時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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August 14, 2009
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「おり姫の日記帳」 (チョンアリ/花井道男:現文メディア)、これは面白かった。作者のチョンアリは、小学生のころから童話を書き始め、多くの賞を総なめにしてきたということだ。本作も、韓国で最高の賞金額を誇る「世界青少年文学賞」を受賞している。

○「おり姫の日記帳」(チョンアリ/花井道男:現文メディア)


 主人公のチンニョはおちこぼれの女子高生だ。チンニョとは「おり姫」という意味だそうだが、実態はそんな優雅なものではない。日本で言えば「スケ番」といったところである。もっともヨーヨーを武器にしたりはしていないし、やっていることもまだまだかわいいものだが。いつもいっしょにいるのが、ミンジョンとヨンジュの二人。ミンジョンはクラスでも成績が良く3人の中の参謀役といったところだ。ただし切れたら怖い。ヨンジュは実行部隊で、成績はチンニョより更に悪い。小学校にころはチンニョにいじめられていたが、今は仲良くスケ番グループを構成している。この作品は、そんなチンニョの日常を、ユーモラスでちょっぴりシニカルな語り口で日記風に綴ったものである。

 出てくるエピソードが何とも愉快だ。極め付けをひとつ紹介しよう。チンニョたちが小学生のころ、「ウンコズボン」、「足がついた練炭」といったようなあだ名をつけていじめていた元同級生のチョン・キョンジャが、国民的美少女アイドルのチョン・ソナとして彼女たちの前に現れる。チョン・キョンジャの出演する番組に招かれた、チンニョとヨンジュだが、そこで、散々過去の行いを面白おかしく暴かれたあげく、チンニョはニワトリの鳴き声のモノマネまで披露させられてしまう。放映後、「チョン・ソラ、同窓生、ニワトリの鳴き声」と言う検索語でインターネット検索順位の上位にあがったというくだりには、思わず噴き出してしまった。

 しかし、これでチンニョはなかなか義侠心に厚い面もある。バイト先のピザ屋で同僚にセクハラをして開き直っているマネージャーに、ボールペンでカンチョー攻撃を仕掛けて、店を首になったりしている。

 その他の出てくる人々もとてもユニークで面白い。ミンジョンの父親は、彼女が問題を起こした時、叱りつける代りに二時間以上も娘の前で「父の青春」というポンチャック(韓国演歌)を歌い続けた。チンニョの父は、リストラされることになって、家族旅行に行った先でなぜかバンジージャンプに挑む。チンニョの兄もだいぶ変わっている。大学で瞑想サークルに入ったり、「オナラ島を探しに行く」といった置手紙を残して、どこかに消えたりといった具合だ。

 とにかくハチャメチャなエピソードで溢れているのだが、そんなハチャメチャさの中にもちょっとしたほろ苦さや少女たちのたくましさなどが感じられ、読み進むにつれてどんどんチンニョの世界に引き込まれていく。ちょっと異色だが、感じるところの多い青春文学といったところであろうか。

 なお、この本は、現文メディアさんより献本いただいたものです。とても面白い本を献本いただき、ありがとうございました。

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※本記事は、「本の宇宙」と同時掲載です。

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Last updated  August 14, 2009 08:41:57 AM
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