時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

PR

Profile

風竜胆

風竜胆

Favorite Blog

自由に捕らわれる。 … New! じらーるぺるごーさん

ステルス出社 ブラジョンさん

気まぐれんな旅行屋… 富士家のぱこさん
マークス・ストーリー マークス5406さん
パパだって見たいん… 大希・大我のパパさん

Calendar

Keyword Search

▼キーワード検索

July 1, 2018
XML




 本作において、シニカルな口調で語り手を務めるのは、主人公でミステリー作家のシャンクス。しかし、それほど売れているわけではないようで、売れないことに対する自虐的な話もある。ちなみに、妻はロマンス作家だ。これは、そんなシャンクスが活躍する14編の短編を集めた短編集である。

 このシャンクスは、ミステリー作家だけあってなかなかの名探偵だ。なにしろ人から話を聞いただけで事件を推理してしまう。それだけではない。「シャンクス、昼食につきあう」では、妻が初めてのインタビューを受けている傍で、外の風景を眺めているだけで犯罪を感知しているし、「シャンクスの記憶」では、工事現場を見ただけで、犯罪の存在を見抜いたのである。

 しかし、作家らしく、「シャンクス、物色してまわる」では、 婦人警官の使った単語、”prowl(物色する)”が自動詞か他動詞かにこだわっている(p103)のがなんとも面白い。

 また、アメリカにおける出版事情なども分かり色々と興味深い。例えば次のような記載だ。

<シャンクスは出版不況への不満を漏らし、実はここにいる作家の大半はこちらが期待するほど売れていないので、> (「シャンクス、殺される」(p137))

 出版不況が言われているのは、日本だけではなく、アメリカでもそうなのだと認識を新たにした次第だ。日米に共通する現象は何なのかと考えてみると、思い当たるのはネットの発達くらいしかない。

 また、「シャンクスの手口」では、自分を酷評した批評家のことをかなり気にしている(p170)。私も長く書評を書いていると、よく頂き物をするのだが、それに対して作者や出版社などからの反応が直接的、間接的に結構ある。例えば、ツイッターで拡散したり、コメントを寄せたりといったように。やはり、気にしているのだろう。私のような無名の人間に対してもそうなのだから、評者がある程度名が知られているとなると一層だと思う。

※初出は、「本が好き!」です。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  July 13, 2018 10:09:56 AM
コメントを書く
[日々の読書(ミステリー)] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: