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作家デビューを目指す貴方へ3
<作家デビューを目指す貴方へ3>
作家デビューへの思いを絶ちがたい大使は、以下のとおり、さらに探求を続けています。(アホやで)
・秘伝「書く」技術
・『夜を乗り越える』3
・『文章のみがき方』
**********************************************************************
<
作家デビューを目指す貴方へ2
>目次
・大特集『作家と文学賞』
・日本語文章がわかる
・売れる作家の全技術
・『小説家になる方法』
・SF執筆でも
芥川賞受賞作家リスト
<『秘伝「書く」技術』>
図書館で『秘伝「書く」技術』という本を手にしたのです。
これまで幾多の文章ハウツー本を読んできた大使であるが・・・
著者の人柄なのか、ほっこりした読み物のようになっています。
「あとがき」にハウツーのエッセンスが載っているかもということで、先ず「あとがき」を見てみましょう。
p171~173
<あとがき>
自分がいつも、どのように書いているか、どのように仕事しているのかということを中心にして語らせていただきました。
自分の仕事を振り返る良い機会になりました。
内容的には、それが自然に「小説の書き方」というようなものになりました。
しかし、ものを書くということや、その技術が、こうした本を読んで急に高まったり、上手になったりするものではありません。
ものを書く、ということは人それぞれの作業であり、10人いれば10通りの、100人いれば100通りの文章作法があるからです。
これは、あくまでも、ぼくはこのようにやってきた、という、ぼくのやり方についての本です。
しかし、何かを書こうとしている方にとって、面白い読みものにはなっていると思います。どうも、小説を書くということは、技術とは別もののようです。だからといって、技術が存在しないわけではありません。しかし、書くことのうち、どれがどういう技術によるものなのか、他の人の書いた作品でも、自分の書いた作品でも、実はそれがよくわからないのです。
だいたい、わからなくて書いている。
勘のようなものと言ったほうが近いかもしれません。
しかし、先にも書きましたが、これはあくまでも、ぼくの場合であり、ぼくのケースです。
基本的なことを大きく書いておくと、文章表現のなかでいちばん大事なのは、
自由!
です。
もう一つは、これを書きたい、という、
虚仮の一念
です。
もう一つは、
森羅万象を面白がる力!
です。
そんなことを、いま、あらためてしみじみ思っています。
【秘伝「書く」技術】
夢枕獏著、集英社、2015年刊
<「BOOK」データベース>より
ベストセラー作家であり続ける著者が、すべての創作に役立つ実践的技術を初公開。
【目次】
第1章 創作の現場ー一つの小説ができるまで(365日、毎日書くということ/ある日、事故のようにテーマに遭遇する/ゴジラへの不満がキッカケとなる ほか)/第2章 創作の技術ー面白い物語をつくるポイント(四歳からぼくは作家だった/文字のない時代にも物語はあった/「道」という漢字は「生首」に由来する ほか)/第3章 創作の継続ーどうやれば続けられるか(20代ー無心に書き続けた生活/30代ーアイディアを“外”に求めることを知る/40代ー死ぬまでにあと何冊書けるのか ほか)
<読む前の大使寸評>
これまで幾多の文章ハウツー本を読んできた大使であるが・・・
著者の人柄なのか、ほっこりした読み物のようになっています。
rakuten
秘伝「書く」技術
<『夜を乗り越える』3>
図書館に予約していた又吉直樹著『夜を乗り越える』という本を、待つこと3ヶ月ちょっとでゲットしたのです。
又吉さんの「愛書論の集大成」のような一冊だそうで・・・おおいに興味深いのです。
又吉さんが、文章のハウツーとか文体を語っているので、見てみましょう。
p146~149
<本に無駄な文章はない>
小説に文体というものがあることを初めて意識したのが、野坂昭如さんの『火垂るの墓』でした。
小学6年の時、読書感想文のために初めて読みました。最初は「むずっ!」と思って読んでいました。最後まで読めるのかなあと思いながら読み進めていくと、闇市のシーンにぶつかりました。読点「、」も句点「。」さえもほとんど使わず、闇市に並ぶ品物を羅列してゆきます。なぜこんなに読みにくくするのか。間違いなくわざとです。でもそのうち、絵が浮かんできました。なるほど、この人は絵を描くように文章を書いているんだと思いました。こんな表現も文章でできるのか。
野坂さんご本人がどんな意図で書かれたのかはわかりませんが、僕には絵が浮かびました。整然とした商店街ではなく、どこで何を売っているかわからないような闇市の様子が目の前に現れるようでした。
今『火垂るの墓』を読み返すと泣けて仕方ないですね。当時はあんなに難しいと思っていた冒頭の三宮の風景から素晴らしい。もう完璧に絵が描けるぐらい映像が浮かぶ。文体のおもしろさについて考えるとなぜ難しく書く必要があるのかという問いが出てきます。
