森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.05.27
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昨日の続きです。

患者さんにしてみれば、精神科医は、あかの他人でありながら、毎日、あるいは一日2回3回と病室に顔を出してくれるのですから、こんなありがたいことはありません。
しかも御用聞きのように、何か必要なこと、医療チームに言いたいことがあれば、伝令のように伝えてくれるし、必要ならば身体の具合も診てくれます。
不眠が続くときは、睡眠導入剤の処方してくれます。
こんなありがたい存在はありません。

そのうえ、死にゆく自分の気持ちを少しでも理解しようという態度が感じられるので、過去の体験や、死後の不安についても話してみようかなと思うようになります。
過去の辛かった体験を口にすると、「よく乗り越えられましたね」と感嘆の言葉が返ってきます。
嬉しかったこと、誇りに思ったことを話しても、一緒に嬉しがり、賛辞を惜しみません。
患者さんは、自分の人生は間違いなかった、やるだけのことはやったのだと、安心するでしょう。

そうだったかもしれないと、患者さんは納得します。
死んだあと、配偶者や子供たちがどうなるかの心配についても、立派に育てられているので心配はなさそうです。
残された伴侶と力を合わせて、やっていかれますよ、と励まされ、患者さんは心配が目減りするのを感じます。
死で人生が途切れるのではなく、子供たちに受け継がれ、あるいは友人たちの胸に、あなたの人生は必ずや遺されます。
少なくとも主治医である私の胸には、私が死ぬまでしまっておきますと、主治医が吐露したとき、患者さんは思わず涙を流すかもしれません。
主治医も静かにもらい泣きするかもしれません。
ここにはもう技法も何も存在しません。
主治医という人間と、患者という人間がいるだけです。
医師が患者に処方できる最大の薬は、その人の人格であるという考え方は正鵠を得ています。
(ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 帚木蓬生 朝日新聞出版 84ページ)

こんな主治医であったなら患者さんはどんなに救われることでしょう。

私は痛風の傾向があるので病院にかかっています。
いろいろと不平不満がありまして今の主治医は3人目です。
まさに帚木蓬生氏が指摘されているようなお医者さんです。
とにかく話をしていると癒されます。
治療を受けているというよりも、あたたかい人間関係の中で会話を楽しんでいるような感じです。


集談会でも答えが容易に見つからない問題を抱えている人たちがやってきます。
心がけることは「私は力になってあげられない」と距離を置くのではなく、できるだけ近くにいてただ話しを聞いてあげることが肝心なのかなと思います。
話を聞いてもらえるだけで相手は癒されていくのだと思います。





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Last updated  2025.05.27 06:20:06
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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