時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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November 13, 2010
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「植物図鑑」 (角川書店)。




 主人公であるOLのさやかは、飲み会帰りに、行き倒れているイツキという名のイケメンを拾ってしまう。さやかの部屋に住みつくことになった彼だが、野草のことにとても詳しく、おまけに野草料理が得意。休日ごとに、彼に付き合って、食べられる野草を集めにいくさやかは、どんどん彼に惹かれていく。さやかが、野草採集をもっと楽しむために、こっそりと植物図鑑を買ったりしているのは、とても微笑ましい。その一方、彼女の心の奥には、いつか彼がいなくなってしまうのではないかという不安が潜んでいる。

 二人は、一年近く一緒に暮らし、色々な野草を料理して食べるのだが、身の回りに、これだけ食べられる草があるというのはとても興味深い。出てくる草のカラー写真はついているし、野草料理のレシピもついているしで、いたれりつくせりである。小説を楽しむだけでなく、万が一のときのサバイバルのテキストとしても使えそうである(笑)。大体は、有川さんが作って食べてみたことがあるということなので、味の方もまあ大丈夫だろう(たぶん)。

 ところで、この作品で一番重要な役割を果たす植物は、なんと「ヘクソカズラ」。花はとても可憐なのだが、とても臭いにおいを持っているので「屁糞」というすごい名前をつけられている。これが二人の思い出の植物であり、つまり、イツキは、「ヘクソカズラの君」なのである(笑)。

 彼氏を拾ったり、その彼が料理の名手だが、何か秘密のようなものを抱えており、やがていなくなってしまうと言うようなところは、北森鴻の メイン・ディッシュ を連想してしまった。しかし、「メイン・ディッシュ」の彼は名探偵という設定で話もミステリー仕立てになっているが、この「植物図鑑」のイツキ君の方は、野草専門の好青年で、話の内容も完全なラブ・ストーリーであるというのが大きく異なっている。おっと、もう一つ、彼氏が猫系と犬系という違いもあった。

 二人の出会いのきっかけは、かなり変なものだったが、読み進めるにつれて、読者は、どんどんと二人の恋を応援したくなってくるだろう。そんな気持ちにさせてくれる作品である。

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Last updated  November 13, 2010 08:36:21 AM
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