作家は頭の中で考えたことを文字にし、それを読者が頭の中で再構築します。作者が思い描いたことを完璧に読者が頭の中で再現できれば、それは理想の形です。
公園で小学生がサッカーをしていて、高校生がいきなり入ってきたとします。その時の小学生の恐怖を描こうとしたら、例えば高校生の太い太股を細かく描写します。そうすれば、小学生の目線の位置や高校生の大きさ、それに対する恐怖を読者が再現する度合いは随分と違ってきます。そういう描写の線を増やすことによって文章はよりおもしろくなります。
読者は想像力があるから説明しすぎてもいけません。線を増やしたり減らしたり、作家は読者が文章をどう再現するかを考えながら、細かい仕掛けをしています。
例えば、登場人物の気持ちとして「悲しい」と書くとどうか。「悲しい」と書かずに、風景や別の心理描写で悲しいという気持ちを表現する。そうやって「悲しい」という言葉を避け、他の描写を重ねた上で出てきた「悲しい」という言葉はまた別の意味になってきます。
本の中に無駄な文章はひとつもありません。それは漫才の中に無駄な言葉があってはいけないのと同じです。無駄なおもしろさはあります。しかしそれは必要な無駄、仕掛けのための無駄です。
作者は意図を持ってその描写、表現をしています。僕達読者はそれを面倒くさいと思ったらもったいない。作者が何をやろうとしているのか、何を語ろうとしているのか、文体や描写も含め、1行目からワクワクしてもらいたいなと思うんです。
ウーム、なかなかよくできた文章ハウツーになっていますね。
つまりは、これだけの下積みがあってこその作家誕生なんでしょうね♪
【夜を乗り越える】
又吉直樹著、小学館、2016年刊
<「BOOK」データベース>より
芸人で、芥川賞作家の又吉直樹が、少年期からこれまで読んできた数々の小説を通して、「なぜ本を読むのか」「文学の何がおもしろいのか」「人間とは何か」を考える。また、大ベストセラーとなった芥川賞受賞作『火花』の創作秘話を初公開するとともに、自らの著作についてそれぞれの想いを明かしていく。「負のキャラクター」を演じ続けていた少年が、文学に出会い、助けられ、いかに様々な夜を乗り越え生きてきたかを顧みる、著者初の新書。
<読む前の大使寸評>
又吉さんの「愛書論の集大成」のような一冊だそうで・・・おおいに興味深いのです。
<図書館予約:(7/11予約、10/22受取)>
rakuten
夜を乗り越える
『夜を乗り越える』1
『夜を乗り越える』2
<『文章のみがき方』>
図書館で『文章のみがき方』という本を借りたのだが・・・
このところ文章や文体にこだわる大使にとって、修行の指南となる本を引き当てた感があるのです。
【文章のみがき方】
辰濃和男著、岩波書店、2007年刊
<「BOOK」データベース>より
いい文章を書くために、作家・文章家たちは何を心がけているか。漱石・荷風から向田邦子・村上春樹まで幅広い人びとの明かす知恵を手がかりに、実践的な方策を考える。歩くことの効用、辞書の徹底活用、比喩の工夫…。執筆中と推敲時だけでなく、日常のなかの留意点もまじえて説く、ロングセラー『文章の書き方』の姉妹編。
【目次】
1 基本的なことを、いくつか(毎日、書く/書き抜く/繰り返し読む/乱読を楽しむ/歩く/現場感覚をきたえる/小さな発見を重ねる)/2 さあ、書こう(辞書を手もとにおく/肩の力を抜く/書きたいことを書く/正直に飾りげなく書く/借りものでない言葉で書く/異質なものを結びつける/自慢話は書かない/わかりやすく書く/単純・簡素に書く/具体性を大切にして書く/正確に書く/ゆとりをもつ/抑える)/3 推敲する(書き直す/削る/紋切型を避ける/いやな言葉は使わない/比喩の工夫をする/外来語の乱用を避ける/文末に気を配る/流れを大切にする)/4 文章修業のために(落語に学ぶ/土地の言葉を大切にする/感受性を深める/「概念」を壊す/動詞を中心にすえる/低い視線で書く/自分と向き合う/そっけなさを考える/思いの深さを大切にする/渾身の力で取り組む)
<大使寸評>
気に入った文章を書き写して、文章の訓練をかさねた作家が多くいたとのこと・・・
大使も似たようなことをやっていたので、我が意を得たりの感があるのです。
このところ、作家になる方法とか文章関連のハウツー本を継続して読んでいるのだが・・・
なかなか含蓄のある内容になっています。
著者は朝日新聞で、社会部次長、論説委員、「天声人語」執筆などを担当したそうで・・・
なるほど、文章の達人のような人です。
rakuten
文章のみがき方
鶴見俊輔さんの文章修業が紹介されています。
ウーム、なかなかいい方法ではないか♪
<書き抜く>
よりp8~10
「私にはどういう文章を書けばいいかという規格品のイメージがありませんので、これはうまい文章だと思うものをノートに書き抜く。小さいときからつくってきたそういうノートが百冊以上になると思います」(鶴見俊輔)
