ガムザッティの感動おすそわけブログ

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gamzatti @ Re[1]:「ムー」「ムー一族」(05/28) ひよこさんへ 訂正ありがとうございました…
ひよこ@ Re:「ムー」「ムー一族」(05/28) ジュリーのポスターに向かってジュリーっ…

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gamzatti

gamzatti

2007.12.03
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「モーツァルト」といえば、「アマデウス」。
私の中にはそんな思い込みがあった。
だから、今まで2回行われているこの 帝劇ミュージカル「モーツァルト!」 公演に
私は行ったことがなかった。

気が変わったのは、「ロマンス」(井上ひさし作)を観た時、
井上芳雄が非常に感情豊かに、そして丁寧に歌を歌っていたから。
彼のミュージカルが観てみたい、そう思った。

結論から言おう。

井上ヴォルフガングもよかったが、
プロダクションそのものの質、構成、なによりテーマがよかった。

父親レオポルド(市村正親)との葛藤、
ザルツブルグのコロレド司教(山口祐一郎)との対決なども
見ごたえがあったけれど、
何と言っても「ヴォルフガング」と「アマデ」の対峙という世界観が
このミュージカルの肝である。

成長したヴォルフガングには、いつも幼い時「天童」ともてはやされた「アマデ」がついている。
「アマデ」(この日の子役は野本ほたる)は、白いカツラをつけ、赤に金モールの服を着、
いつも白い羽根ペンをもって楽譜を書いている。

「曲はできたか?」という父親の問いにヴォルフガングは

そして、アマデがペンを置くと、ヴォルフガングに合図。
ヴォルフガングはビックリしたようにアマデに言う。
「できたの??」

この構図って、天才によくあるよね。
努力じゃなくて、頭に浮かぶ。知らないうちに作品ができてくる。

後は、それを記せばいいだけだ。

この無邪気な関係が、そのうち変わってくる。
ある時は、アマデがヴォルフについていく。
ある時は、アマデがヴォルフを引き止める。
ある時は、ヴォルフがアマデについていく。
ある時は、アマデがヴォルフを見放す。

いつしかアマデはヴォルフを苦しめ、
ヴォルフはアマデを憎む。

自分の影であるアマデに対し、「お前のせいだ、お前のせいだ、お前が悪い!」と叫ぶヴォルフ。
胸が張り裂けそうだ。

一幕の終わり、
それまですらすらと音符を生み出してきたアマデのペンが急に書けなくなる。
するとアマデはヴォルフに向かい・・・。

私はその場面で息をのんだ。そして、涙がこぼれた。

創作するということは、血肉を削って何かを生み出すということ。
私の師匠はそれを「夕鶴のおつうだ」と言った。
自分の羽根をもぎとりながら、それを織り込んでいく作業、それが創作。
奇しくも、
アマデがヴォルフにした行為は、それを表していたのだ。

そして、物語のラストは、ヴォルフがアマデに・・・。

天童と言われた男が、本当に才能ある男が、
何に惑い、何に苦しみ、何を求めていたか、それをひしひしと感じる物語
それが、「モーツァルト!」だった。

脇をかためる重鎮がすごい。
特に香寿たつき。
彼女の歌う「星から降る金」は光り輝き、劇場を包んだ。
「男爵夫人」ながら、まるで神のお使いのような声は、
その役回りと重なってモーツァルトの道しるべとなる。
彼女の出番はあと数回。天から降る歌声を聞きたければ、今すぐ劇場へ!

