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2007年06月28日
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カテゴリ: 海外文学
大西洋に浮かぶ未開の美しい島で、夫の暴力から逃れてきた美人カメラマンと、不思議な双子の兄弟が遭遇。やがて殺意に満ちた狂暴な夫が島へ…。“一気読み”のサスペンス。








『警察署長』 のスチュアート・C・ウッズ、面白いに違いない無いと安心して読み始められれる作家さんデス。


単行本は97年同社刊。題名のパリンドロームとは”回文”のこと。”回文”とは「仇が来たか」のように上から読んでも下から読んでも同じになる語句。夫の暴力から逃れるため、大西洋に浮かぶ美しい島カンバーランドにやってきた女流写真家のエリザベス。島で彼女は不思議な双子の青年と出会い惹かれてゆく。逃亡の身を忘れかけたころ、彼女の行方を知る者が次々と殺されて――あいつが私を追ってくる。

 DV(ドメスティック・バイオレンス)という設定の話はイロイロありますが、S・キングの『ローズ・マダー』や、映画では、ジェニファー・ロペス主演の 『イナフ』 は強烈でした。ローズ・マダーの暴力夫は刑事ですが、『パリングロード』の暴力夫は、ステロイドで頭がイカれたプロフットボール選手。脳みそも筋肉という感じ。現実に、プロフットボール選手の妻殺し(疑惑)O・J・シンプソン事件が有名ですが、原著の刊行は事件の3年前。 ポジションも同じランニングバックです。薬物使用によるプロスポーツ世界の腐敗や狂気が、ジワジワ始まっていた頃なのでしょうか。。現実に先駆けての、小説ネタになるとは。。


読み終わってみると、突っ込みどころもあるのですが、例えば島のオーナー一族にあっという間に気に入られるヒロイン。遺言状の連署人になったり、ちゃっかり、別荘を遺産でいただいちゃったり。。
元暴力夫による連続殺人事件や、謎の双子のことなど展開はスピィーディー。都合の悪い奴はワニに喰わせてしまうという、手っ取り早い展開には、ホラー要素も、猟奇的要素も無い、爽快感を味わえます。

また、『警察署長』でもあった、アメリカの南部的情緒。島でかつて奴隷だった黒人や、長年、島のオーナーだった一族の、年代記とまでは今回は描いてないですが、過去から現代への、人の営みというか、素晴らしいことも愚かしいこともかつてあり、現在のようになったのだな、と。時の流れようなものを感じれるのが、ウッズ作品の魅力ですが、それが健在でした。


 カンバーランドは米ジョージア州にある実在の島。96年にジョン・F・ケネディ・ジュニアがキャロリン・ベセットと結婚式を挙げたことで有名。彼らは99年にジョン自身が操縦する小型機の墜落事故でケネディ一族の不吉な歴史にまた新たな死を刻んだ。

 役者のあとがきにも、あO・J・シンプソン事件に触れています。大リーグで大問題になっているステロイド。小説にあるように、ステロイドが人体へ与える影響、凶暴性が事実ならば、恐ろしいことです。著者のウッズはそれほど社会性を考えてはいないでしょうが。単に小説の題材に取り上げたというところか。、作品を通しての謎めいた雰囲気は、ウッズの名作『湖底の家』に通じるところがあるようです。


■著者紹介

〈ウッズ〉アメリカの作家。著書に「警察署長」「潜行」「湖底の家」「ホワイト・カーゴ」など。







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最終更新日  2007年06月28日 22時13分36秒


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