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July 9, 2016
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テーマ: TVドラマ(110)
カテゴリ: ドラマ
American Horror Story (Hotel)
アメリカンホラーストーリー シーズン5

第1話「危険なチェックイン」(原題: Checking In)





あらすじ




ロサンゼルス中心部に聳え立つホテル『コルテス』。この歴史ある瀟洒な建物の前に一台のタクシーが止まり、二人の美しい娘たちが降車した。スウェーデンからの観光客ヴェンデラ(カミラ・アルネス)とアグネタ(ヘレナ・マットソン)である。二人は、受付係アイリス(キャシー・ベイツ)の案内で通された部屋に不満を抱く。Wi-Fi どころか携帯電話も使えず、通信手段は備え付けの固定電話しかない。どこか不気味な雰囲気を感じながら二階まで氷を取りに出たアグネタは奇妙な光景を目にする。メイド(メア・ウィニンガム)が血液の付着したシーツをクリーニングしており、二人の子供がじっとこちらを観察しているのだ。
ヴェンデラとアグネタは部屋に充満する死臭がベッドから漂ってきていることに気づき、恐る恐るマットレスを切り裂くと、そこから異相の男が飛び出し彼女らを攻撃した。逃げ出した二人はアイリスの計らいで64号室に避難する。一時間後、短い眠りから目覚めたアグネタはバスルームで、口から血を滴らせた頑是ない子供二人が友人を襲っているのを見た。

殺人課の刑事ジョン・ロウ(ウェス・ベントリー)は、妻アレックス(クロエ・セヴィニー)との関係が破綻しかけていることに悩んでいた。5年前、遊園地でジョンが目を離した隙に息子ホールデン(レノン・ヘンリー)が何者かに連れ去られたのがきっかけだ。妻はジョンの顔にホールデンの面影を見てしまい、それが辛いのだと言う。
早朝ジョンが現場に出向くと、全裸の不倫カップルの遺体が彼を迎えた。女性は両手をヘッドボードに打ち付けられ心臓を刺し貫かれて絶命していた。男性の眼球はくり抜かれて舌と一緒に灰皿に入れられていたがまだ生きている。精力剤を飲まされたらしく、挿入したままになっている性器は接着剤で固定され、簡単には外れないよう細工されていた。周囲には両目を黒く塗りつぶされた家族写真が飾ってあり、ジョンはこの事件は不倫の報復などではなく、第三者による犯行ではないかと考える。
先月はプロブロガーが殺害された。被害者はマーティン・ガンボア47歳。シルバーレイクの自宅で、鈍器で頭部の形がなくなるほど殴られていた。腕や肩に刺し傷があるほか、防御創もある。両腕骨折、特に左腕の骨は折られた上皮膚から飛び出していた。直腸内と頭骨左部分から金属片が見つかっている。性的暴行もされたらしい。


ホテル・コルテスでは、ヘロイン中毒の若者ガブリエル(マックス・グリーンフィールド)が横柄な態度でチェックインし、アイリスから64号室の鍵を渡されていた。ガブリエルが廊下を通るとき、女装したホテル従業員リズ・テイラー(デニス・オヘア)と一瞬目が合った。リズの艶然たる微笑みは正気のガブリエルがこの世で見た最後の光景となった。ガブリエルが静脈への注射を済ませると程なくして室内の壁が揺らめき、メイドが現れたかと思うと、突然実存のベールが剥がれ落ちた。ホテルの壁は、抽象的な範疇としての無害な見かけをなくしていた。物の多様性、物の個別性といったものは、単なる見かけ、上辺のニスに過ぎなかった。そのニスは溶けてしまい、後には、奇怪なぶよぶよの無秩序の塊だけが残っていた。そのむき出しの魂、ぞっとする卑猥な裸体の魂はあっという間にガブリエルに接近し、円錐型の金属ディルドで彼を犯した。その一部始終を見ていたサリー(サラ・ポールソン)はガブリエルに自分を愛しているか尋ね、苦痛から逃れたいガブリエルは、この見知らぬ女性の質問に答えながら息絶えた。

