森田理論学習のすすめ

森田理論学習のすすめ

2025.09.27
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森田先生のお話です。

我々も昔は、随分長い間、「死を恐れない」という修養に浮身をやつしたのであります。
その後ようやくにして、その努力の不可能であるという事を知ると同時に、ただひたむきに、生の欲望に対して突進するという事によって、初めて死の恐怖の影が消滅するということを知ったのである。
仕事に対する心のあせりも同様で、そのあせりを取ろうとしては、不可能であるが、ただそのあせるがままに、仕事の能率をあげる工夫にのみ熱中しさえすれば、その間おのずから、あせるという不快の気分を、いつの間にか、忘れてしまっているのである。
(森田全集 第5巻 625ページ)

死が怖い(肉体的な死だけではなく、社会的な死も含む)という裏には、生の欲望があると言われている。
「死の恐怖」と「生の欲望」は、コインの裏表の関係にあるということになります。
ですから、「死の恐怖」ばかりを見つめて、なんとかこの苦悩から逃れようとすることは、片手落ちということになります。
飛行機でいえば、片方のエンジンが故障して片肺飛行をしているようなものです。

森田理論の中に両面観、精神拮抗作用、主観的事実と客観的事実の見方・考え方などがありますが、バランスや調和をとることをさまざまな角度から説明されているのです。

2つの関係は正比例しています。
「生の欲望」が強くなると、当然「死の恐怖」もそれなりに大きくなります。
「生の欲望」が小さい場合は、「死の恐怖」も小さくなります。
神経質者の場合、「生の欲望」が普通の人と比べて少し強めです。
またその範囲も広いと言われています。
神経質性格者は、不安や恐怖、違和感、不快感を感じやすいのが特徴です。
「死の恐怖」をより強く感じるのは当然なことです。
肝心なことは「死の恐怖」と「生の欲望」のバランスをとることです。

神経症に陥ると、「死の恐怖」を取り除くことに注力して、「生の欲望」の発揮が蚊帳の外になってしまうことがあります。
この方法は「死の恐怖」が無くならないばかりか、益々強くなりより事態が悪化します。


「死の恐怖」という感情にとらわれるのではなく、いかにしてより良い生活を送り、自己実現していくかという「目的」に意識を向けることです。
この「目的」に向かって努力していくことが「生の欲望」に他なりません。
「死の恐怖」には手を付けないで、「生の欲望」に力点を置くほうがよいということになります。
不安や恐怖、違和感、不快感などの対応も同様です。





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Last updated  2025.09.27 06:20:04
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kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 申し訳ございません。生涯森田様でした。
kurokawa@ Re:感情と行動を分離して行動する(11/11) New! 障害森田様 この記事の中で「心とは裏腹…
楽天星no1 @ 早速のご返事感謝 森田生涯さんへ 早速のご返事ありがとう…

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