鶴見は12歳のころから書き抜きを始め、たとえば徒然草の「存命の悦び、日々に楽しまざらんや」とか、作家、武田泰淳の「私は人間のあさましさこそ最も愛すべき人類の性格だと思っている」とか、そんな文章をノートに写したそうです。
この人の文章が、いまなお人の心に響く新鮮さをもっている秘密の一つは、この膨大な書き抜き帳にあるのではないかとひそかに思うことがあります。
冒頭に掲げた文章を鶴見が書いたのは20数年前です。いま、大学ノートは百数十冊になっているかもしれません。
この書き抜き帳は、どういう役に立っているのか。
一つには、自分の文章はまずいなという感じを保つことができると鶴見はいいます。書き抜いた文章と自分の文章との違いがわかる。それに加えて、いいなと思う文章の数々は、自分の陥りやすい紋切型をつきくずす助けになっている、といいます。
鶴見は「紋切型の言葉に乗ってスイスイ物を言わないこと。つまり、他人の声をもってしゃべるんじゃなくて、自分の肉声で普通にしゃべるように文章を書く」とことが大切だと説きます。
「(私は)毎日、文章を書いて暮らしを立てているわけですが、なにか、泥沼のなかで殴り合いをしているという感じです。紋切型の言葉と格闘してしばしば負け、あるときには組み伏せることができ、あるときには逃げる、といったように、紋切型との殴り合いに終始している、その問題をおたがいに自分の前に置いてみましょう」
紋切型の言葉を使わないということは、紋切型の発想を戒める、ということでもあり、これは、いい文章を書くための基本中の基本だといっていいでしょう。
鶴見が、いいなと思った文章の書き抜きをするのは、その文章の真似をしたいためではないのです。一つには、その文章が「紋切型の言葉を使っていない」ということを学ぶためでしょう。そして、その文章と自分の文章を浮かび上がらせることができる、ということもあるでしょう。浮かび上がらせ、自分の文章のいたらなさ、まずさを考えてみる。鶴見俊輔ほどの独自の言葉を持った人が、それでもなお、自分の文章を省みる修行を日々つづけているということに、私は心を動かされます。
もうひとつ、文章修行について紹介します。
<借りものでない言葉で書く>
よりp65~67
「自分の目、耳、肌、心でつかまえたものを、借りものではない自分の言葉でわかりやすく人に伝えること」(岡並木)
岡並木は、私の先輩記者でした。交通問題、都市問題などに詳しく、いわゆる「専門記者」として活躍した人です。いつも、現場にいて、現場で疑問をいだき、現場でその疑問を追及してゆくジャーナリストでした。
二人で新聞文章のことを話し合っていたとき、冒頭の言葉が出たのです。「借りものでない言葉で書く」ということは、実はきわめて難しい。難しいけれども、めざすところはそこにある、という意味のことを岡はいっていました。
現場へゆく。現場の様子を見、人の話を聞き、五感で得たものを大事にし、それを白紙の心にしみこませ、借りものでない自分の言葉で表現する。そういう一歩一歩の修業を積み重ねてゆく。そのことの大切さを岡は力説していました。
その後、井上ひさしの本で、こういう言葉に出あいました。
「作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということだけなんですね」
至言です。井上と岡と、二人の言葉は、文章を書くということの究極の目標を簡潔にしめしています。その目標に近づくのがいかに難しいかということもまた、井上は知っていたのでしょう。すぐ、こう付け加えています。「これが出来たら、プロの中のプロ。ほとんどノーベル賞に近いですよ」と。
「自分にしか書けないこと」は、自分以外のだれでもない、あなた自身が書かなければ、ほかのだれも書くことはできません。それは、いいかえれば自分の人生をどう生きているか、なにを自分の拠りどころとして生きているかということにつながります。同じ職場で、同じような仕事をしていても、私たちは、それぞれの、独自の人生を生きています。だからこそ「自分にしか書けない」文章を書く道がそこにあるのです。
画家のゴーギャンは、西洋近代のインチキ性から逃げ出して、野生のみなぎる南太平洋のタヒチへ行きます。しかし、タヒチを蝕んでいる植民地支配やその背後にある近代文明というものにあきあきして、もっと野生にあふれるマルキーズ諸島(マルケサス諸島)まで流れていって、そこでさらにいい絵を描きました。
しかし、いっこうに絵は売れず、借金や病苦のなかで死んでゆく。それがこの画家の生き方、死に方でした。生きている間、さっぱり売れない絵でしたが、その絵は、まぎれもなくゴーギャンの絵でした。ゴーギャンがタヒチ時代のことを書いた『ノアノア』(1891-93年)はゴーギャンのノアノアでした。
ゴーギャンは、彼でなくては描けない絵を描き、彼でなくては書けない文章を書いたのです
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