山口祐一郎も怪演。
彼の「神よ、何故許される」を聞きながら、
ああ、今の山口さんに、またジーザスをやってほしいと思う。
声にあふれる神への問いかけ。その「声」だけで、彼はジーザスの存在感を出せる。

市村正親は、不器用にしか息子を愛せないかたくなさを好演。
しかし声はつまりぎみで、絶好調とはいえなかった。残念。

シカネーダー役の吉野圭吾は抜群のエンターテインメントで客をひきつける。
今まで見た彼のパフォーマンスの中で、私は一番好きだった。
歌もよかった。

今回初の出演となるコンスタンツェ役のhiro。
コンスタンツェの「ありのままのヴォルフが好き」だけど「天才を理解できない」
という感じをよく表していた。
バラッド系の歌はよく抑えて聞かせていたが、大声で歌い上げると「SPEED」節になり、
歌詞が観客に伝わらなくなる。
これからミュージカルを続けていくには、発声の勉強が必要かな、と思った。

しかし、何にしても井上芳雄だ。
彼はこれからの日本のミュージカルを牽引していくだろう。
演出の小池修一郎が、主役の2人(井上芳雄/中川晃教)に
「20年後、井上コロレドと中川レオポルドを!」と言ったという気持ちがよくわかる。
20年前の山口と市村を、私も思い出していたのだから。

フィナーレ、すべての出演者が声の限りに「影を逃れて」を熱唱。
一番前には
市村正親がいる。
山口祐一郎がいる。
香寿たつきがいる。
吉野圭吾がいる。

そこに後ろから井上芳雄が登場。
ふいに聞こえる、まったく異なる音色。
井上の声だ。
モーツァルトの声。主役の声。
並居る一流どころの声をものともせず、
彼の声が鮮烈に耳に届く。

美しくて、豊かで、劇場を支配する、声。
スターの声。

昨夜は「モーツァルト」通算300回公演だったという。
そんな記念の回を体験できて、私は幸せ者だと思った。





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Last updated  2007.12.04 09:05:59
コメント(14) | コメントを書く
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感想ありがとうございます  
たゆ さん
すばらしい感想を、どうもありがとうございました。香寿さん、わたしもみてきましたが、なんというか、とにかく聴いていてほれぼれしました。
井上さんについての印象も、同感です。
市村さんは、わたしがみたときは声がよく出ていたので残念。なにか調子がわるかったのでしょうね。
前々回の公演のときは、アマデはなにか今とちがって人形チックで違和感を感じていました。演出が変わって、わかりやすく、生き生きとしたアマデになった気がします。これからも進化していくのでしょうか。お金をためて(笑)見守りたいです。 (2007.12.03 12:39:52)

Re:「モーツァルト!」(12/03)  
CherryCY  さん
素晴らしいレポをありがとうございました。
こんどはぜひ中川ヴォルフや他のアマデの感想も聞きたいです。市村さんは相変わらず不調なのですね。すこし心配です。 (2007.12.03 13:04:45)

レポありがとうございます  
由花 さん
はじめまして

「モーツァルト!」ファンの由花と申します。
ブログでの感想を求めてここへ辿り付いたのですが、読み応えのあるレポで感動しました。私は何度もこの公演を見ているいわゆるリピーターですが、「そうなんですよ!」と思うご意見や解釈に、読みながら何度も頷いてしまいました。
私は芸術家ではないので、創作活動の本質的な苦しみはわからないのですが、以前論文を書いた時の苦しみは今思い出しても辛いもので、常時創作活動に携わっている人々の骨身を削る苦しみというのは凄まじいものなんだろうなと思います。

この公演は再々演後のキャストにあまり変化が無いため、役者さん達の変化や成長や円熟をしっかり確認することができて、それも楽しみの一つです。
みなさん素晴らしいのですが、個人的には脇を固める方々では男爵夫人役の香寿さんと姉ナンネール役の高橋さん、そしてシカネーダー役の吉野さんの演技と歌とたたずまいに今回特に感嘆しております。主演2人はもちろん素晴らしく、私は特に井上さんのファンなので、その成長ぶりに初日には胸がいっぱいでした。
(2007.12.03 19:43:13)

Re:レポありがとうございます(12/03)  
gamzatti  さん
由花さん
>はじめまして
由花さんのコメントを読んでいたら、ウルウルしてきてしまいました。
ステキなコメントを書いてくださって、本当にありがとうございます。
再演の良さって、一緒に成長を見られるところですよね。
私の友人も、今回はとても心に残ったと言っていました。
これからが楽しみですね。 (2007.12.03 19:49:40)

