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2009年09月22日
ジェフリー・アーチャー 『メディア買収の野望』
テーマ:
お勧めの本(7418)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
【内容】
チェコスロバキアの貧しいユダヤ人の家に生れたルブジは、ナチ収容所から脱走し、英国に密航する。名をアームストロングと改め、生来の語学の才と商才を武器に、ほとんど詐欺的手段で新聞事業を興す。少し遅れてオーストラリアに生れたタウンゼンドは、オクスフォード大を卒業し、父親から新聞社を受け継ぐ。大衆受けを狙った強引な編集方針が成功し、ついに全国紙を所有する。
【著者ノート】より
1789年五月、ルイ16世はヴェルサイユ宮に「三部会」を召集した。
三部会の
第一身分を構成するのは、三百名の貴族だった。
第二身分を構成するのは、三百名の聖職者だった。
第三身分を構成するのは、六百名の平民だった。
フランス革命のあとで、エドマンド・バークはイギリス下院の新聞記者席を見上げて、「あそこに第四身分が座っている。かれらは議員全体よりも重要な存在である」と述べた。
『メディア買収の野望』の原題は『THE FOURTH ESTATE』 第四の身分である。
【感想】
メディア界における二人の有名人物がモデル。
リチャード・アームストロングは、メディアの世界を支配すべく企業買収を重ねた末に財政破綻し、謎の死を遂げたロバート・マクスウェルがモデルです。
もう一人の主人公 キース・タウンゼントは、1996年にソフトバンクの孫正義と共にテレビ朝日の買収を試みて失敗したオーストラリアのメディア王ルパート・マードックがモデルだそうです。
アームストロングも、タウンゼントも、二人とも、社交界ではいまひとつ容認されない存在です。アームストロングはユダヤ人(移民)であること、タウンゼントはオーストラリア人(植民地出身)であることから、上流層にどうも蔑まされてます。二人とも一匹狼タイプで世間のことはあまり気にしませんが。
昔は、オーストラリアはイギリスからの罪人が流される国、植民地だったことから、大英帝国の誇りにこだわる人に、一段下に見られていたよう。
歴史を感じますね。
こうした出身国や人種、身分による微妙な差別意識が、イギリスやらアメリカやらではあったのだなぁ、という勉強にもなる本でした。
一方で、情報戦争というか、相手の弱みを握って一発逆転劇、小競り合いが多々。
それにしても、このふたりは、似た者同士です。
新聞王をめざしているうちに出会うことになるふたり。
相手を出し抜こうと様々な手を使います。
アームストロングは、掌中の珠とも言うべき秘書を、愛人に目にくらんで手離したのは、ものすごい痛手だったと思いますね。一方のタウンゼントは、自社の部下だった理解度抜群の女性を妻に出来てラッキーでした。この差は、若い頃の女性との付き合いで痛い目にあったことがあるかないか、の差かな~と思いましたね。なにしろタウンゼンは、学生時代は、ずいぶんチャランポランな小ズルイ青年に見えましたから。アームストロングは、逆に、ユダヤ人ということでの迫害を潜り抜け、軍隊を経験し、真面目な青年でスタートしたのに、徐々に人を騙したり、約束を守らないというやり方に毒されちゃいましたね。
『運命の息子』の主人公達と真逆な、そのライヴァルタイプで、なんでもあり系。
あくまでも新聞業界のキングになることが彼らの”野望”。
ジェフリー・アーチャー 本感想
ジェフリー・アーチャー
「チェルシー・テラスへの道」
「百万ドルを取り返せ」
「めざせダウニング街10番地」
「十二本の毒矢」
「ロシア皇帝の密約」
「ケインとアベル」
「大統領に知らせますか?」
「ロスノフスキ家の娘」
「十二の意外な結末」
「十二枚のだまし絵」
「メディア買収の野望」
「十一番目の戒律」
「十四の嘘と真実」
「運命の息子」
「ゴッホは欺く」
「プリズン・ストーリーズ」
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最終更新日 2009年10月19日 00時04分25秒
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