匿名の電話を受けたジョンはホテル・コルテスに向かい、リズに案内されて64号室へ入る。怪しい者はどこにも隠れていないことを確認したジョンはベッドで寝入ってしまう。ベッドの下にはガブリエルの遺体が隠されていた。2時25分、ジョンは誘拐された息子ホールデンの姿を見たような気がして目を覚ました。ホールデンはどこにもいなかった。
医師である妻アレックスが出勤した晩、ジョンは娘のスカーレット(シュリー・クルックス)と和食店で夕食をとっていた。スカーレットも夢でホールデンを見るのだと言う。アレックスの携帯端末から呼び出され、ジョンは娘を連れて指定の住所へ急行した。そこには内臓を引き出された二人の男性の遺体が吊るされていた。妻になりすましていたのは64号室に呼び出した匿名の人物だった。

エリザベス(レディ・ガガ)とドノヴァン(マット・ボマー)は、偶然知り合ったカップルにアプローチし、ホテル・コルテスのペントハウスでグループセックスを行う。その後エリザベスとドノヴァンはカップルの頸静脈を切り血の味を楽しんだ。

ヴェンデラとアグネタは、アイリスに捕らえられネオン管のケージに入れられていた。薬物を嫌悪するアイリスは、エリザベスに捧げる血液はクレンジングしなければならないとして、独自の配合の飲み物を作り始める。アグネタの口に入れたチューブに繋がる漏斗に特製のドリンクを流し入れようとしたその時、サリーが気まぐれにこれを阻止した。ケージから脱出したヴェンデラは必死に走ったが、あと一歩のところでエリザベスに捕まり咽喉を掻き切られた。

新しいオーナーのウィル・ドレイク(シャイアン・ジャクソン)が息子ラクラン(リリック・レイン)を伴ってホテル・コルテスに到着した。不動産業者マーシー(クリスティーン・エスタブリック)による説明を受けて、ファッション業界に身を置くウィルは、ここを自宅兼職場にしようと考えていた。眠りを邪魔され不機嫌なドノヴァンとは対照的に、エリザベスはウィル一行を歓迎する。ウィルが大統領夫人のドレスを手がけたことをエリザベスは知っており、ウィルの次作品を心待ちにしていたのだ。エリザベスは隠し扉の奥に存在するゲームルームにラクランを誘い、ラクランはそこで2010年の姿のホールデンを見た。

1994年、アイリスは彼女の息子ドノヴァンとサリーがホテル・コルテスにチェックインするのを見張っていた。薬物依存の我が子を助けたい一心で64号室に踏み込むも、アイリスはすでに遺体となったドノヴァンと対面する。ヘロインでハイになったサリーを追いかけ、アイリスは彼女を突き飛ばした。転落したサリーはアスファルトにぶつかって断裂した。エリザベスはうっとりとドノヴァンの遺骸を撫でていた。

娘を危険な目に遭わせたことが決定打となった。家を出ることに同意したジョンは荷物をまとめホテル・コルテスの64号室に再びチェックインした。







"Tear You Apart"

思い切ってやってみるか
今夜あたりがいいかも

いちゃついてキスしたい
深夜 彼女の親友につい言ってしまったんだ
失言は恐怖と恋に変わり
その場で動けなかった
君は黙っちまって

うなづき 手を振りお別れ
二日間 頭から離れない
一時の恋心だろ
いつものように消えるさ
じゃなきゃヤバい
想いは膨らむばかり

君を抱きしめたい
肌を強く寄せ合いたい
横になって目を閉じて
素敵だよ これでいい
君を抱きしめたい
優しい吐息 高鳴る胸
俺は耳に囁く
「君を切り裂きたい」

彼女に歩み寄り
何度も目をそらして踊る
彼女が俺の手を撫で
二人は見つめ合う
どうすればいいんだ?
きっとまずいことになる
だが重なり合う唇
一夜限りか 永遠か
どっちにしても危ない
でもそれが夢中にさせる
恋がマジになるのさ
彼女をつかんで言うのさ

