘束され、その後の尋問でトルコの情報機関MITが自爆攻撃の背後にいることが判明したという。トルコ人「テロリスト」のネットワークが数年前からヨーロッパで張り巡らされ、その工作には犯罪組織が協力、イスラエルやサウジアラビアのグループが関係してるという。

 こうしたネットワークを考える場合、「NATOの秘密部隊」を忘れてはならない。イタリアで1960年代から80年代にかけて「極左」を装って爆弾攻撃を繰り返し、クーデターを計画した「グラディオ」やローマ教皇ヨハネ・パウロ2世をメンバーが銃撃したトルコの「灰色の狼」が有名だが、全NATO加盟国にそうした秘密部隊は存在、そのネットワークはまだ機能しているはずだ。(詳しくは拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』を参照。)

 この秘密部隊の始まりは第2次世界大戦の終盤、ドイツ軍がソ連軍との戦いで敗れて敗走しはじめてから米英情報機関が組織した「ゲリラ戦部隊」のジェドバラ。大戦後、アメリカ支配層の一部は破壊活動を継続するため、CIAの外部にOPC(当初の名称は特別プロジェクト局)を作るが、そのベースになった。この極秘機関は1950年10月にCIAへ吸収され、翌年1月にはアレン・ダレスが副長官としてCIAへ乗り込み、「計画局」になる。1970年代に行われた議会の調査で秘密工作の一部が露見、1973年に「作戦局」へ名称が変更され、2005年にはNCS(国家秘密局)になった。この人脈が「NATOの秘密部隊」を操っている。



 裁判の内容を秘密にしなければならないほどのことをエルドアン政権はしているわけだが、その政権をアメリカなど西側は放置している。そのひとつの結果がブリュッセルでの爆破事件だが、トルコを含む好戦派を押さえ込まない限り、似たことが今後も続くと覚悟する必要がある。

 アメリカにも元DIA局長のマイケル・フリン退役中将のようにダーイッシュの危険性を訴えている人も出て来たが、軍人にしろメディアの人間にしろ、西側では沈黙している人が圧倒的に多い。





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最終更新日  2016.03.26 18:32:20


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