森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.05.25
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カテゴリ: 最新の脳科学
有田秀穂先生のお話です。

うつ病やパニック障害の人にSSRIが処方されることがあります。
一般的には不足したセロトニンを補うかのように思われていますがそうではありません。
これはシナプスに放出されたセロトニンで使用されなかったものはセロトニントランスポータに再取り込みされていますが、それを阻止してシナプスにそのままとどまらせようとする薬です。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬と言われています。
セロトニンが不足しているにもかかわらず、窮余の策として重宝されている薬です。比較的副作用はないとされていますが、薬に副作用のないものはほとんどありません。自殺念慮が高まるという報告もあります。

セロトニンは覚醒時は活動状態、安静状態に関わらずフルに出続けています。
徐波睡眠時はまばらになり、レム睡眠時は完全停止となる。
この時はセロトニンからメラトニンが生成されて眠りに入る。

神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンは状況に応じて適宜放出されています。この点も大きく違います。

セロトニンは、ドーパミン主導の報酬系神経回路に対しても、ノルアドレナリン主導の防衛系神経回路に対しても抑制的に働きます。
つまり欲望が暴走すること、攻撃力が暴走しないようにを抑制しています。
また極度のストレスや不安によって、身体・精神に大きなダメージが及ばないように制御しています。
セロトニンが制御してくれないと、思考に混乱を生じ、葛藤や苦悩でのたうち回ることになります。
人間関係も悪影響をもたらし、依存症、無責任な生活が待っています。
そういう意味ではドーパミンとセロトニン、ノルアドレナリンとセロトニンは程よくバランスがとれているということが大事になります。

有田秀穂先生はたいへん重要な指摘をされています。
私たちは不安や恐怖があるとそこに注意や意識を向けます。
その時、覚醒時常時出続けているセロトニンの放出は一時的に停止されます。
神経症に陥ると気になる不安や恐怖に際限なく注意や意識を向け続けます。
そして精神交互作用で観念上の悪循環、行動の停滞を招きます。


仮に体内にセロトニンが豊富にあっても役に立たないということになります。
坂道で車が疾走している状態なのに、ブレーキが壊れて制御できない状態と同じことが起きます。
その結果、誰にでもあるような小さな不安が、すぐに自分の一生を左右するかのような大問題に膨れ上がる。
有田先生は注意をいつまでも一点に集中させることは避けるべきだと指摘されています。
一旦注意や意識を向けても、問題がないことを確認したらそこから離れることが大事になるのです。

(セロトニン欠乏症 有田秀穂 生活人新書 参照)





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Last updated  2025.05.25 06:36:13
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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