君を抱きしめたい
肌を強く寄せ合いたい
横になって目を閉じて
素敵だよ これでいい
君を抱きしめたい
優しい吐息 高鳴る胸
俺は耳に囁く
「君を切り裂きたい」





感想



後半チラッと出てきた不動産業者マーシーは、シーズン1で惨劇の家をハーモン一家に売った人。マーシーの紹介する不動産、今のところ全部事故物件です。

全体的に映画版「シャイニング」(キューブリック)へのオマージュで溢れていました。
ラクランがボールを弾ませて怪物を呼び寄せてしまったり、ジョンがホテルの廊下を曲がる際のカメラワークもそうだし、ホテルに住み着いた悪霊が人間を襲うところもそう。とは言ってもシャイニングは美しい全裸女性(腐乱死体)がジャック・トランスを誘惑する程度だが、ホテル・コルテスは股間に金属ドリルを装着した悪魔が有無を言わさず男性客をレイプし殺してしまう。
シャイニングの舞台であるリゾートホテルの名前は「景観荘(overlook)」。overlookの意味はWeblio辞書によると
【 (…を)見晴らす、より高い所にある、(…を)見渡す、見おろす、大目に見る、見逃す、(…を)見落とす、見過ごす、監督する】
ジャック・トランスはその地が元々先住民の墓地で、そこを埋め立ててホテルが建設されたことを知らず、家族を伴って管理人の仕事を引き受けてしまうのですが、いわくつきのホテルという意味ではコルテスも負けていない。コルテスのモデルとなったホテルがロサンゼルスにあり、つい最近の2013年にも観光客の遺体が貯水タンクから見つかったことで「殺人鬼が住む」と噂されるホテルの名が再び脚光を浴びることとなった。ホテルの名前はセシルホテル。


セシルホテルの歴史
1920年代、アメリカは未曾有の好景気に沸いており、セシルホテルもアールデコ調の優美なエントランスを備えたビジネスホテルとしてスタート。第一次世界大戦終後、新興国アメリカを資本主義大国に押し上げた繁栄はやがて終焉を迎える。20年代最後の年、アメリカを大恐慌が襲った。セシルホテルも例外ではなく、宿泊料金を大幅に下げて対応した結果、ホテルを住居として使用する客や薬物依存の客、コールガールを連れ込む客を呼び寄せることになる。
1920年代、30年代、ホテル内での死亡事件が多発。
そして1947年、ブラックダリア事件が起こる。セシルホテルのバーの常連だった女優の死体がホテルから8ブロック離れた草むらから発見された。遺体は真っ二つに切断されていた。(ブラックダリア事件についてはシーズン1でも描かれている)
1964年にも未解決殺人事件がホテルで発生。
1991年、オーストリアの連続殺人鬼ジャック・ウンターヴェーゲルがホテルに宿泊。
ジャックは売春婦の母の元に生まれ(オーストリアで売春は合法)、1974年、18歳の売春婦を絞殺して逮捕される。被害者を殴った時母を思い描いたと供述した。その後自伝がベストセラーとなり、文学賞を受賞。雑誌の依頼でアメリカの売春事情を取材するためセシルホテルへ来たのだが、取材中3人を殺害し自殺した。ジャックはアメリカの殺人鬼リチャード・ラミレスに憧れていたという。
2013年、21歳のカナダ人女子大生エリサ・ラムさんがホテルの貯水タンクで溺死しているのを発見される。亡くなる直前の様子がネットに公開されると、「セシルホテルに住む殺人鬼を彼女は見てしまったのではないか」と世界中で話題となった。

ジョンの夕食が寿司だったり、舞台が消費社会を象徴するようなホテルだったり、レディ・ガガ演じる伯爵夫人エリザベスの享楽的な生活、セックスと凄惨な殺人、薬物......シーズン5となる今作は、どことなく「アメリカン・サイコ」(ブレット・イーストン・エリス)を想起させるところがある。裸電球の黄色い照明で見世物小屋と ‘異形の愛’ (キャサリン・ダン)を描き出したシーズン4とは対照的に、今回のホテルではネオンと青白い蛍光灯の光を多用しているところも面白かった。ホテル・コルテスの奢侈と頽廃に出口はあるか。





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Last updated  July 14, 2016 08:49:48 PM
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