時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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June 1, 2010
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「成績があがる魔法のチョコ」 (チョン・ソンラン/イ・テホ/高橋宣壽:現文メディア)。どこにでもいそうな、勉強の苦手な男子小学生のお話だ。

○成績があがる魔法のチョコ(チョン・ソンラン/イ・テホ/高橋宣壽:現文メディア)



 主人公のヒョンジェは、あまり成績が良くないようだ。英語の塾のクラスでもう4カ月もCクラスに滞留している。母親は、いつも友達のヨンギュと比べて小言を言う。おかげで、ヒョンジェはストレスでいっぱい。ところが、夏休みに母親の田舎で、不思議な体験をする。

 川遊びをしたときにトイレに行きたくなったヒョンジェだが、用を済ませて出て来た彼の前に、入った時と全く違う風景が広がっていたのだ。

 そこにあるのは、ヘンな店ばかり。表題の「成績があがる魔法のチョコ」もそんな店の一つで売られているのだが、これには、オチがあって、実際のところは、そんな都合のよいものなんてあるわけはないのである。また、ジュースをおかわりしてしまうと、ウェーターにされてしまうような店もあり、ヒョンジェは、結局その店で働くことになってしまう。そしてて、インラインスケート・ウェーターとして評判になったり、インラインスケートの大会に出たりするのである。

 もっとも、こんな変な店があるわけはなく、どうもヒョンジェの夢だったようだが、この物語を読むと、色々と興味深いことに気づく。

 この物語で、一番言いたかったことは、人の才能はそれぞれと言うことだろう。ヒョンジェには、勉強の才能は無いかもしれないが、運動神経は良く、インラインスケートの才能はすばらしいようだ。金子みすずの「私と小鳥と鈴と」という詩に、「みんなちがって、みんないい。」という一節があるが、持っている才能は人によって違うのだ。このシリーズの他の作品でも感じるのだが、韓国では、日本以上に勉強の競争が激しいようだ。そして、これは我が国でも多いと思うのだが、塾に入れておけば安心とばかりに、たとえ勉強がその子に向いていなくとも、小さいころからお勉強に勤しませる。そんな風潮を、やんわりと批判しているのだろうか。

 なお、本書は、現文メディアさまより献本いただいたものです。ありがとうございました。


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(本記事は「本の宇宙」と同時掲載です。)









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Last updated  June 1, 2010 07:11:03 AM コメント(2) | コメントを書く
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