時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

PR

Profile

風竜胆

風竜胆

Favorite Blog

2巻の表4イラストに… New! ブラジョンさん

ダイヤモンドの功罪 … New! じらーるぺるごーさん

気まぐれんな旅行屋… 富士家のぱこさん
マークス・ストーリー マークス5406さん
パパだって見たいん… 大希・大我のパパさん

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

January 18, 2008
XML
 最近、横山秀夫の警察小説をよく読んでいる。今日紹介する 「陰の季節」

 そもそも、警察小説と言えば、刑事の活躍を描いたものが中心である。殺人事件が発生し、名刑事が、仕掛けられたトリックをいかに見破り、犯人を追い詰めるかと言うのが、この手の小説の王道であろう。しかし、この「陰の季節」での主役たちは、このような第一線で働いている刑事たちではない。、一般人にはあまりなじみの無い、警察の内政部門で働く者たちがこの小説の中心であり、内容も、警察内部での話なのである。

 表題となった 「陰の季節」 での主人公は警務課調査官で人事を担当する警視の二渡真治。D県警最年少で警視に昇進したと言う切れ者である。人事の季節、大物OBで元刑事部長の尾坂部が、当初約束の任期がきても、天下り先のポストを降りないと言い出す。そのポストには既に後任が決まっており、二渡は、尾坂部の真意を聞き出すよう命じられる。なお、二渡は、この短編集の他の作品にも、人事の担当者として顔を出してくる。

「地の声」 では、主人公は、警務部監察課監察官の警視・新堂隆義である。所轄の署長で転出するはずであったが、胃潰瘍で倒れたため、辞令が監察課監察官に書き換えられたという過去を持つ。ちなみに、監察官というのは、普通の会社で言えば、内部監査員にあたると思えば良いであろう。ある時、監察課に、所轄の生活課長がパブのママとできているというタレこみが届く。

「黒い線」 での主人公は、警務課の婦警担当係長で警部の七尾友子。描いた似顔絵により犯人がつかまって、手柄をあげたはずの鑑識課婦警・平野瑞穂が行方不明になった。以前紹介した 「顔」

「鞄」 では、警務部秘書課課長補佐で警部の柘植正樹が主役である。彼の役目は、県議会対策である。ある日、大物県議の鵜飼が一般質問で爆弾質問をするとの情報が入る。柘植は、なんとか、質問の内容を探ろうとするが・・・

 いずれの作品も、主役たちの心の動きがよく表現されており、すごい存在感で、読み手を引き込む。ただ若干気になる点もある。まず、話の舞台だが、警察にしなくても、他の組織を舞台にしてもそれなりに成り立つような話である。警察を舞台にしたこんな話もありとは思うが、どうしてもというまでの必然性は薄いと思う。

 もう一つ、小さなことだが、「陰の季節」で、大物OBの尾坂部が天下り先を退任しないので、県警が、後任者として天下る予定だったものの名詞を回収していた場面があった。これはおかしい。転職前の会社が、転職後の会社の名詞をつくることなど、常識的にはありえないと思うのだが。

○「顔」の記事は こちら


○応援クリックお願いします。 人気ブログランキング にほんブログ村 本ブログへ

「陰の季節」(横山秀夫:文芸春秋社)


風と雲の郷 別館「文理両道」(gooブログ)は こちら








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  June 19, 2010 01:06:54 PM コメント(10) | コメントを書く
[日々の読書(ミステリー)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: