大腸肛門専門外科医のひとりごと

大腸肛門専門外科医のひとりごと

2005.09.03
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テーマ: 癌(3567)
せっかくBlogを作った訳なので、自分の専門のことを少し書こうかと思います。

前にも書きましたが、私は消化器外科医です。

特に大腸・肛門が専門ということになってます。

ですのでこの辺のことについて医者の立場からみたことを書いてみようと思います。

【大腸癌の症状】

患者さんが病院に来院するときにはもちろん具合の悪いことがあるからですね。

大腸癌の場合よくある症状は 下血 (おしりから血が出る)でしょうか。

これには自覚的に赤い血が紙に付く、ぽたぽた便器に血がたれていたなど自分でわかるものから、

地域や会社の健康診断、人間ドッグなどで検便の検査をしたら



自覚症状はまったくない、便も見た目は赤くないというものもあります。

まず、覚えていて頂きたいのは大腸癌は

よほど大きくならないと(進行しないと)自覚症状はでにくい

ということです。

自覚症状には前述の下血、腹痛、便秘、ひどくなると腸閉塞、下痢、お腹にしこりが触れるなど。

人により症状は様々ですが、初期(早期)の段階からこのような症状はなかなかでません。

早期癌でみつかる人というのは、やはり検診などでひっかかり検査を受けた人、

または、たまたま他の症状で検査をしたら見つかったということが多いでしょうか。

相当に進行して、腸が腫瘍で狭くなってくるとようやく自覚症状がでてきます。

お尻の近くの腸に腫瘍ができると、出口近くは便が硬くなってきますので便秘、腸閉塞といった

症状がでやすいのですが、奥の方(大腸の始まりの方)だと便がまだゆるくて、

狭いところも通ってしまうのでこの症状もでません。



何がいいたいかといえば、

健康だと思っていても癌だった人はいっぱいいる

ということです。

「別に悪いところはない」

と思っていても、このように症状がでないわけですので自覚症状がないからといって

大腸癌ではないという保証はありません。





検診は検便です。便に血が混じっていないか調べます。

この検査は非常に鋭敏ですので見た目に赤いものがない便でもひっかかってくることがあります。

検査で陽性になった人全てに病気があるわけではありません。

検査をしてみると何も異常がない患者さんの方が多いです。

また異常があった人でも、それがすべて癌ではありません。

ポリープ、切れ痔、いぼ痔などのほうが圧倒的に多いです。

もともと痔を以前から自覚しているという人もいます。

こういう人は検査で陽性でも

「私は痔があるからね」

と思って放置してしまう人もいます。

でも、痔に隠れてその奥にポリープや癌が見つかるというのも、とても多い話です。

最近2年くらいの間に大腸の検査をしておらず、検査で陽性だった場合はこうした

隠れた病気がないかを否定しておくという意味で、大腸の検査を行う必要があります。

痔があっても検査は念のために受けるようにして下さいね。


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Last updated  2005.09.21 12:31:54
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