ふたつのリアル

 「しばし、石になります。」私は以前こんなことを書いて「忙しくなってしまったので、『物欲日記』は更新できないよぉ~」ということを何気なく表現した訳ですが、『物欲日記』をリスタートさせるにあたって、いまの「現実」と「仮想」の2つの世界の間での慌て振りや価値の比重について、ちょっと書き残しておきたいと思います。
 ふだん私たちが生活している「現実」の世界を基準とすると、趣味として作っているホームページが仕事か何かが理由で更新できなかったとしても、一般的には「現実」の方を優先すべき問題として理解されることが普通です。しかし、ここ楽天のような「仮想」の世界に自分の生活する場所を誕生させ、ご近所さん達と交流を始めてみると、いつしか、それも「現実」の世界のひとつであることを認識し始めます。そして、そこを基準とした価値観は、いつしか「現実」世界並に膨張していくのです。そして、ある人によっては、その領域の比重が逆転してしまったり、ある人によっては、2つの世界を掛け持ちで生きられずに、そのどちらかで生命を絶ってしまうようなことも起こるでしょう。
 たかが個人の遊びであったはずのホームページが、なぜこのような楽天のような場所で、意外と感じるほどの心理的な影響力を持つのでしょうか?
 「日記」とは、元来、自分の内面を表現し自分だけが見るものでした。しかし、他人に見せたり意見を聞いたりする「コミュニケーションツール」になった段階で、そこに小さな生命が芽生えたのかもしれません。つまり、「何かとコミュニケーションすること=生きること」と私は考える訳です。私は、楽天のような「仮想」の世界に自分の生活する場所を誕生させてみて、改めて「目的を持つ」とか、「突然放棄したらまずい」とか、日常生活では当たり前すぎて、あまり見えなくなった人としての責任みたいなものを、ここでも感じたんですよね。
 過去、この世の中におんなじ顔をした人は3人いるなどと言われてきました。現在、我々は、専門家達が行う遺伝子操作によってクローンが創り出されていることに不安と期待を感じながら、既に特別な意識もせずこの小さな画面の中に自分のクローンを誕生させているのかもしれません。

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