時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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May 4, 2010
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「ジャージャー麺がのびちゃうよ」 (イヒョン/ユンジョンジュ:現文メディア)。まずは、お礼申し上げます。

 この「ジャージャー麺がのびちゃうよ」は、「韓国人気童話シリーズ」の第12巻に当たるが、このシリーズには珍しく短編集となっている。

○ジャージャー麺がのびちゃうよ(イヒョン/ユンジョンジュ:現文メディア)



 収録されているのは、5編の短編。各短編の間には、特に繋がりはなく、それぞれ独立した作品として読むことができ、内容も、恋愛ものからSFものまで幅広い。以下簡単に、各話の概要と感想を述べてみよう。

○二人の動く城
 主人公は、ハン・ヒョンギョンという小学校六年の女の子。小学校一年生の時に席が隣同士だったサンウは、二年生のときに、ソウルに転向して行ったが、五年生になって、再びヒョンギョンの通う小学校に戻ってきた。それも、見違えるほど、イケメンの男の子になって。ある日、サンウからヒョンギョンに、「好きだ、つき合おう」というメールが届く。

 昔、「小さな恋のメロディ」という映画があったが、ちょっとあれを連想させるような小さな恋の始まりの物語だ。二人は、小学六年生なので、つき合うといっても、たわいもなく微笑ましいものだ。サンウがいやらしい写真を見ていたとして、クラスの女の子たちから変態扱いされる事件があったが、これは彼に少し気の毒だった。この年頃の男の子は、普通にそんなものに、興味を持つものである。ところで、二人は、小学生のくせに、もう普通に携帯を持っている。さすが、携帯の世界シェアがトップクラスであるサムスン電子のある国だと、変なところで感心してしまった。


○三日間


 周りの大人たちの、ヒジュに対する偏見が痛々しい。特に彼女たちの教師は酷い。ユンソが家出をしたときには、ヒジュを正座させたうえに、棒で殴って、ユンソの家場所を白状させようとしたのである。犯罪者でも拷問は禁止されている筈だ。自分の生徒にこんな真似をする教師は許し難い。我が国なら、即逮捕ものだろう。


○ジャージャー麺がのびちゃうよ
 ヨンテは、13歳なのに、16歳と偽って、中華料理屋でバイトを始める。仕事を習うことになった先輩ギサムは、黄色い髪に、田舎くさいTシャツ、あちこち破れたジーパンと、ヨンテの意表を突くような人物だった。

 このギサムがなかなかユニークな人物で、彼の語る「出前哲学」が何とも言えず面白い。彼曰く、勉強のできる人が選択できる職業は、医者、法律家、博士の3つしかないそうだ。「勉強ができなければ選択できる職業はすごく多い」という彼の言葉はなかなか深い(かもしれない(笑))。


○春なのに白熊は寒い
 主人公は、チャン・ドンミンという小学五年生の男の子。母親が大叔母の食堂を手伝うために別居しているので、父親と二人暮らしである。前はバスの運転手をしていたが、飲酒運転で免許を取り消され、今は引っ越しセンターで仕事をしている。なれない仕事で、体中はシップだらけ、おまけにろくに休みも取れないようだ。ある夜、目を覚ましたドンミンは、父親が、まるで白熊のような姿で、泣きながら焼酎を飲んでいるところを目撃する。

 男は、辛い時、黙って酒を飲み、一人泣くしかないのだろうか。正に、「男は辛いよ」である。もっとも私など、酒が飲めないので、この方法は取れないのだが。


○地球は大丈夫?
 少年ミンギュは宇宙船に乗って旅していた。最初の宇宙都市建設団として、第二の地球エデンを目指している。ところが、船内の様子がどうもおかしい。毎日が、同じ日の繰り返しのようなのだ。実は、宇宙船の搭乗者は、毎日記憶をリセットされていたのである。

 他の話とは、だいぶ趣の違うSF仕立ての話である。乗組員たちは、毎日機械にその日の記憶を奪われるのだが、インドのヨガの行者が精神力でそれに耐えることができたというのが面白い。


 全体を通して感じられたのは、韓国では、日本以上に、親が子供の試験の結果を気にかけており、塾通いなどに熱心な社会だということ。また、まだまだ、格差も大きいようだ。童話と銘打ってはあるが、韓国社会の様子がうかがえ、なかなか興味深い。しかし、「三日間」や「春なのに白熊は寒い」は、大人が読むのならともかく、子供に読ますには、少し重いのではないかと思う。表題の「ジャージャー麺がのびちゃうよ」は、なかなか愉快で楽しかったのだが。

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(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)









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Last updated  May 4, 2010 08:54:27 AM
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