森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2022.01.30
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カテゴリ: 行動のポイント
森田先生のお話です。

神経質は、その事柄よりは、むしろ自分の身体の感じの方へ、こまごまと注意を集中して、その不快の気分におびえるようになる。
すなわちその事件は、とうに過ぎ去っても、ついにはその事実とは、関係を離れて、自分の恐怖のみに支配されるようになる。
たとえば、丸太橋を渡るときに、普通の人は、向こうの岸の方ばかりを見つめて、スラスラと渡るが、神経質は、自分の足元ばかりを気にして、少しも向こうの方を見ることができないのと同様である。
(現代に生きる森田正馬のことば1 生活の発見会編 白揚社 73ページ)

丸太橋を渡るときは、足元や眼下の川の流れに視線を移してはならないと言っておられるのである。そうすると不安が不安を呼び、恐怖が恐怖を増幅させることになる。いったん不安や恐怖に取りつかれると、悪循環が始まり、手も足も出なくなります。

私は大学生の頃、神奈川県の丹沢山系で沢登りに夢中になったことがあります。
川沿いの15mくらいのほぼ垂直に近い岩場を制覇していくスポーツです。
もちろんヘルメットを着けて、踏ん張りの効く靴を履いています。


沢登りの専門家の指導を受けていました。
指導者は命綱もつけずにものの数分で制覇してしまいます。
そして頂上からロープを降ろして、それを命綱として、挑戦していくのです。
それでも、結構恐ろしいのです。宙づりになった時は生きた心地はしません。
私はなんとか最後まで登りきることができましたが、仲間は途中で早々にリタイヤする人もいました。

その時にしつこいくらいに注意されたのは、次の3点でした。
・視線は常に目の前か、上に向けること。間違っても眼下に向けてはいけない。
・常に手足を使って3点確保を維持すること。残りの1点で、次の新たな確保点を探す。3点確保ができていないのに、次の確保点を探してはいけない。
・万が一落下したときは、岩場にへばりつかないで、身体を岩場から離すこと。その方が大けがをしない。

ここでのポイントは、視線を目の前の岩場において、3点確保に神経を集中させるということだと思います。少しでも気が緩んで、眼下に眼を落すと、急に体が硬直して、ぶるぶる震えだして体の自由が効かなくなるのです。頭が真っ白になります。最悪の結果となります。
こういう緊迫した状況では、常に恐怖が付きまといます。

3点確保して頂上を目指すという目標に向かって、登っていくことが恐怖から逃れる最大で唯一の方法なのです。
一旦登ってしまうと、征服欲が満たされて、自信がつきます。
その経験は沢登りのコツを掴むことになり、次へのステップとなります。
こういう経験が、どんどん目標を押し上げていくことになるのだと思います。
将来はアイガー北壁に挑むという大目標も、最初は小さな一歩からということになります。自己内省はほどほどにして、目の前のことに精魂を傾けて取り組むことが大切になるのだと思います。





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Last updated  2022.01.30 06:27:41
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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