ある後追いファンが語る河合奈保子さん

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2024.10.11
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カテゴリ: 河合奈保子
河合奈保子さんの初期のアルバムから1曲ずつ紹介してきたので、順番でいうと次は「けんかをやめて」が収録されているアルバム『あるばむ』です(まぎらわしい笑)が、その前にシングル版「けんかをやめて」のB面に収録されている曲が「黄昏ブルー」です。再び竹内まりやさんには申し訳ないのですが、「けんかをやめて」が様々な意味で河合奈保子さんにとってひとつの転機になったことを十分認めつつ、私はB面の「黄昏ブルー」の方が好きなのです。いや、「けんかをやめて」の歌詞にもあるように(ないけど)、違うタイプの曲を好きになってしまうのです。。

「​ 木枯らしの乙女たち ​」のところで書いたように、「黄昏ブルー」は私が勝手に名付けた「若草恵B面三部作」の一作目です。といっても、実は一つ前のシングル「夏のヒロイン」のB面「ゆれてーあなただけ」も若草恵さんのアレンジではあるのですが…ともかくこの曲、作詞:竜真知子/作曲:馬飼野康二/編曲:若草恵という組み合わせなのですが、私には刺さりまくるタイプの曲です。「スマイル・フォー・ミー」をはじめ、いわゆる「アイドルソング」的な楽曲を奈保子さんに数多く提供してきた馬飼野康二さんですが、西城秀樹さんの「傷だらけのローラ」や「ブルースカイブルー」などの作曲者でもあります。この「黄昏ブルー」は、そうした馬飼野さんの別の面を聴くことができます。

今は見られなくなっているようですが、だいぶ前に『宇宙戦艦ヤマト』の画像にこの曲をBGMとして流した動画を見たことがありまして、歌詞を別とすればまったく違和感なくはまっているように感じました。イントロや間奏でのピアノが印象的なこの曲、たぶん『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』のア・バオア・クーの戦いのバックで流しても合いそうな気がします。そういえば、実際に挿入歌として使われた井上大輔さんの「めぐりあい」は「黄昏ブルー」とはテンポがまったく違う曲ですが、やはりピアノが印象的な曲です…と思いつつ調べてみたら、この曲の作詞は「井荻麟、売野雅勇」となっているではありませんか!いや、だから河合奈保子さんの「黄昏ブルー」が『ガンダム』に合う、と主張するのはあまりに無茶なのは十分承知しているのですが…

話が妙な方向にいってしまいましたが、「黄昏ブルー」はAマイナーでアップテンポの哀愁感あふれる曲です。若草恵さんらしくリリカルなピアノソロに始まり、ストリングスの情熱的なメロディーのあと、トレモロに切り替わると秋風を思わせる女声コーラスが入る…というイントロだけでも十分ドラマチックですが、歌の展開も起伏に富んでいます。Aメロの終わりで一度頂点を作ったあと、Bメロの「愛していても…」でいったん音量を落としてレガート気味に歌ってから後半でふたたび盛り上げるのですが、サビに向かってのロングトーンに重なるストリングスの上昇半音階がスリリングです。

サビでの奈保子さんの歌い方は、すでに同じようなことを何度も書いていて恐縮ですが、やはり発音の良さと音の切り方、抜き方がたいへん素晴らしいです。これを「けんかをやめて」でも聴ける芯のある澄んだ声で歌われるのですから言うことはありません。それに加えて、サビ後半のフレーズ「まっすぐに…」の「ま」が良い、と言ったら聴き方としてはあまりにマニアックかもしれません。そういえば「​ デリカシー ​」について書いた時も「まま」の発音について触れましたが、どうも私は河合奈保子さんの「ま」の発音に惹かれてしまうようです。少し調べたところ「ま」は分類としては「ぱ」や「ば」と同じ「破裂音」なのだそうです。奈保子さんは破裂音に限らず子音の発音がはっきりしており、いわゆる活舌が良いタイプであることは歌唱時以外の喋り方からも感じられるところですが、この「まっすぐに」は特に印象的です。この部分の譜面が、実際にどのように書かれていたのかはわかりませんが、私には「2+3」のリズムに聴こえます(無理やりクラシックのたとえを用いると、いわゆる「ブルックナーリズム」)。ただ、「まっすぐに」の前半のリズムは「ま」の次が「っ」で実質発音されないため、冒頭の「ま」がとても重要なポイントになります。これを明確に、かつ綺麗に発音することで、文字通り「まっすぐ」な表情が出ていると私は感じます。

ちなみに、奈保子さんは破裂音を常に明確に発音しているわけではなく、この曲でいうとAメロの「ぽっかり」はソフトに発音されています。そのいっぽうで、このあとの「待ちぼうけ」の「ま」がまた良いのです…ちょっと変態か自分?

さて、「まっすぐに」と同じリズムのサビ後半の歌詞は「ゆれながら…」、ここも前半と同じ「2+3」のリズムになっている、はずなのですが、奈保子さんの歌い方は「まっすぐに」とは違って、後半の「ながら」を遅らせ気味に歌っていて、文字通りリズム「ゆれて」いるのです。この「まっすぐに」と「ゆれながら」の対比が、この曲の一番の聴きどころではないかと私的には思っています。






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最終更新日  2024.11.17 08:25:20
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