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2024.04.22
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週末に映画「オッペンハイマー」を見てきました。こちらは原爆の父、と呼ばれた物理学者の自伝的物語で、昨年のアカデミー賞を何部門も受賞した話題作、にもかかわらず日本では公開がされず、最近になってようやく公開されたという部分でも話題になっていた映画です。

 以下、ネタバレありで




 3時間という長い映画でしたが退屈はせず。食い入るように見ておりました。大きく分けて前半の国家プロジェクトのリーダーとして原爆を制作するまでの「プロジェクトX」的な喜びと、後半のその後、彼がアメリカで共産主義者ではないか(当時のアカ狩りの対象になっての聴聞会)という疑惑と、自分が開発したものによるその後の世界の悲劇を描いた構成で。

 で、この映画のアメリカ公開当初、被爆国である日本の立場から「原爆の悲惨さが描かれていない」という声が上がったそうですが(そういった国内感情を理由が国内配給元が決まらなかったとか)、わたしはむしろ残酷に感じました。直接的な被ばく描写より、彼が開発成功の講演会で襲ってきた映像、また、直接画面に描かれてませんが成果として被爆後の映像をみて目を背けるシーン、後の詰問会で自分の作った原爆が何人殺したかを問い詰められるシーンなど、直接見えない、だから余計に残酷に映ったというか。

 もっとも、彼はあくまで「科学者」であり、それを最初に作っただけで。原爆はいずれ世にできていた存在(現にナチスドイツもソ連も、日本も研究していた)だっただけの話。逆にいえばそれを「作らせた」「使った」「増やした」のはアメリカ政府であり。

 のちにオッペンハイマーはより強力な水爆開発に科学者としての立場から反対するロビー活動など行うようになるのですが、それが理由でアカ狩りの対象となる。この辺、アメリカが思想や表現の自由の国であるにもかかわらず、冷戦下では敵対する思想者には容赦のない思想統制、それこそ過去のアメリカの英雄ですら今の政府と考え方が違うだけでスパイ容疑までかけられる、そういう国であると。

 この映画はむしろ被爆国である日本人ほど見ておいた方がいいなと。それは原爆がどうの、被ばく描写がどうに、ではなく、国家や世論というモノがいとも簡単に個人を裏切るか、これは日本も全く同じである、というお話でもあり。(日本も戦争中は鬼畜米英などと言っていたが、敗戦後180度方向転換し、戦後75年以上たつとまた「戦争ができる国に」昔に戻ろうとしているなど)

 いわゆる娯楽映画ではなく、楽しいタイプではありません。が、どっしり腰をすえてみる価値はあるかと





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最終更新日  2024.05.02 09:30:01
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