Re[1]:「モーツァルト!」(12/03)  
gamzatti  さん
CherryCYさん
買ってしまいました・・・アッキーの日。
(2007.12.03 19:50:12)

レポありがとうございます  
由花 さん
はじめまして

「モーツァルト!」ファンの由花と申します。
ブログでの感想を求めてここへ辿り付いたのですが、読み応えのあるレポで感動しました。私は何度もこの公演を見ているいわゆるリピーターですが、「そうなんですよ!」と思うご意見や解釈に、読みながら何度も頷いてしまいました。
私は芸術家ではないので、創作活動の本質的な苦しみはわからないのですが、以前論文を書いた時の苦しみは今思い出しても辛いもので、常時創作活動に携わっている人々の骨身を削る苦しみというのは凄まじいものなんだろうなと思います。

この公演は再々演後のキャストにあまり変化が無いため、役者さん達の変化や成長や円熟をしっかり確認することができて、それも楽しみの一つです。
みなさん素晴らしいのですが、個人的には脇を固める方々では男爵夫人役の香寿さんと姉ナンネール役の高橋さん、そしてシカネーダー役の吉野さんの演技と歌とたたずまいに今回特に感嘆しております。主演2人はもちろん素晴らしく、私は特に井上さんのファンなので、その成長ぶりに初日には胸がいっぱいでした。
(2007.12.03 20:09:00)

Re:感想ありがとうございます(12/03)  
gamzatti  さん
たゆさん
「アマデ」の子役は、セリフがないのに
とても重要な役ですよね。
そうですか、以前の公演より改良されているんですね。 (2007.12.03 21:01:01)

Re:「モーツァルト!」(12/03)  
川越嬢 さん
思わずチケットゲットしちゃいました♪
12日に帝劇行ってきます^^ (2007.12.05 10:41:46)

Re:「モーツァルト!」  
ルシーラ さん
 ヴォルフも男爵夫人も、あれほど素晴らしい役なのに、Double Cast。で、なんで、一番下手なコンスタンツエがSingle Castなのか、不思議
 アッキーとかなめの男爵夫人も観たいんだけど、もれなくhiroコンスが付いてくると思うと、気持ちが萎えます
(2007.12.05 13:06:11)

Re[1]:「モーツァルト!」(12/03)  
gamzatti  さん
川越嬢さん
>思わずチケットゲットしちゃいました♪
-----

私のレビュー読んで、行きたくなったってこと?
そうだったら、うれしいな~。
帝劇のまわしものではありませぬが・・・
お買い上げありがとうございまぁす! (2007.12.05 19:13:07)

Re[1]:「モーツァルト!」(12/03)  
gamzatti  さん
ルシーラさん
hiroもがんばって、ルシーラさんのオメガネにかなうまでに成長してほしいものです。 (2007.12.05 19:14:17)

Re[2]:「モーツァルト!」(12/03)  
川越嬢 さん
もちろん、ガムさんのレビュー読んで買いたくなったんですよ^^ (2007.12.06 00:46:12)

Re[3]:「モーツァルト!」(12/03)  
gamzatti  さん
川越嬢さん
>もちろん、ガムさんのレビュー読んで買いたくなったんですよ^^
-----
最高のホメ言葉を、ありがとう!
(2007.12.06 19:50:16)

Re:「モーツァルト!」(12/03)  
いやいや相変わらず素晴らしいレポでございます。

5年前に観たあの時、井上ヴォルフ観たさだったものの、
再演を観るほど心が揺れ動かなかったのに。
今回5年を経て観た「M!」はそれはそれは素晴らしいものでした。
香寿@男爵夫人はホント見事。
ほたるちゃん@アマデも好かった。
アンサンブル一人一人の力が合わさり、これ以上ない舞台だったと思いました。
成長した芳雄くんが何よりも感動でしたね。
トラバもらいます。
(2007.12.07 18:39:50)

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